クラウドファンディングでの出資が寄附金控除の対象となるのはどんなとき?

クラウドファンディングは寄附とも似ていますが、実は「寄附金控除」の対象となるときがあります。ただし中には控除の対象にならないクラウドファンディングもあるのでよく確認しておきましょう。このページでは、寄附金控除の対象となるクラウドファンディングや手続きについて解説します。
目次
控除の対象となるのは寄附型クラウドファンディングのみ
ひとくくりにクラウドファンディングといっても、大きく分けて「投資型」・「非投資型」に、さらに「投資型」から株式型・融資型・ファンド型、「非投資型」から報酬型・寄附型の、合計5つに分類することができます。
「投資型」は出資に対して金銭によるリターンがあり、「非投資型」は支援金に対して物品やサービスでのリターン、もしくはリターンがないものを指します。
投資型
契約期間中の一部売り上げが出資者に配分されます。それに加えて製造業の場合は製品も送られることが多いようです。損益分岐点を越えれば、製品に加えて配当がついた出資額が戻ってきます。
株式型
将来性のある未上場の会社の株式を購入できます。金額の上限などの規制はありますが、支援としての色が強い株式投資といえます。
融資型
小口の出資者が集まって、中小企業に対して大口の貸付けを行い、貸付けへの利率が配分されます。投資型の中でもより資金運用に近く、世界ではもっともシェアの高いクラウドファンディングとなっています。
報酬型
クラウドファンディングと聞いてイメージされるのはこのタイプでしょう。イベント開催や製品の発売に用いられ、リターンとしてチケットや製品が送られます。
寄附型
手紙や活動報告が送られることはありますが、この5種類の中では唯一リターンがなく、クラウドファンディングの仕組みを利用した寄附ともいえます。認定NPO法人や自治体、学校法人など公益的な活動を行う団体に対する出資となります。
寄附金控除の対象となるのはこのうち、「寄附型」のみです。対象となるクラウドファンディングには基本的に控除の対象となる旨が書いてあります。
控除額の計算方法
寄附型クラウドファンディングによる控除は、「寄附金控除(所得控除)」として確定申告で申請することになります。
一部の特定公益増進法人や認定NPO法人、政党、政治資金団体への寄附の場合は、「政党等寄附金特別控除(税額控除)」を選択して申告することも可能です。どちらが有利になるかは、所得金額によって違うので比較してみるとよいでしょう。
寄附金控除(所得控除)
寄附金控除額 = 1/1〜12/31に支出した特定寄附金の額の合計額※ - 2000円
※1/1〜12/31の総所得金額等の40%が上限
たとえば、1年間に20万円を寄附型クラウドファンディングに出資したとします。このとき、総所得金額等が300万円であれば、「20万円 - 2000円 = 19万8000円」が寄附金控除となります。
総所得金額等とは
純損失や雑損失など各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。
政党等寄附金特別控除(税額控除)
政党等寄附金特別控除 =(1/1〜12/31に支出した特定寄附金の額の合計額※ - 2000円)×30%
※1/1〜12/31の総所得金額等の40%が上限
政党等寄附金特別控除の合計は所得税額の25%までが上限で、100円未満は切り捨てになります。適用するには、各種「計算明細書」の添付が必要です。
寄附金控除手続きの流れ
ではここからは、寄附型クラウドファンディングを行ったのち、どのような流れで申告をするかを見ていきましょう。
1.領収書を受け取る
寄附金の控除を受けるには確定申告書に添付するための領収書が必要です。クラウドファンディングの場合は活動報告書などとともに送られてくることが多いようなので、保管しておいてください。
2.源泉徴収票を会社から受け取る
会社員やアルバイトなど給与所得者は12〜1月頃に会社からもらえる「源泉徴収票」を受け取ります。フリーランスなど個人事業主であれば「支払調書」が取引先から送られてきますが、なければ自分で収支をつけておいたものをまとめておきましょう。
3.確定申告書の作成
確定申告書に「源泉徴収票」や「支払調書」の内容を転記していきます。
先述のとおり、寄附金特別控除を受ける方は、合わせて各種計算証明書を提出する必要がありますが、e-Taxでの電子申告の場合は必要ありません。忘れずに団体から受けとった領収書も添付しましょう。
4.税務署に確定申告書を提出する
振込先銀行口座を記載した上で税務署に確定申告書を提出します。
5.還付金の振込
確定申告してから2〜3か月後には還付金が振り込まれます。このとき、源泉徴収されている所得税よりも、確定した所得税が多ければ還付ではなく納税することになります。
おわりに
クラウドファンディングでの寄附の一番の特徴は、資金の使い道がはっきりしていること、さらに自分の寄附したお金がどう使われてどんな結果になったのかが明確にわかることです。寄附型のものであれば、応援したい団体に支援して、さらに寄附金控除で節税までできます。
自分が行ったクラウドファンディングが寄附金控除の対象になるかわからない場合は、クラウドファンディングの運営会社か、お近くの税務署などで確認してください。
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