相続税の節税にもなる?「サブリース」のメリットと落とし穴

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075866271

  1. 税理士ドットコム
  2. 節税
  3. 節税のハウツー
  4. 相続税の節税にもなる?「サブリース」のメリットと落とし穴

相続税の節税にもなる?「サブリース」のメリットと落とし穴

著者: 竹内 英二 不動産鑑定士・中小企業診断士

価値が変動しない現金に比べ、時価によって評価額が左右される不動産は、相続税の仕組みにおいて優遇されています。そこで、相続税の節税対策として、アパート経営を行う人が多くいます。アパート経営には、空室を保証してくれる「サブリース契約」という制度があり、初心者でも安心してアパート経営を行うことができる、というのもその理由のひとつ。

ただし、「サブリース契約」をしていても空室が発生してしまった場合は家賃が下がるため、注意が必要になることもあります。

そこでこの記事では、「サブリース契約」での節税対策と注意すべきポイントについて解説します。

目次

サブリース契約とは

サブリース契約とは、人から借りた物件をさらに別の人に貸すことを前提とした「賃貸借契約」のことです。

まず、アパートのオーナーとサブリースを請け負う会社が一棟まるごと賃貸借の契約を行い、その後サブリースを請け負った会社が各住戸の入居者と転貸借契約を行います。

一度、サブリースを請け負う会社が一棟まるごとを固定賃料で借りることで、空室が発生しても家賃は変動しないことから、サブリース契約は「家賃保証」や「空室保証」などとも呼ばれています。

たとえば満室時の賃料を100%とした場合、契約内容にもよりますが、空室があったとしても賃料の85%程度の金額が固定でアパートのオーナーに支払われます。

この場合、入居率が100%であれば、約15%の賃料がサブリース会社の利益となるという仕組みです。

サブリース契約は相続税の節税に有利

建物を借りると「借家権」という権利が発生しますが、借家権が適用されてる建物を相続すると、建物の本来の評価額に対して「借家権割合」が30%適用されます(2018年現在)。つまり、相続税が課される金額が30%少なくなるので、その分節税されるということです。

また、賃貸物件が建っている土地は「貸家建付地」と呼ばれますが、こちらも更地に比べて評価額が下がるため、課税金額が少なくなります(※減額される割合は地域によって異なります)。ですので、元々持っている土地に賃貸アパートを建てることで、更地評価から貸家建付地評価となり、節税効果が生じるのです。

さらに、アパート建築時にかかる費用を借り入れるとマイナスの資産が増えるため、その分相続財産が小さくなり、課税金額が少なくなります。

要するに、相続財産が小さくなることで相続税の節税対策ができるだけでなく、アパート経営によって家賃収益が入ることで収入を増やすこともでき、サブリース契約は一石二鳥の相続対策となるのです。

サブリース契約の落とし穴

繰り返しますが、サブリース契約とは「賃貸借契約」という賃貸借の契約であり、サブリース契約という特殊な契約があるわけではありません。

実は、そこに落とし穴が隠れています。

サブリースで締結される契約は「普通借家契約」と呼ばれる賃貸借契約が適用され、その契約内容は、通常私たちがアパートを借りるときと同様に、任意の期間ごとに更新する決まりがあります。

アパートオーナーからすると、サブリース会社は共同事業パートナーのような感覚がありますが、「普通借家契約」である以上、法律的には貸主(アパートのオーナ)と借主(サブリース会社)という関係性に過ぎません。

賃貸借契約における借主と貸主の関係を規制する法律として「借地借家法」というものがあり、アパートオーナーとサブリース会社との関係は、この規定に従う必要があります。

ここで注意しなければならないのは、借地借家法の目的は「借主保護」の立場にあるという点です。つまり、法律上は、借主であるサブリース会社の立場が保護されているということです。

借主を保護する具体的な内容のひとつに、借主からの家賃の減額請求があります。

まず、借地借家法は、家賃は周辺相場と比較して大きく差がある場合、貸主側から賃上げを要求できますし、借主側からも家賃を下げる要求ができると認めています。これを、家賃の「増減額請求権」といいます。増減額請求権は、契約更新の時期に関わらず、いつでも双方から行使することが可能です。

ただし、家賃の増減額請求権のうち、減額請求についてはひとつポイントがあります。

それは、サブリースを含む普通借家契約の場合、「家賃は一定期間減額できないものとする」といった不減特約は無効となるということです。

つまり、サブリース契約を締結する際に、家賃の減額要求を恐れ、「家賃は減額できないものとする」という条項を盛り込む貸主がいますが、この特約は無効になります。一方で、「家賃は増額できないものとする」という借主を保護するような不増特約は有効です。

そのため、普通借家契約では、どのような条項を結ぼうと家賃減額は避けられず、サブリース契約で家賃不減特約を締結しても、サブリース会社から家賃の減額要求が行われるのが実情です。

「家賃保証」や「空室保証」とも呼ばれるサブリース契約ですが、空室が増えればサブリース会社から家賃の減額要求があり、結局のところ空室や家賃は確実に保証されないのです。

サブリース契約を締結する前に専門家に相談する

このように、サブリース契約では家賃の減額要求が頻発してしまう可能性もあるため、相続税の節税対策を行う際は安易にサブリース契約へ手を出さず、不動産関連に強い税理士・弁護士、不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。

立地など物件の条件によっては、必ずしもサブリースが必要のない物件もあります。そのため、すべての物件をサブリースするのではなく、物件によってサブリースをするかしないか判断していく必要があるでしょう。サブリースの必要性の有無については、専門家の意見も聞きながら判断するようにしてください。

おわりに

サブリースはアパート経営の知識が無くてもアパート経営をすることが可能です。家賃減額の可能性があるということをしっかりと把握した上で、サブリースによる相続税の節税を行ってみてはいかがでしょうか。

もっと記事を読みたい方はこちら

無料会員登録でメルマガをお届け!

節税に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る
他の税務相談を探す
分野

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る