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減資によるメリットとは?税務上の優遇措置と手続きを解説

著者: 山田 大悟 代表税理士

資本金とは、出資者が会社に払い込んだ金額(払込資本)を基礎として設定されるものです。

税法においては資本金の額で会社の規模を判定することがあり、また、資本金の金額によって税務上の優遇措置を受けることができます。資本金は税務上のメリットのみで金額を決めるわけではありませんが、経営判断の参考として資本金と税務上の優遇措置について解説します。

目次

資本金の額による税務上の優遇措置

法人税法等では、資本金の額をひとつの判断基準として、会社規模を区分し、いわゆる中小企業者に対して税務上の優遇措置を設けています。判断の区分としてはいくつかの金額があり、金額のラインと主な優遇措置の内容は次のようになっています。

資本金の額1000万円以下の場合

  • 法人住民税の均等割額
    法人住民税とは、地方団体のうちの道府県が課する道府県民税と市町村が課する市町村民税を総称したものですが、課税の方法には「均等割」と「法人税割」があります。
    均等割とは資本金や従業者の数で法人を区分し、区分ごとに納税額を決めているものです。具体的な税額は地方団体によって異なりますが、資本金等の額が1000万円以下であれば課税される金額は低くなります。
  • 消費税
    新設法人について、資本金の額が1000万円に満たない等の条件を満たす場合には、消費税の納税義務が免除されます。
    法人の場合、消費税の納税義務は、前々事業年度の売上高によって判断されますが、新設法人の場合は前々事業年度がないため、一定の例外を除き原則として納税義務が免除されます。
    しかし、事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上であると、例外に該当し、新設法人であっても課税事業者となります。

資本金の額3000万円以下の場合

  • 中小企業投資促進税制
    中小企業投資促進税制といって、中小企業者等が一定の期間内に新品の機械及び装置などを取得または製作して、国内にある一定の指定事業の用に供した場合に、特別償却又は税額控除を認めるという制度があります。
    この制度を利用する際に、資本金3,000万円以下の法人であれば、税額控除といって税金を直接減額できる方法を選択することができます。ただし、2021年3月31日までに対象設備を取得等して指定事業の用に供することが必要です。

資本金の額1億円以下の場合

  • 法人税等の軽減税率の適用
    普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額が1億円以下かつ大法人の子会社等以外である法人(以下中小法人)については、課税所得のうち年800万円以下の部分にかかる法人税等において、通常より低い税率が適用されます。
  • 交際費等の損金不算入
    法人が支出した交際費等については、原則としては全額損金の額に算入しないこととされていますが、一定の金額については損金算入できるという措置があります。
    中小法人は、交際費の損金算入できる金額について、次の2種類のうちどちらかを選択適用できます。
・年800万円の定額控除限度額まで、全額損金算入

・接待飲食費の50%の損金算入

※適用期間は2020年度3月31日までに開始した事業年度

なお、接待飲食費の50%の損金算入は中小法人以外の法人にも認められています。

  • 少額減価償却資産
    中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その相当金額を損金算入することができます。
    なお、この制度における中小企業者等とは「租税特別措置法」に規定されているもので、資本金または出資金の額が1億円以下の法人等が該当します(租税特別措置法第四十二条の四第三項に規定)。
  • 欠損金の繰戻還付
    「欠損金の繰戻還付」とは、青色申告書を提出する法人について欠損金が生じた場合に、前一年以内開始事業年度の分として納めた法人税のうち、欠損金相当分について還付を受けることができる、という制度です。
    この制度は、中小法人等以外の法人については基本的に適用が停止されていますが、中小法人であれば赤字が出た場合にこの制度の利用によって、法人税の負担の軽減をすることができます。
  • 外形標準課税
    「外形標準課税」とは、法人事業税の課税制度であり、法人事業税について所得基準のほかに、外形基準による課税を行う制度です。
    具体的には付加価値を基準とした課税と資本金等の金額を基準とした課税が行われ、仮に所得が赤字でも税金が発生することとなりますが、中小法人についてはこの外形標準課税は対象外となっています。
  • 留保金課税
    「留保金課税」とは、同族関係者一グループで株式等50%を超えて保有している会社(特定同族会社)が、一定の限度額を超えて内部留保した金額に対して課税される制度です。この留保金課税について、中小法人等については適用除外となっています。

減資の手続きについて

ここまで資本金の額と税務上のメリットの関係についてみてきました。

では、資本金の額を減額させたいという場合には、どうすればいいのでしょうか。

資本金の額を減少させるには「減資」という手続きが必要となります。減資には二種類あり、ひとつは欠損の填補などの際に行われる「無償減資」、もうひとつは株主に対して出資金額を配当する「有償減資」です。

一般的には減資は会社の欠損金を補填するために行われることが多いため、減資といえば無償減資を指すことが多いようです。 

なお、減資の手続きはあくまでも資本金を減少させるための手続きであり、減資手続きと株式数は無関係です。仮に減資に合わせて株式数も減少させたいのであれば、自己株式の取得・償却など減資とは別の手続きを合わせて行う必要があります。

減資の手続きの流れ

(1)株主総会決議

減資は重要な事項であるため、原則として株主総会の特別決議が必要となります(会社法447条1項、309条2項)。

例外的に、定時株主総会において減少する資本金の額を欠損の範囲内とする決議をする場合は、定時株主総会の普通決議でも可能です。

(2)債権者保護手続

減資を行う際には、会社法の規定により「債権者保護手続」が必要となります。債権者保護手続とは、債権者に対して異議申立てができる旨を公告し、異議を申立てた債権者には、弁済・担保提供等を行うことです。

減資の場合、次の事項を官報に公告し、また、知れている債権者へは個別に催告をすることになります(会社法第449条2項)。

・資本金等の額の減少の内容

・会社の計算書類に関する事項

・債権者が一定の期間内(一ヶ月以上)に異議を述べることができる旨

また、個別催告についても、公告と同じく1か月以上の異議申出期間を定める必要があります。なお、個別催告については定款の定めに従い、官報への公告に加え、日刊新聞紙または電子公告により公告した場合、債権者への個別の催告を省略することができるとされています(会社法449条3項、939条1項)。

この異議申出期間に債権者からの異議申し立てがなければ、資本金の額の減少は承認されたものとみなされます(会社法449条4項)。

一方で、債権者からの異議申し立てがあれば、会社はその債権者に対し、弁済・担保の提供等を行わなければならない、とされています(会社法449条5項)。

(3)減資の効力発生

減資の効力は、基本的には株主総会等で定めた効力発生日にその効力が生じます。

しかし、効力発生日までに債権者保護手続きが終わっていない場合、減資の効力は生じず、債権者保護手続が終了した際に効力を発生することとなります(会社法449条6項)。なお、株主総会の決議の前に債権者保護手続を実施しておくことも可能です。

(4)減資の登記申請

減資が承認された場合、効力発生日から2週間以内に登記を行う必要があります。

登記の際には、株主総会において減資の決議をしたことを証明する書類(株主総会議事録など)や公告及び催告をしたことを証する書面(官報など)が必要となるため、各手続の都度、証跡となる書面の作成・保管には注意しましょう。

コストとしては、減資の登記に「登録免許税3万円+司法書士等の報酬+公告に関する費用」がかかることになります。司法書士への報酬や公告の費用については、何をどこまで依頼するかや、使用する官報の行数により変動します。

おわりに

オーナー会社であれば株主総会の決議等は比較的容易かもしれませんが、その後の債権者保護手続き等は一定の時間と手間がかかります。

加えて、減資というと取引先等に与えるイメージも考慮する必要があるため、手軽に実施できる方法ではありません。それだけに減資のような影響の大きい意思決定については、早めに税理士などに相談し、慎重に検討することが大事です。

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