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NPO法人の決算はどうなる?経理処理や税務、確定申告までわかりやすく解説

著者: 河野 雅人 公認会計士・税理士

NPO法人は、営利を目的として活動していない法人(特定非営利活動法人)のことをいいます。ボランティア活動をはじめとする社会貢献を主な目的として活動しており、いわゆる「お金を稼ぐ、儲ける」ということを想定していません。

しかしNPO法人であっても、普通法人と同じようにかかる税金があり、確定申告が必要になるケースがあります。また、決算については独特な経理処理が求められます。そこでこの記事ではNPO法人の決算や会計・税務について解説します。

目次

NPO法人の決算はどうなる?

NPO法人の場合でも決算は必要です。

具体的には、事業年度終了後3か月以内に以下の書類を所轄の都道府県庁・市役所等(所轄庁)に提出しなくてはなりません。

  • 事業報告書等提出書
  • 事業報告書
  • 活動計算書
  • 貸借対照表
  • 計算書類の注記
  • 財産目録
  • 年間役員名簿
  • 社員のうち10人以上の者の氏名及び住所又は居所を記載した名簿

このように、株式会社などの普通法人とは異なった独特の会計・税務(確定申告)が求められるのがNPO法人の決算です。

NPO法人の会計・税務

NPO法人の会計は「NPO法人会計基準」に従って行うことが推奨されています。そのほか、特定非営利活動促進法(NPO法)において、収益事業を行う場合は「区分経理」が必要になる、と定められています。

事業別の区分経理

NPO法人の事業は、法人税法上では「収益事業」と「非収益事業」に区分され、各事業に関してそれぞれ別に区分経理することが求められます。そして、事業ごとにそれぞれ会計帳簿を設けて、収入や経費が発生するたびに、どちらの事業にかかるものかを判別し、それぞれの帳簿に記帳します

たとえば、NPO法人の会費収入は、非収益事業から発生した収入であるため、非課税売上となります。しかし、雑誌などの販売による収入などは収益事業にあたるため、原則として法人税等の課税対象となります。

収益事業を行っている場合は確定申告が必要

非営利組織であるNPO法人であっても、収益事業を行っていれば、税金関係は株式会社などの普通法人とほぼ同じです。

すなわち、収益事業から発生した所得に対して法人税等の申告および納税が発生し、消費税課税事業者であれば消費税の申告納税が発生します。

一方で、収益事業を行っていない場合には、法人税等および消費税の確定申告は必要ありません。ただし、年間の収入金額の合計額が8,000万円を超える場合は、決算日の翌日から4か月以内に税務署へ損益計算書や収支計画書を提出しなければなりません。

法人税法上の収益事業とは?

法人税法上において収益事業は、以下の34種類と定められています。

物品販売業/不動産販売業/金銭貸付業/物品貸付業/不動産貸付業/製造業/通信業/運送業/倉庫業/請負業/印刷業/出版業/写真業/席貸業/旅館業/料理店業他/周旋業/代理業/仲立業/問屋業/鉱業/土石採取業/浴場業/理容業/美容業/興行業/遊戯所業/遊覧所業/医療保険業/技芸教授業/駐車場業/信用保証業/無体財産権提供/労働者派遣業

NPO法人設立時に会計・税務上必要となる手続き

収益事業を行う場合は、税務署、都道府県税事務所、市町村の3か所に「法人設立届出書」と「収益事業開始届出書」を提出することになります。「法人設立届出書」はNPO法人を設立した日から2か月以内に、「収益事業開始届出書」は、収益を開始した日から2か月以内が提出期限です。設立当初から収益事業を開始する場合には、設立日から2か月以内にこれらを提出しましょう。

また、普通法人と同じように青色申告事業者となることで、税金面においてさまざまな優遇措置を受けることができます。青色申告事業者となるためには、収益事業開始の日から3か月以内に税務署に対して「青色申告承認申請書」を提出しましょう。

【収益事業を行わない場合】
「収益事業開始届出書」の提出は必要ありません。都道府県税事務所と市区町村の2か所に「法人設立届出書」のみ提出します。

また、収益事業を行わないNPO法人は、自治体により住民税の均等割が免除(減免)される制度があります。該当する自治体に法人がある場合には、あわせて、法人住民税の均等割の免除(減免)申請手続きも行うようにしてください。

NPO法人の決算から法人税申告までの流れ

NPO法人が収益事業を行っている場合の決算から法人税申告までの流れは、以下のようになります。

  1. 共通経費の按分
  2. 収益事業にかかる損益計算書の作成
  3. 法人税の申告書作成
  4. 確定申告書の提出・納税

それでは、ひとつずつ解説します。

1)共通経費の按分

期中において「共通経費」として集計された経費は、適正な損益計算書を作成するため、決算において収益事業と非収益事業に合理的な基準を設けて按分する必要があります。

具体的には以下のように経費の種類ごとに基準を設けて按分します。

科目按分基準の例
人件費
(管理部門の給料、報酬、賞与、退職金など)
収益事業と非収益事業に従事している人員の割合
福利厚生費、消耗品費、事務用品費収益事業と非収益事業に従事している人員の割合

事務所関連費用
(地代家賃、減価償却費、固定資産税、火災保険料など)

収益事業と非収益事業の使用割合または面積割合
水道光熱費
(電気代、ガス代、水道代)
収益事業と非収益事業の使用割合または面積割合
工具器具備品、車両関連費用
(減価償却費、修繕費、自動車税など)
収益事業と非収益事業の使用割合
基準の設定が困難なもの
(借入金利子など)
収益事業と非収益事業の収入金額の比率

たとえば、管理部門の人件費は収益事業と非収益事業に共通の経費であるため按分が必要となり、収益事業と非収益事業の人員割合が6:4である場合には、管理部門の人件費の6割を収益事業部門に按分するという処理が必要になります。

共通経費とは

共通経費は、収益事業と非収益事業の双方に対して共通で発生した経費、あるいは、どちらの事業に区分するのが適切か判別できない経費をいいます。たとえば、販売事業の社員の給料や出張旅費であれば、収益事業が負担した者として容易に区分できるでしょう。

しかし、管理部門の社員の給料や事務所家賃などは、収益事業か非収益事業かを明確に区分することは困難です。そのため、共通経費については専用の帳簿を設け、発生の都度、その専用帳簿に集計します。そして、決算において合理的な基準により収益事業と非収益事業に按分する処理を行います。

2)収益事業にかかる損益計算書の作成

収益事業部門について集計された収入と、1.で収益事業部門に按分された共通経費を追加で計上して収益事業部門の損益計算書を作成します。

3)法人税の申告書作成

作成された収益事業部門の損益計算書にもとづき、法人税の確定申告書を作成していきます。法人税の確定申告書の作成方法や適用される税率は中小法人の普通法人と同じです。

4)確定申告書の提出・納税

法人税の確定申告書を作成した後、所轄の税務署へ提出します。決算日の翌日から2か月が提出期限となっており、同時に納税も行います。また、先述のとおり所轄庁へ事業報告書等の提出も忘れず行いましょう。

繰り返しになりますが、収益事業を行っていない場合は確定申告は不要です。

おわりに

NPO法人の経理処理においては、「収益事業」と「非収益事業」に区分して処理することや共通経費の按分など特有の処理があり、事務管理が普通法人よりも複雑です。

共通経費の按分は特に、合理的な按分基準を設定する必要もあり、経理担当者を悩ませることになるかもしれません。そのため、NPO法人に詳しい税理士や会計士との顧問契約を検討するのもよいでしょう。

NPO法人は資本金0円から設立でき、設立費用も安く抑えられるため、比較的簡単に設立できます。公共事業をNPO法人に発注することも多く、福祉や環境、子育ての分野においては、とくにNPO法人が増えていますが、弁護士や行政書士といった法的な専門家も必要となるケースも多くあることを覚えておきましょう。

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