クリニックの税理士費用の相場はいくら?お客様実例や税理士の選び方をご紹介します

自身で患者さんを診ながら経営も担っている場合、経理や会計業務は税理士にお願いすることで本業に専念できます。しかし、気になるのは予算のことではないでしょうか。
そこで、クリニックや医院における税理士の費用相場や顧問料実例をご紹介。また、顧問税理士をつけるメリットや税理士の選び方について、税理士法人石川小林の小林拓未税理士にお話を伺いました。
目次
税理士費用、相場はどのくらい?
税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」には、クリニックや医院を営む方からのお問い合わせも多くいただいております。そのようなお客様の顧問料平均を見ると、個人医院で年間約45万円、医療法人で約65万円となっています(2016年12月〜2024年11月集計)(※)
つまり、月額に換算すると、個人医院で3〜4万円、医療法人で5〜6万円程度ということです。
ただし、これはあくまで実績平均であり、依頼する業務内容や売上規模などによって報酬金額は変わります。そのため、契約する前に事前に詳しい見積もりを出してもらうようにするのがよいでしょう。
※税理士紹介サービスについてはこちら
税理士費用を決める要素
クリニックの経営にかかわらず、税理士費用は以下の要素で構成されています。このことを理解しておけば、最適な金額で税理士に依頼することが可能になります。
売上高
売上が大きいほど取引数や納税額が大きくなるため、必然的に税理士の報酬金額も高くなります。
税理士へ依頼する業務内容
たとえば確定申告書の作成を依頼したり、記帳代行も依頼する場合には、税理士の業務が増えるため、その分報酬金額が高くなります。また、税務顧問においても、訪問頻度が多くなると顧問料が高くなります。
なお、税理士に依頼できる業務は大きく以下のとおりです。
- 税務顧問(基本料金)
- 確定申告書の作成(月額顧問料の数か月分)
- 記帳代行
- 年末調整
- 給与計算
契約パターン
税理士との契約には、業務ごとに都度依頼する「スポット契約」か、継続的に依頼する「顧問契約」の2パターンあります。
顧問契約の場合、各業務の費用が顧問料として含まれていることもあり、スポット契約の場合と費用が異なるケースがあります。
実例を紹介!クリニックや医院における税理士顧問料
税理士費用が何で決まるかわかったところで、気になるのは実際にいくらかかるかでしょう。
そこで、税理士ドットコムが運営する「税理士紹介サービス」に寄せられたご相談の中から、実際に顧問契約に至った方の顧問料実例を紹介します。
実例1)年間顧問料:360,000円
売上高 2500万円/個人医院・歯科(岐阜県)
- 従業員数 : 5名
- 依頼内容:税務顧問、年末調整、確定申告
契約されていた税理士との契約終了に伴い、税理士をお探しというケースです。同業種の顧問経験がある税理士が希望というご相談でした。
これまでの顧問料よりも抑えたいとのご意向で、定期的な訪問と記帳代行を無しにすることで減額交渉に成功し、確定申告料込み年間36万円(税別)でご契約となりました。
実例2)年間顧問料:510,000円
売上高 6000万円/個人医院・眼科(鹿児島県)
- 従業員数 : 6名
- 依頼内容 : 税務顧問、記帳代行(領収書・月約30枚)、年末調整、確定申告
クリニックを運営されている医師の方より、顧問税理士が引退されるとのことで新たに税理士を探しているとのご相談です。
月一度の訪問を希望され、記帳代行や年末調整、確定申告料込みで年間51万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:750,000円
売上高 1億5千万円/個人医院・内科(神奈川県)
- 従業員数 : 8名
- 依頼内容 : 税務顧問、記帳代行(領収書・月約100枚)年末調整、確定申告
医院の代替わりに伴う税理士変更のケースです。同年代かつ医業の顧問経験がある税理士をご希望でした。
医療法人化の検討も含めて相談できる税理士が見つかり、記帳代行、年末調整、確定申告料込み年間75万円(税別)でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:800,000円
売上高 7700万円/個人医院・眼科(神奈川県)
- 従業員数:7名
- 依頼内容:税務顧問、記帳代行(領収書・月50〜100枚)、給与計算、確定申告
医療法人またはMS法人を設立するかで悩まれ、医療法人の創業支援に強い税理士を探しているとのご相談です。
税務のほか、社会保険等の手続きに関してもすべておまかせしたいとのことでしたので、社労士も在籍する税理士法人をご紹介。記帳代行や給与計算、確定申告料込み年間80万円(税別)で契約され、社会保険関連等の手続きまでワンストップでお願いすることができました。
実例5)年間顧問料:280,000円
売上高 1400万円/医療法人・歯科(宮城県)
- 従業員数 : 3名
- 依頼内容 : 税務顧問、決算申告
契約中の税理士に対しサービス面で不満があるため、変更したいというケースです。これまでと同程度の顧問料を希望で、決算料込み年間28万円(税別)でご契約となりました。
実例6)年間顧問料:544,000円
売上高 1億円/医療法人・産婦人科(神奈川県)
- 従業員数 : 7名
- 依頼内容 : 税務顧問、記帳代行(領収書・月約50枚)、年末調整、決算申告
現在契約中の税理士が廃業するため、新しく税理士をお探しのケースです。現在の予算の範囲でお願いできる税理士を希望されていました。
複数の税理士を紹介された結果、面談で好印象だった税理士と、記帳代行、年末調整、決算申告込みで54万4000円(税別)で顧問契約されました。
実例7)年間顧問料:1,000,000円
売上高:1億円/医療法人・専門外来(東京都)
- 従業員数 : 40名
- 依頼内容 : 税務顧問、記帳代行(領収書・約50枚)、決算申告
書類作成のみを依頼している税理士がいるが、今後は毎月訪問で積極的に関与してもらえる税理士に変更したいとのことでご相談いただいたケースです。依頼者様が契約しているコンサルティング会社と連携しつつ、経営や財務のアドバイスができる税理士をご所望でした。
複数の税理士と面談し、その中から医療業界に明るい税理士をお選びになり、年末調整、記帳代行、決算料込み年間100万円(税別)でご契約されました。
医業の会計・税務のポイント
税理士をつける場合でも、経営者として会計・税務の知識は持ち合わせておきたいところです。
そこで、クリニックや医院を営む方が気をつけるべき税務・会計のポイントについて、税理士法人石川小林の小林拓未税理士にお話をお聞きしました。
ー 小林拓未 税理士「医業の税務は一般法人と比べて特殊な処理が必要になる」
医業の税務は一般法人と比べて特殊であり、具体的に異なる点は、大きく以下の3つです。
- 医療法人会計基準等の定めにより、一般的に使用される勘定科目や計算書類の形式が異なる
- 事業税の計算が異なり、総収入に占める社会保険診療報酬に係る部分については、非課税とされている
- 社会保険診療報酬が5000万円以下である場合、概算経費が認められている
そのため、もし税理士をつけないのであれば、経営者または経理担当者は、医業の会計、税務知識や経験が必要となります。
クリニック・医院で税理士をつけるメリット
税理士に会計処理や確定申告を依頼すると費用がかかります。そのため契約するメリットも合わせて考慮し検討するとよいでしょう。
そこで小林税理士に、税理士と顧問契約するメリットや税理士選びのポイントについても伺いました。
Q.顧問契約をする利点はなんでしょうか?
ー 小林拓未 税理士「税務や融資、補助金など、事業をより良くする提案が受けられる」
税理士をつけることにより、適正な税務申告を行うことができるのは言うまでもありませんが、加えて税務や融資、補助金の情報など、事業をより良くする提案が受けられることも利点でしょう。
また、顧問先のほかのクリニックの事例を知ることができることや、トラブル発生の際に弁護士などの適切な専門家の紹介が受けられることもあります。
顧問税理士がいれば税務以外のサポートも期待できる
自院で経理・会計業務をまかなっている場合、労務や社会保険関連の業務も自院で対応しているケースも多いでしょう。
労務や社会保険関連の手続きは、本来であれば税理士の業務ではありませんが、社労士と提携している税理士と顧問契約すれば、まとめてワンストップで対応してもらえます。
また、顧問契約を多く請け負う税理士であれば、経営アドバイスやコンサルティング業務を行っているケースもあります。医療法人の設立を検討していたり、経営の悩みがあった際にも、相談に応じてもらえるので安心です。
クリニックに最適な税理士の選び方
医業でもさまざまな分野があるように、税理士においても専門とする業界や得意なジャンルがあります。そのため、実際に税理士を探すときも一定の基準を軸に選ぶといいでしょう。
そこでクリニックを経営する方の税理士選びのポイントについて、小林拓未税理士にお聞きしました。
Q.医業の方はどのような基準で税理士を選べばよいでしょうか?
ー 小林拓未 税理士「同じ診療科目の顧問先を持っている税理士が望ましい」
前述したように、医業の税務は一般法人と比べて特殊なため、医業の会計、税務の経験が豊富で、できれば同じ診療科目の顧問先を持っている税理士が望ましいといえます。
また、一般的に院長先生個人の所得も多額になりますので、個人の税金対策、将来の相続対策についても適切なアドバイスを行うことのできる税理士であれば、なお良いといえます。
クリニックや病院の税務に強い税理士をお探しのときは
「契約中の税理士の引退に伴って新しい税理士を探している」「税金が高いので積極的に節税アドバイスをしてくれる税理士が良い」など、税理士選びでお悩みの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
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