クラウド会計を使う3つのメリットと選定のポイント

伝票をそろえて、仕訳をして、会計ソフトに入力する。従来、手作業で行われているこの一連の経理業務が自動化できるクラウド会計サービスの存在をご存知でしょうか?
クラウド会計サービスは、従来の会計ソフトに比べ、格段に利便性が向上し、面倒な経理作業から解放してくれます。そこで、今回はクラウド会計サービスのメリットと選定のポイントを中心についてご紹介します。
目次
クラウド会計サービスの3つのメリット
クラウド会計サービスは、パソコンにソフトウエアをインストールするが必要なく、ブラウザを通じてサイトにログインして利用します。インターネットがつながれば、特別の設定をすることなく会計ソフトを利用することができます。
クラウド会計サービスのメリットは、主に次の3つが挙げられます。
費用を抑えて導入できる
初期費用は、従来のインストール型のソフトウェアに比べ、格段に安いケースが多いです。 また、運用コストも、インストール型ソフトのように専用サーバーを導入する必要もなく、費用も手間も抑えて運用することができます。
簡単に利用できる
先ほどお伝えした通り、クラウド会計サービスは、パソコンにソフトウエアをインストールする必要がなく、インターネットブラウザを通じて使うことができます。 そのため、インターネットがあれば使用でき、利便性に優れています。また、大事な会計データも、クラウドのサーバーでバックアップされ、データが無くなる心配もありません。
入力作業の手間が大幅軽減
従来の会計ソフトは、キーボードを叩いて手作業で情報を入力します。しかし、クラウド会計サービスの場合、この作業が圧倒的に効率化できます。サービスによっては、OCR機能で伝票を読み込み、その情報を自動で会計ソフトに入力し、仕訳まで行います。もちろん、精度は100%ではありませんが、これまで使っていた会計ソフトに比べ、手作業は圧倒的に減るでしょう。
また、手入力が発生しないよう、他のサービスとの連携も強めています。銀行のオンラインバンキング、POSレジ、決済サービスとの連携を進め、これらの入出金のデータを自動的に会計ソフトに取り込むことが可能となっています。
クラウド会計サービスを選ぶ3つのポイント
クラウド会計サービスを選定する際に、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。ここでは、3つのポイントをお伝えします。
利用目的を明確にする
まずは、クラウド会計サービスを利用する目的をはっきりさせましょう、そして経理・会計処理以外にクラウドへ移行したい業務があるかなど、自社の業務フローを見直しましょう。
クラウド会計サービスもユーザーインターフェースや提供されている機能で違いがあり、ユーザー企業の状況によって最適なものが変わってきます。単純に会計処理のみできればよいのか、販売管理や給与計算まで処理したいのか、あらかじめ利用目的をはっきりさせることをおすすめします。
サービスの提供会社
クラウド会計サービスも多くの企業が提供しています。背景には、クラウド会計サービスの市場が今後の拡大が見込まれること、必要性が高く一度導入されると簡単に解約できないことが挙げられます。意外と見落としがちですが、サービス提供企業のチェックもクラウドサービスを選定する上で、重視したいポイントです。利用者が伸び悩み、収益が上がらない場合、サービスから撤退する可能性もあります。
クラウド会計サービスもシェアを取っている会社がある程度決まっています。その観点で、選定を進めてもよいかもしれません。
機能、価格をしっかり確認
これまで使っていた会計ソフトから、クラウド会計サービスへデータを移行できるか、また操作方法が大きく変わり、業務に支障が出ないかも忘れすに確認しましょう。各社、無料体験版があるので、一度利用してみるとよいでしょう。
また、これから会計ソフトを使うという方は、月額利用料などのコストや取引データの入力のしやすさ、銀行のオンラインバンキングなど外部サービスとの連携、サポート体制の有無などを慎重に見極めましょう。
代表的なクラウド会計サービス
代表的なクラウド会計サービスをご紹介します。
freee

2012年7月に設立されたベンチャー企業freee株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。freeeは2013年3月にリリースされました。クラウド会計ソフトの先駆け的存在でもあります。これまでは、個人事業主向けという印象が強かったですが、最近は給与計算ソフトやマイナンバー管理機能を充実させ、中小企業向けにもサービスを積極的に展開しようとしています。80万事業所で利用されています(2017年4月時点)。
【主な機能】
簿記に詳しくない方でも扱いやすいようユーザーインターフェースが直感的で操作しやすいのが特徴です。自動仕訳機能、銀行のオンラインバンキング、POSレジや決済サービスなどとの連携も充実しており、仕訳の手間を大幅に減らすことができます。
またfreee はAI技術を積極的に利用しようと「スモールビジネスAIラボ」という組織を社内で設けています。将来的には、不良債権の自動検知や資金繰りのシミュレーションなどができるようアップデートを目指しているそうです。
MFクラウド

参照:MFクラウド
株式会社マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトです。2014年2月にリリースされました。ユーザー数は40万人(2015年7月)。テレビCMの効果もあって、ユーザー数が純増しています。マネーフォワードは、2017年9月に東証マザーズへの上場を果たしています。
【主な機能】
基本的な機能が十分にそろったコストパフォーマンスのよい会計ソフトです。また会計経験者にとって使いやすいインターフェイスで、中小規模の企業に向いています。また会計だけでなく「請求書作成」「経費精算」「給与計算」「マイナンバー収集」といったサービスと連携することもできます。
弥生会計オンライン

弥生株式会社は、会計ソフトの分野では、知らない人がいないくらいの存在です。これまでのパソコンにインストールするパッケージソフトで多くのユーザーを獲得して地位を築いてきました。2015年7月にリリースされた弥生会計オンラインも、パッケージソフトを利用しているユーザーのクラウド化だけでなく、新規ユーザーも積極的に獲得していくことでしょう。
【主な機能】
パッケージソフトの弥生会計から、データインポートすることが可能ですので、これまで弥生を利用していた企業にとっては、継続して利用できるメリットがあります。また、操作性も重視しており、銀行のオンラインバンキングやクレジットカードとの連携、簡単な取引入力も特徴の1つです。また「弥生プロフェッショナルアドバイザープログラム」という、弥生と連携している8012もの会計・税理士事務所があります(2017年8月)。契約のある税理士事務所が弥生であえば、自社のクラウド会計も弥生にするとやり取りがスムーズになるかもしれません。
ClearWorks

ClearWorksを提供している株式会社スマイルワークスは、2003年に創業しています。競争が激しいクラウドの分野で14年続いているというのは、注目すべきポイントです。また、日経クラウド大賞など数々の賞を受賞しています。派手さは無いものの、堅実に実績を積んでいることがうかがえます。
【主な機能】
特徴は、会計ソフト「会計ワークス」の他にも、販売管理の「販売ワークス」や給与管理「給与ワークス」も製品ラインナップに揃え、クラウドERPとしてサービスを提供していることです。これにより、販売データや給与データを「会計ワークス」にインプットすることで、会社の財務状況をリアルタイムで把握できるようになります。各々のデータは、データセンターで厳重に保管されています。
おわりに
ここまで、クラウド会計サービスのメリットと選定のポイント、代表的なサービスを紹介しました。クラウド会計サービスの利用は年々広まっており、今後ますます便利になっていくことでしょう。また、クラウド会計サービスを用いると税務申告で必要な書類も簡単に作成することができます。今後の業務改善に、クラウド会計サービスの導入を検討されてはいかがでしょうか。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!