最も確実な遺言方法「公正証書遺言」の作り方とメリットを専門家がわかりやすく解説!

将来の遺産相続対策として遺言書の作成が注目を集めています。ただ、本人が直筆で作成する「自筆証書遺言」については、利用する人が多い反面、素人が自分で書いたがためのミスが多く、場合によっては無効になってしまうものもあります。
そこで今回おすすめしたいのが、最も確実性の高い「公正証書遺言」です。公正証書遺言の特長や作成方法について徹底解説いたします。
目次
公正証書遺言の作り方について
公正証書遺言は自筆証書遺言よりも様々な点で優れているため、作成方法について自筆証書遺言よりも若干複雑になります。
順を追って解説します。
遺言内容を決める
まずは遺言書に書く内容について検討します。
また、事前に財産目録(財産の概要を記した書類)の作成や相続人予定者の確認(戸籍謄本の取得)などをしておくと、より適切な遺言内容を検討することができます。
公証役場との打ち合わせ
自筆証書遺言の場合は、内容が決まればあとは直筆で書くだけですが、公正証書遺言の場合は、自分で考えた遺言内容を公証役場(公正証書を作成してくれる官公庁)の公証人に書いてもらうことになります。
そこで、まずは遺言書の本番を書き始める前に、一度公証人と遺言書作成の事前打ち合わせをします。打ち合わせの方法は、電話、ファックスもしくは公証役場まで直接出向いて行います。
あなた自身が考えた遺言内容が、法的に問題ないのかなど、丁寧にアドバイスをしてくれますので、遺言内容にミスがあればこの時点で気がつくことができます。
公証人って誰?
一般の方は公証人と聞いてもあまりピンとこないことと思います。公証人とは簡単に言うと、元検察官や元裁判官など法務大臣から任命を受けた法律のプロフェッショナルです。公証人に遺言書の内容について相談にのってもらいながら、原案をまとめます。
証人の手配
公正証書遺言を作成するためには、作成日当日に「証人」の立会いが必要となります。公正証書遺言の作成で一番面倒な部分ですが、立ち会ってくれる証人さえ見つかればそんなに大変ではありません。
証人として立会いが認められるのは、将来相続人となる予定の人や遺贈を受ける人など遺言書の利害に関係する人以外に限られます。
そのため、友人知人や遠い親戚、会社の上司などにお願いすることを検討しましょう。証人は作成日当日認印が必要になります。
なお、どうしても証人が自分で手配できない場合は、公証役場に相談すると証人を紹介してもらうこともできます。また、公正証書遺言の作成を弁護士、税理士、行政書士などの専門家に依頼している場合は、証人の手配も全てサポートしてくれますので安心です。
必要書類の収集
公正証書遺言を作成するためには、作成日までに次のような書類が必要となります。
- 本人の印鑑証明書及び実印
- 相続人予定者と本人との関係がわかる戸籍謄本
- 遺贈する場合は受遺者の住民票
- 遺言内容に不動産がふくまれている場合は、登記簿謄本、固定資産税評価証明書
- その他公証役場から指示があった書類
作成日当日の流れ
そして、公正証書遺言作成の本番を迎えます。当日は次のような流れで進行します。
- 本人が公証人に対して事前に打ち合わせをしていた遺言の内容を口頭で伝える
- 公証人が遺言の内容通りに記載していきます
- 公証人の記載が終わったら、その内容を声に出して読み上げます。
- 内容を確認したら、最後に本人、公証人、証人の全員がその遺言書に署名捺印をします。
公正証書遺言は、事前に打ち合わせをしているため、作成日当日は予定どおり形式的に行われることが多いようです。
これが公正証書遺言作成の大まかな流れです。
公正証書遺言の大きな2つのメリット
様々なリスクから遺言書を保護できる
自筆証書遺言の場合、作成後どこに保管するのかについても本人の裁量に委ねられています。そのため仏壇など家の中に保管していると、万が一相続が発生する前に誰かに発見されてしまうと、隠蔽、改ざん、紛失といったリスクがつきまといます。
それに対し公正証書遺言の場合は、遺言書の原本を公証役場で20年間保管してくれるため、自筆証書遺言におけるリスクを全て回避することができます。
なお、本人には原本の代わりに正本と謄本が渡されますので、これを相続発生まで大切に保管します。公正証書遺言の作成を弁護士に依頼している場合は、謄本を弁護士に預けて保管してもらうことが一般的です。
公正証書遺言は、公証役場で存在を検索できる
公正証書遺言については、遺言書が残されているかどうかについて、公証役場で照会してもらうことができます。自筆証書遺言の場合は、万が一遺言書が見つからなければそれまでですが、公正証書遺言であれば、全国どこの公証役場からでも、遺言書が残されているのか、残されているとしてどこの公証役場なのかについても簡単に検索できます。
よって、遺言書が見つけられないまま遺産分割が終わってしまうリスクも回避することができます。
おわりに
単に直筆で書くだけで作成できる自筆証書遺言に比べ、公正証書遺言は事前の打ち合わせなども含めると、若干手順が多い印象を受けるかもしれません。
ですが、公正証書遺言は、作成、保管、執行の3つの面において最も確実性の高い遺言書であると言えます。
公正証書遺言は、弁護士はもちろんのこと、相続税の節税対策に対応している税理士でもサポートしてもらうことが可能ですので、ぜひ一度相談してみることをおすすめします。
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