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簿記の学習費用は経費にできるか

個人事業主で青色申告をしています。してはいますが簿記のことが確実にわかっているかが怪しいところがあり、きちんと勉強したいと思っています。

しかし、事業を始める前に税務署に相談したところ、「簿記の学習のためのスクール代や書籍代は経費にすることはできない」といわれました。これを踏まえてですが、国税庁ホームページにはこういう記載があります。

No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき
2 次の(1)から(4)までのいずれにも該当しない費用であること。
(個人事業者の場合)
(3) 事業に従事する個人事業者の親族(個人事業者と生計を一にする親族を除きます。)の学資に充てるため支給する費用
(4) 使用人(事業に従事する個人事業者の親族を含みます。)と特別の関係がある者(注)(個人事業者と生計を一にする親族を除きます。)の学資に充てるため支給する費用

親族でも使用人でもなく、ひとり親方的な個人事業主本人が申告のために勉強するためであっても費用に計上してはいけないのでしょうか? 税務署員がウソをついているのですか? 経費にしてもよいなら簿記学校に通うなり書籍を買うなりして勉強したいですし、税務署のいうように経費とは認められないというのであればその根拠のようなものがあれば教えてください。

あるいは、これが適用されるのは「給与」として支給するものに限られ、個人事業主本人には関係ないもの、という扱いなのでしょうか? 逆に、もし仮に経費にできるということであっても、すでに事業を始めてしまってからの支出でも認められるでしょぷか。

よろしくお願いいたします。

税理士の回答

【結論】

個人事業主本人が支払う簿記学校の受講料や簿記書籍代でも、現在の事業の帳簿作成・青色申告など、業務の遂行に直接必要な知識を身につけるためのものであり、金額も通常必要な範囲であれば、必要経費に算入できます。事業開始後の支出であることも、経費算入を妨げるものではありません。

一方、簿記資格の取得、転職、一般的な能力向上など自己研鑽が主目的の場合は、家事費として経費に認められにくくなります。講座に事業と関係の薄い内容が含まれる場合は、内容や金額を合理的に区分し、事業に直接必要な部分だけを経費にするのが安全です。

【根拠】

所得税法37条では、収入を得るために直接要した費用や業務上の費用を必要経費としています。さらに所得税基本通達37-24は、事業主本人を含む「業務を営む者」が、業務遂行に直接必要な技能・知識を習得するために支出した通常必要な費用を、必要経費に算入すると明示しています。

ご質問にある国税庁タックスアンサーNo.2588は、事業主が使用人などに学資を支給した場合、それを給与として課税するかという源泉所得税上の取扱いです。個人事業主本人が負担した学習費を必要経費にできるかを定めたものではないため、今回の判断根拠にはなりません。

したがって、税務署員が嘘をついたとまではいえませんが、「事業主本人の簿記学習費は一律に経費にできない」という説明であれば正確ではありません。相談時に、簿記資格の取得や一般的な自己研鑽のための費用と受け取られた可能性があります。

【実務上の対応】

1. 受講案内、カリキュラム、領収書を保存します。
2. 「青色申告の帳簿作成・決算処理のため」など、現在の事業との関係を記録します。
3. 資格取得や一般教養の要素が強い講座は、全額計上を避け、事業に直接必要な部分を合理的に区分します。
4. 勘定科目は、受講料は「研修費」、書籍代は「新聞図書費」などで処理します。科目名よりも、事業との直接的な関係を説明できることが重要です。

参考:所得税法37条、所得税基本通達37-24、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」、No.2588「学資に充てるための費用を支出したとき」

国税OB税理士です。
税務署の職員が間違っていますね。きっと若い職員で、取り扱いをよく勉強していなかったものと推測されます。
大丈夫ですので、しっかり勉強してください。税理士も参考図書は、結構購入しています。当然経費にしております。

ご安心ください。

事業を始める前に税務署に相談したところ、「簿記の学習のためのスクール代や書籍代は経費にすることはできない」といわれました。

聞き方が悪かったと思います。
もう一度、よく聞いてください。
資格を取るための費用は経費にできないと思いますが。
よろしくお願いいたします。

今村先生、西野先生、竹中先生、ありがとうございます。ただ、先生方からいただいたご回答でちょっと相違点があるように思います。

大企業の経理に勤めるわけではありませんので1級なんかは必要ないと思いますが(そもそも難しすぎて取れない)、事業で複式簿記で記帳するにあたって簿記の勉強のためにスクール(たとえば大原簿記やLECなど)に通うとすると、どうしても「〇級取得講座」のようなものを受けざるをえませんし、そもそもそういう講座しかありません。

竹中先生は「資格を取るための費用はNG」、今村先生は「資格取得や一般教養の要素が強い講座は、全額計上を避け、事業に直接必要な部分を合理的に区分」、ということですが、そのあたりはどう考えればよろしいでしょうか。ようするに、資格を取ることが目的ではなく、スクールで勉強すると否応なく自動的に資格取得講座にならざるを得ない、という状況です。授業を受けて勉強するだけして資格試験を受けなければいい、ということなのでしょうか?

また、今村先生のおっしゃる講座費用を合理的に案分というのも、たとえば自宅兼事務所などであれば面積で案分するとかできそうですが、知識として頭に入れたものの案分について、いくらにすればいいのか全く見当がつきません。半分くらい計上してもよい感じでしょうか?

西野先生は問題ないとおっしゃってくださっていますが、たとえば簿記学校で2級講座を受け、その授業料並びに試験の受験料を全額費用にしてもいいということでしょうか、それともスクール代は費用にしてもいいが、受験料は「簿記をつけるのに資格は必要ない」ということで費用にしないほうがいいということでしょうか。また、授業を受けるにしても、3級講座はいいが2級講座はダメだ、などの制限はありますでしょうか。個人的な感覚では、3級は街の商店街の個人商店、2級は個人でも様々な取引のある人、という印象ですが。

当たり前ですが脱税したいとかそういうことではなく、真面目にできるだけ間違いのないようにやっていきたいだけです。実務上どうなっているのか、どのあたりまでは認められてどこからはねつけられているのかなど教えていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

この記載を残し、経費にしてください。経理をするために直接必要な勉強であると。言い切ってください。

お世話になります。途中から失礼いたします。

ご質問に対する回答)
質問者さまの類似のケースでは、すべて必要経費に計上しているケースが散見されますし、質問者さまの内容から必要経費に算入しても構わないと個人的にも考えます。

また、税務調査でも、必ず指摘を受けるわけでもなく、否認されるわけでもありません。言及すらされないこともあります。

しかし、税務調査時に、いざ否認されると、途端に納税者不利の状況となる現実は、ご理解いただくことをおすすめ致します。
―――――――――――
補足)
これまでの判例において長らく、必要経費の要件として税法に明記されていない「事業との直接関係性」が強く要求されてきましたが、最高裁の決定(平成26年1月17日)により直接関連性については緩和されたと解されています。

しかし、所得税基本通達37-24においては、「業務の遂行に直接必要な...費用」と明記されたままです。課税実務だけでなく、裁判実務も裁判官は極めて少数の例外を除いて、通達を中心に税務訴訟を進行させている...とのことです。(税務訴訟に強い鳥飼弁護士の解説ページ http://www.torikai.gr.jp/compliance/3585 )

ここで、これまでの個人事業主の自己研鑽費用や研修費用についての判例や裁決事例において、次の3つが検討されている要素だと整理できます。

①業務関連性が有るか否か
②事業遂行上必要か否か
③業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができるか否か

これらを質問者さまのケースを当てはめてみますと、簿記の知識習得は業務関連性が有るか否か...については、間違いなく客観的に有ると認められるでしょう。次に、事業遂行上必要か否か...については、簿記の知識習得がなくても業務遂行は可能と指摘され得るため、少し苦しくなります。最後に、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができるか否か...については、質問者さまも言及されているとおり、最大のネックだと個人的には考えます。

他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になれば幸いです。

補足となります。

個人事業で整骨院を営む者が、今後の業務の維持・拡大のために柔道整復師の専門学校に支払った授業料の必要経費性が否定された判例(大阪高裁令2.5.22)が有名です。授業料が、当該業務に係る収入の維持又は増加の効果を有するものとしても、所得に含まれない人的資本の価値の維持又は増加をもたらすものと判示されました。

上記判例を、簿記の学習費用に当てはめると、簿記の知識が収入の維持又は増加に関連する例えば記帳代行業などを営む個人事業主であっても、「否認されて争った場合は」苦しい状況となり得ます。そのため、他業種における簿記の学習費用は、より苦しくなります。

しかし、繰り返しにはなりますが、簿記の知識も個人事業の経営に必要と判断して、必要経費に計上しているケースは散見される現実があります。また、課税庁も記帳を強く推奨していますし、こちらの他の先生方のアドバイスも参考に、積極的にリスクを取るのか、保守的にリスクを避けるのか、質問者さまが判断するほかないと考えます。

少しでもご参考になれば幸いです。

なるべくシンプルにまとめて回答します。

結論
経費にできますので、安心して勉強してください。

根拠
No.2588は従業員や親族に学資金を支給する場合の規定なので、今回はここが根拠にはなりません。

代わりに使うべきは所得税基本通達37-24です。「業務の遂行に直接必要な技能・知識の習得費用」は必要経費にできる、という規定で、こちらが当てはまります。

簿記の知識は記帳・申告という業務そのものに直結するものですから、「業務に直接必要」だと胸を張って説明できる内容です。

勘定科目
スクール代 → 研修費
書籍代 → 新聞図書費

気をつけたい点
簿記検定の受験料となると、少しグレーです(「資格取得」は業務ではないとみなされるリスクがあるため)。ただ、講座代や書籍代は問題ありません。

すでに開業されているので、支払った年の経費として普通に計上すればOKです。開業費のような特別な処理は要りません。

念のため「申告業務の質を上げるため」と説明できるよう、受講の目的や内容を簡単にメモしておくと、もしもの時も安心です。

しっかり基礎を固めて、自信を持って青色申告に臨んでください。

本投稿は、2026年08月05日 19時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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