2017年10月に始まった「IT重説」とは?IT重説で部屋探しが変わる!?

営業マンが同行しなくても遠隔操作で現地の鍵を開けられる「スマート内覧」や、VRゴーグルを使って擬似内見ができる「VR内見」など、最近の不動産業界は急速にIT化が進んでいます。アパートやマンション経営をしている大家さんや不動産投資家の方にとっては、部屋探しの効率が良くなって、空室率の低下や市場の活性化に期待が持てるでしょう。
そんな中、2017年10月からさらに新たな運用が開始されています。それは「IT重説」です。不動産に疎い方からすれば何のことやら、という感じかもしれませんが、このIT重説は部屋を貸す大家さんや不動産投資家、仲介する不動産会社、そしてお部屋探しをするユーザー三者にとって非常に大きなメリットがあります。そこで今回は、知っておいて損はない、不動産業界で今ホットな話題の「IT重説」について解説します。
目次
そもそも重説って何?
IT重説を解説する前に、そもそも重説とは一体何なのでしょうか。重説とは「重要事項説明」の略称です。
重要事項説明とは、不動産の契約に先立って行う、文字どおり重要な事項の説明のことで、この時に使用する書面を重要事項説明書といいます。不動産会社が作成する契約書類の中でも、最も重要と言っても良い位置付けの書類です。
重要事項説明では、部屋を借りる際の家賃や敷金礼金などの条件はもちろんのこと、物件の権利関係や設備関係など詳細に説明をします。
非常に重要な説明事項のため、説明できるのは宅地建物取引士という国家資格保持者だけです。
通常の重説とIT重説の違いとは
重説はこれまで原則として「対面」で行わなければなりませんでした。そのため、地方の人が都心で部屋を探す場合、重要事項説明書を郵送してサインして済ませることはできず、必ず一度は不動産会社の店舗に来店する必要がありました。
ただ最近では、冒頭でお話ししたスマート内覧やVR内見など、ユーザーが不動産会社の店舗に来店しなくても、自分で部屋探しができる時代になったため、契約前に不動産会社に足を運ぶのは非常に非効率となっていました。
そこで登場したのが「IT重説」です。IT重説とは、オンラインのライブビデオ映像などを使って、遠方にいる相手に重説をすることを意味しています。
例えばLINEのビデオ通話などで、不動産会社とユーザーをつないで、そのまま重説ができるのです。これまでも技術的にはIT重説が可能でしたが、十分にユーザーに説明ができるのかどうかの検証実験が繰り返し行われ、ようやく10月から運用開始となったのです。
IT重説でどんなメリットがある?
ではIT重説が始まったことで、誰にどのようなメリットがあるのでしょうか。
大家さんにとってのメリット
これまで賃貸借契約を締結するためには、不動産会社がユーザーと重説するまで待つしかありませんでした。そのため、遠方の人が部屋を探す場合、地方から上京するまで契約を締結することができませんでした。
これが、IT重説の導入によって、ネット環境があれば、スマホなどを使って重説ができるため、契約手続きがとてもスムーズになり、その結果、早く家賃を開始することができます。
最近では、留学生のユーザーも増えているため、IT重説によって海外にいる相手ともスムーズに賃貸借契約を結ぶことができます。
不動産会社にとってのメリット
重説のための日程調整が格段に楽になるため、契約まで最短でスケジュールを組むことができます。
また、IT重説のビデオ通話は相手の了解を得ることで録画することもできるため、後から「言った」「言ってない」というトラブルの際の重要な証拠にもなります。
ユーザーにとってのメリット
何より、重説を聞くために来店する必要がなくなります。
また、スマホのアプリなどでも一定の要件を満たしていればIT重説が可能なため、特殊な機器を揃える必要もありません。
大家さんは説明不足に注意が必要!?
これまで重説は時間の問題で、短時間に形式的な形で終わらせてしまうケースが多く、ユーザーが十分に内容を理解しないまま終わっていることも多々ありました。今回のIT重説によって、さらに重説がいい加減になるのではとの懸念が一部から出ているようです。
たしかにその注意は必要ですが、必ずしもそうとも限りません。IT重説であれば、相手は自宅でゆっくり重説を聞けますし、あらかじめ送られてきた重要事項説明書に目を通す時間も与えられることになります。かえってIT重説の方が、トラブルが減るという可能性もあるかもしれません。
おわりに
IT重説の運用開始によって、今後は不動産会社に来店しなくても部屋探しが実質的に可能になってきます。また、不動産取引が活性化することは間違いないでしょう。なお、現在IT重説が全面解禁となったのは、賃貸だけで売買はまだ解禁されていません。
とはいえ、海外投資家が日本の不動産に興味を示していることなども踏まえ、今後は売買契約における重説について可能になる日も、おそらくそう遠くはないことでしょう。
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