借金は必要経費になるの?借金・住宅ローンの所得税との関係と計上方法について

借金は必要経費として認められるでしょうか?一見すると事業に必要な費用に費用のようにも見えますが、正しくは「負債」に含まれます。そのため、返済によって手元からキャッシュが減っても、必要経費として計上することができません。今回は、借金の仕組みから、所得税との関係について解説します。
目次
借金って何?
帳簿上における「借金」の扱いを見る前に、まずは借金とはどういったお金を指すのか確認しておきましょう。
借金とは「返済を前提に調達したお金」
まず「借金」とは金融機関や個人などから借り入れたお金のことをいいます。金融機関でいえば、融資をはじめ、カードローンやクレジットカードなどが借金に当てはまります。また、個人間でもお金を借りて返済の義務があれば、それは借金に該当するでしょう。
このように借金とは、一時的どこかからお金を調達しており、将来的に貸主に返済するお金のことをいいます。
借金は「元本」と「利息」に分けられる
借金はそのお金の性質で分類すると「元本」と「利息」の2つに分けられます。
- 元本:借入金額そのものの部分
- 利息:借入金額に対して支払う金利の部分
親族や友人間の貸し借りであれば、利息まで支払うことは少ないかもしれません。しかし、銀行や消費者金融などの金融機関で借金をしている場合は、「元本」に加えて、借入日数に応じた「利息」も支払うことになります。そのため、一般的には借入金額よりも、返済金額の方が多いのです。
帳簿上における「借金」の扱いについて
借金は「元金」と「利息」の2種類に分けられますが、これらは帳簿上でどのように扱われるのでしょうか。実務上での取り扱い方法について見てみましょう。
元本部分は「負債」として扱われる
借金のうち元本部分は、帳簿上では「負債」として扱われます。したがって、金融機関などから借入すると、「負債の増加」として経理処理する必要があります。反対に、金融機関へ元本部分の返済をすると、「負債の減少」として処理します。たとえば、以下のような経理処理になります。
- 借入時:現金〇〇円/借入金〇〇円
- 返済時:借入金〇〇円/現金〇〇円
このように返済のために手元からキャッシュが減っていたとしても、あくまで負債が減っているだけなのです。そのため、借金の元本部分は必要経費に計上することができません。
利子部分は「費用」として扱われる
一方、利息部分は帳簿上で「費用」として扱われます。したがって、金融機関に利息を支払うと、「費用の発生」として経理処理できます。利息は借入時点で金利が決まっており、借入日数に応じて支払金額が決定されることが多いです。そして、以下のように経理処理されます。
- 返済時:支払利息〇〇円/現金〇〇円
このように借金の返済のうち、利息部分は費用として扱えます。ただし、この支払利息は業務のために借り入れた借金だけが必要経費となります。家庭のためや個人的な理由での借金の場合は必要経費として計上できないので注意してください。
所得税上の「住宅ローン」の取り扱いについて
借金の1つに「住宅ローン」があります。これは他の借入とは異なり、所得税制上で特別に控除制度が設けられています。そこで「住宅借入金等特別控除」についても解説しておきます。
帳簿上における「住宅ローン」
住宅ローンとは住宅を購入するために金融機関から調達した借入金です。一般的には、住宅は契約者が個人のために所有します。そのため、原則としてこの支払利息は必要経費には計上できません。
ただし、自宅の一部を事業用に利用している場合は事情が変わります。この場合は事業で使っている部分を按分し、その分の支払利息を必要経費に計上することもできます。当然ですが、この場合であっても住宅ローンの元本部分を必要経費に入れることはできません。
所得税の控除制度としての「住宅借入金等特別控除」
所得税制度では「住宅ローン契約者」に向けた税額控除を用意しています。それが「住宅借入金等特別控除」です。これは住宅ローンを利用して住宅の新築や購入、増改築をした場合に、一定要件を満たすと所得税の税額控除を受けられる制度です。
この特別控除を利用すると、最長10年間にわたり「年末残高の1%分」を所得税から差し引くことができます。なお、年間の上限金額は40万円までです。現時点では2021年12月31日まで利用した分に対して住宅借入金等特別控除が適用される決まりになっています。
このように借金の中でも住宅ローンだけは、「税額控除」という特典を受けられることになっています。
おわりに
仮に金融機関等から融資を受けたら、それは借入金として扱われます。返済をしても元本部分は経費に計上できませんが、利息部分は経費に計上することができます。また、住宅ローンの場合は、特別控除が用意されているので、その特典を受けることができます。返済をすると手元からキャッシュは減りますが、負債が減っているだけということをおさえておきましょう。
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