弁護士業務で個人事業と法人を持つ方法
弁護士業務で個人事業と法人とに収入を分けたいのですが、ルールを決める(裁判業務は個人事業、それ以外の交渉業務等の法律事務は法人等)ことで、税務署からの指摘を免れることはできるでしょうか。
それとも弁護士業務という括りで同一の種類の業務になるので、ルールを決めるだけでは、税務署から指摘されてしまうでしょうか。
また、税務署から指摘された場合、どのような追徴を受けてしまうのでしょうか。
税理士の回答

川上元樹
弁護士先生に講釈するのはお恥ずかしいですが、私なりに以下回答差し上げます。
指摘されるか否かは、おそらく、収入を分けたいご理由と貴法人内での手続次第ではないでしょうか。弁護士法第30条の19第2項には「弁護士法人の社員は、他の社員の承諾がなければ、自己又は第三者のために、その弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つてはならない。」とあり、裏を返せば他の社員の承諾があれば社員でも法人の業務を行うことが出来ると読めます。この点税理士法人には「税理士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の税理士法人の社員となつてはならない」としかなく、弁護士法人の特徴の一つと思います。
さて個人事業をしたということは他の社員の承諾があるはずですし、収入を分けることに合理的な理由があるという状況なのかと思います。その上で適切なルールに沿って漏れやダブリなく明瞭に区分された収入(と経費)に基づいて税務申告された内容であれば、課税側としては、弁護士業務という括りで同一という理由のみでは指摘できないように思われます。指摘あるとすれば実質課税の原則や法人格否認の法理あたりでありましょうが、個人と法人に収入を分けることにほ脱の意図ありとか法人が形骸化しているとか課税側が立証できる局面であり、しかしそのような事自体がかなり異常ですので、そうでない限り通常においてはあまり心配される事はないのだと思います。
ちなみに最後は税務署判断となりますので参考程度とご理解ください。
本投稿は、2024年06月14日 20時49分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。