7割が「登録済み」だが、「中止希望」も約7割。インボイスに関するアンケート【法人版】 - 税理士ドットコム

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7割が「登録済み」だが、「中止希望」も約7割。インボイスに関するアンケート【法人版】

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7割が「登録済み」だが、「中止希望」も約7割。インボイスに関するアンケート【法人版】
「インボイス」に関するアンケート調査

2023年10月1日から、インボイス(適格請求書)制度が開始された。税理士ドットコムは、会員の個人事業主に対して、インボイスへの対応状況などについてアンケートを実施した(該当記事は以下参照:https://www.zeiri4.com/c_5/n_1134/)

本記事では同法人に対して行ったアンケートの回答をまとめた。個人事業主に行った調査では、「インボイス登録申請済み」と「登録申請するつもりはない」がともに3割という結果だったが、法人ではどのような回答が得られただろうか。「インボイス制度への賛成、反対意見」などについても伺った。

●「インボイス登録申請済み」の法人は約7割

まず、「インボイス発行事業者として登録状況」について聞いたところ、「登録申請済み」との回答が約7割という結果となった。

残りの約3割が未申請であるものの、そのうち約14%が「申請する予定/今後の状況によっては申請する」、13%が「登録申請するつもりはない」と回答している。

問:インボイス発行事業者としての登録状況を教えてください

・登録申請済み…66.7%
・登録申請する予定…2.4%
・取引先から要請があれば登録申請する…2.4%
・2023年10月の施行後、業務に影響があるようなら登録申請する…9%
・登録申請するかどうか決めていない…6.5%
・登録申請するつもりはない…13%

「登録申請済み」「登録を予定している」の理由としては、約7割が「消費税の課税事業者である/これから課税事業者となる予定だから」と回答しており、課税事業者であればインボイス登録に問題がないことがわかった。また一方で「登録しないと仕事が減りそうなため」との回答が約16%あった。

問:登録申請した、または登録を予定している理由をお教えください(複数回答)

・消費税の課税事業者である/これから課税事業者となる予定だから…68.7%
・登録しないと仕事が減りそうなため…16.1%
・取引先から登録を求められたため…7.1%
・取引先から消費税分の値引き交渉などをされたため…1%
・その他…7.1%

●インボイスに登録しない理由の75%が「課税売上高が1000万円以下」

先の質問で、インボイス発行事業者として登録するかどうか「まだ決めていない」「登録するつもりがない」と回答した法人へは以下の質問をした。

・登録申請するかどうか決めていない・登録申請しない理由
・登録申請しないことによる懸念はあるか
・インボイス導入後の経過措置について知っているか
・インボイス制度の導入後、今後についてどのように考えているか

それぞれの回答は以下のとおり。

問:登録申請するかどうか決めていない、または登録申請しない理由をお教えください(複数回答)

・課税売上高が1000万円以下だから…75%
・消費税納税の負担が生じるため…41.7%
・登録申請しなくても売上や取引などに影響がないため…29.2%
・手続きやその後の事務作業が困難だから・経費がかかるから…25%
・登録するメリットがわからないから…25%
・顧客が一般消費者のためインボイスの発行が不要だから…16.7%
・取引先や税理士から何も言われていないから…8.3%
・インボイス制度自体が本当に導入されるかわからないから…8.3%
・取引先がインボイス発行事業者でないので必要ないため…4.2%

問:登録申請しないことによる懸念はありますか?(複数回答)

・特に懸念はない…45.8%
・消費税分の値引き分、またはそれ以上売上が減るのではないか…29.2%
・新規の契約が得られないのではないか…25%
・取引先から取引を打ち切られるのではないか…20.8%
・経営が苦しくなるのではないか…20.8%

問:インボイス導入後の経過措置(※)についてご存じですか?

・知っている…54.2%
・なんとなく知っている…20.8%
・知らない…25%

※免税事業者との取引がある課税事業者は、免税事業者からの請求に対して6年間は仕入税額相当額の一定割合が控除可能

問:インボイス制度の導入後、今後についてどのようにお考えですか?

・免税事業者のまま、事業を続ける…58.3%
・取引先からの対応等により、インボイスを導入するか検討する…20.8%
・経過措置終了後に廃業を検討している…4.2%
・わからない/決めていない…16.7%

インボイス制度の導入後は、「免税事業者のまま、事業を続ける」が過半数を上回った。また今後について「わからない/決めていない」との回答も約17%あった。

●取引先から「消費税分の値下げ」「登録業者以外とは取引しない」と通達されたケースも

取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイスに関してどのような対応があったかについても質問した。

「インボイス発行事業者の登録状況について確認があったか」と尋ねたところ、「あった」との回答が7割を超える結果となった。

問:取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録状況について確認はありましたか?

・あった…74%
・なかった…25.2%
・わからない…0.8%

次に、「インボイス発行事業者の登録を求められたか」という問いには、「求められなかった」との回答が6割を超える結果となった。

問:取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録を求められましたか?

・求められた…26%
・求められなかった…67.5%
・わからない…6.5%

「インボイス発行事業者登録をしない場合の、契約条件や価格に関する交渉」の有無については、「なかった」との答えが約79%となった。

問:取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者登録をしない場合の契約条件や価格に関する交渉はありましたか?

・あった…8.1%
・なかった…78.9%
・わからない…13%

「契約条件や価格に関する交渉があった」と答えた方に具体的な内容を聞いたところ、「消費税分の値下げ」という声が多く寄せられ、「取引を行わないと言われた」という声も挙がった。

「契約条件や価格に関する交渉」に関する主な内容は以下のとおり(抜粋して紹介)。

・消費税を抜いて対応すると一方的にメールがきた

・今までの「税抜価格」を「税込価格」に見直す

・納入掛率の引き下げ

・登録業者以外との取引きは原則行わないと言われた

●取引先(仕入先)が登録事業者でない場合の対応を「決めていない」が3割

次は、自社が買い手側の立場となった場合の、仕入先(請求書を発行する側=売り手)への対応について質問も行った。

まず、「仕入先へインボイス発行事業者の登録状況について確認をしたか」を尋ねると、「していない」「しない予定」が5割を占めた一方で、「した」「する予定」の合計は4割となった。

問:仕入先(請求書を発行する側=売り手)へ、インボイス発行事業者の登録状況について確認はしましたか?

・した…33.3%
・する予定…8.1%
・していない…45.5%
・しない予定…9%
・わからない/決めていない…4.1%

次に、「インボイス制度施行後、仕入先がインボイス発行事業者でない場合の対応」についは、「わからない/決めていない」が約34%と最も多く、「免税事業者でも、値引きすることなく取引を継続する」(約19%)が続く結果となった。

問:インボイス制度施行後、仕入先がインボイス発行事業者でない場合、どのように対応する予定ですか?

・わからない/決めていない…34.1%
・免税事業者でも、値引きすることなく取引を継続する…18.7%
・経過措置の間は取引を続ける…16.3%
・インボイスに登録しないので対応はしない…10.6%
・免税事業者とは取引を行わない/取引を減らしていく…6.5%
・免税事業者でも、値引きに応じてもらえば取引を継続する…5.7%
・インボイス発行事業者になるよう要請する…4.9%
・その他…3.2%

「その他」の内訳は、「免税事業者との取引はない」「仕入れ先がない」「仕入先の申し出により臨機応変に対応」といった内容だった。

●インボイス制度「中止して欲しい」が約7割と、個人事業主と同水準

最後に、「インボイス制度について、どのように考えるか」を伺ったところ、約7割が「インボイス制度を中止して欲しい」と答え、「このまま進めて問題ない」(9.8%)を大きく上回る結果となった。

問:インボイス制度について、率直にどのようにお考えですか?

・インボイス制度を中止して欲しい…66.7%
・景気が上向き売上が上がるまで延期してほしい…11.4%
・このまま進めて問題ない…9.8%
・わからない、関心がない…6.5%
・その他…5.6%

上記回答について、具体的なコメントは以下の通り(以下抜粋)。

<「インボイス制度を中止して欲しい」と回答した人のご意見>

・制度が複雑なため、それに対応する業務が大変

・登録番号の確認など、経理処理の負担が大きく、中小企業にとっては対応が難しい

・課税事業者なので今はあまり関係ないが、今後免税事業者になった時に消費税を払うと生活が大変になるのがわかっているので、中止して欲しい

・免税事業者の恩恵がなくなる

・消費税増税の布石、簡易課税廃止につながるのではと考える

・よくわからないまま始まり、売上計上ミスが発生するかもしれない。税務調査が怖い

ーーーーーーーーーーー
<「景気が上向き売上が上がるまで延期してほしい」と回答した人のご意見>

・取引先と上手く行かない際は困るし、こちらからインボイス制度導入依頼はしづらい

・経過措置を考慮しても、毎期末の利益とキャッシュフローを考えると赤字になり、来期からかなり厳しい経営となることが見込まれる

・納税額と人件費の増加のダブルパンチであるため
ーーーーーーーーーーー
<「このまま進めて問題ない」と回答した人のご意見>

・何年も前からインボイス制度の導入は決まっていたので、いまさら特にない

・そもそも今日まで導入されなかったことが問題。消費税は事業規模に関係なくフラットに適用されるべき

・取引先で免税事業者なのは1件だけで、金額も大きく、ほとんど影響がない

・インボイス未申請の免税事業者も多くいると予想される中で、自分がインボイス登録すればクライアントにとって差別化になり、営業強化できる良い機会だと思う

ーーーーーーーーーーー
なお、回答者が該当する業種については以下のとおり。

・流通、小売…17.9%
・不動産…13%
・IT、インターネット…10.6%
・製造…10.6%
・建設、建築…9.8%
・情報、マスコミ…3.3%
・運輸、物流…2.4%
・医療、福祉…2.4%
・飲食…2.4%
・金融…1.6%
・教育…0.8%
・美容…0.8%
・アミューズメント、レジャー…0.8%
・その他サービス業…17.1%
・その他…6.5%

●政府は10月中に「インボイス導入に関する支援策」を策定するというが・・・

なお、インボイスの登録申請以外で進めている対応について聞いたところ、「インボイス登録番号を反映した請求書の作成」が約47%で、「特に何もしていない」が約35%と続く結果となった。

問:インボイス制度について、以下の中で進めている対応はありますか?(複数回答)

・インボイス登録番号を反映した請求書の作成…47.2%
・特に何もしていない…35%
・税理士への業務の依頼…22.8%
・インボイス制度に対応したクラウドツールの導入…22%
・免税事業者からの請求書・領収書などの計上ルールの見直し…20.3%
・経費を使う際の社内ルールの見直し…19.5%
・事務作業負担に伴う人材の確保…0.8%
・その他…0.8%

こちらのアンケートは9月下旬の、インボイス制度開始直前に行われたが、インボイス登録申請済みの法人は7割にのぼり、登録するつもりはないと回答したのは13%にとどまる結果となった。一方で、先に行われた個人事業主に対する調査では、インボイス登録申請済みの個人事業主は3割ほどだった。

また、法人・個人事業主ともに、インボイス制度を「中止して欲しい」との回答が約7割を占め、特に法人では登録申請済みであるにも関わらず、制度導入を後ろ向きにとらえる声が一定数あることが明らかになった。

政府は9月29日、インボイス導入2日前に初めての関係閣僚会議を開き、事業者の不安の解消や必要な支援について協議。10月中に策定する総合経済対策に、小規模事業者などに対する支援策を盛り込むこととしている。

個人事業主やフリーランスはもちろん、法人の経営者や経理担当者が抱える不安も解消できる支援策の策定を期待したい。

※アンケート実施期間:2023年9月22日〜9月28日、調査方法:税理士ドットコムに登録のある法人に対しインターネットで実施、有効回答数:123

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