法定相続人について
先の質問の続きです。
伯母の遺産を相続することなりました。遺言の公正証書で2人姉妹の姪(次の弟の子)が相続します。
伯母には、配偶者、子、両親もなく、5人兄弟の姉、弟、妹、弟のうち、姉、妹以外はなくなっております。
遺言執行人の司法書士は、伯母の補助人で、補助人となった令和元年に戸籍調査し、姉、妹は生存、それぞれ子が3人と1人、弟は死亡、子は2人生存となっています。その後、本年9月伯母の死亡時以降戸籍調査はしていません。
以上の状態で相続税の申告をしますが、伯母の遺言執行人の司法書士は、以前先生方がご回答いただいたことを伝えても、相変わらず公正証書の2人のみが法定相続人で、姉妹、甥姪等は法定相続人ではないと言い張っています。相続税は法定相続人2人ですればよく、知り合いの公認会計士を紹介するとの一点張りです。相続財産は4,700万円で、法定相続人が3人になれば控除金額以下となるはずなのに、この司法書士の言い分は正しいのでしょうか。不安で仕方ないのでどうかよろしくご教示ください。
税理士の回答
ご不安なお気持ち、お察しします。税務上の扱いを整理します。
【結論】 相続税の基礎控除の計算に使う「相続人の数」は、民法の規定による相続人の数であり、遺言で財産をもらう人の数ではありません。ご記載の事実関係どおりであれば、遺言で取得する姪御さん2人だけを数えるのではなく、少なくともご存命の姉・妹の2人と、亡くなった弟さんの子2人(姪御さん)を合わせた4人以上になると考えられます。したがって、法定相続人は遺言で取得する2人のみ、とする見解は、基礎控除の人数の数え方としては当たらないと考えられます。
【根拠】 ①相続税法15条1項は、基礎控除額を「3,000万円+600万円×相続人の数」とし、同条2項でその人数は「民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数」(相続の放棄があってもなかったものとした数)と定めています。財産を取得するかどうかは人数に関係しません。 ②被相続人に子・直系尊属がいないときは兄弟姉妹が相続人となり(民法889条1項2号)、先に亡くなった兄弟姉妹がいれば、その子(甥・姪)が代襲して相続人になります(同条2項による887条2項の準用)。兄弟姉妹の場合、代襲は甥・姪までで、その子への再代襲はありません。 ③相続税法基本通達15-2の設例(子が先に亡くなり孫が代襲する例)でも代襲者は各1人と数えており、甥・姪が代襲する場合も同様に1人ずつ数えると考えられます。
【人数と基礎控除の目安】 ・姉、妹、姪御さん2人の4人の場合:3,000万円+600万円×4人=5,400万円 ・もう1人の亡くなった弟さんにも子がいれば、その人数分が加わります。 ・4,700万円が相続税の課税価格の合計額であれば、4人以上なら基礎控除以下となり、申告は不要です(相続税法27条1項)。
【ご確認いただきたい点】 ・人数は伯母様の死亡日(本年9月)時点で決まります。令和元年の調査後に姉・妹が伯母様より先に亡くなっていれば、その子が代襲します(伯母様より後に亡くなった場合は、その方も人数に含みます)。伯母様の出生から死亡までの戸籍、ご両親の戸籍、亡くなった弟さん2人の戸籍を取り直して確定させることが大切です。 ・4,700万円がどのような評価額かも重要です。土地は路線価等で評価し、預貯金は死亡日の残高、生命保険金や死亡退職金、過去の贈与なども含めて判定します。評価の結果、基礎控除を超える場合は申告が必要です。 ・小規模宅地等の特例などを使って基礎控除以下にする場合は、申告書の提出が適用の要件です(租税特別措置法69条の4第7項)。 ・なお、税額が出る場合、姪御さんは代襲相続人であっても相続税額の2割加算の対象です(相続税法18条)。 ・兄弟姉妹には遺留分がありません(民法1042条1項)ので、相続人の人数を正しく数えても、遺言による姪御さん2人の取得には影響しません。
申告の要否は戸籍による相続人の確定と財産評価次第ですので、戸籍一式と財産資料をお持ちのうえ、お近くの税理士にご確認ください。
本投稿は、2026年10月29日 05時05分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







