インボイス10月から受付開始、このまま導入すべきか 零細事業者の負担増に懸念の声 - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075861865

  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 消費税
  4. インボイス10月から受付開始、このまま導入すべきか 零細事業者の負担増に懸念の声

インボイス10月から受付開始、このまま導入すべきか 零細事業者の負担増に懸念の声

消費税

インボイス10月から受付開始、このまま導入すべきか 零細事業者の負担増に懸念の声
三木義一氏(2019年9月撮影)

最近、筆者と同じフリーランスの間で、ある心配ごとが話題に上る。消費税10%への引き上げに伴い、2023年10月から導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」の登録申請受け付けが今年の10月1日から始まるからだ。

フリーランスや零細事業者の大半は今、消費税を免税されている「免税事業者」だ。でも、2023年10月からは消費税を納める「課税事業者」として登録しなければ、取引先から排除されてしまう可能性が出ている。

コロナ禍で売り上げが減っている事業者にとって大きな影響があるため、野党が導入延期や改善を財務省に申し入れている。租税法の第一人者で前青山学院大学長の三木義一氏に問題点を聞きながら考えた。(ライター・国分瑠衣子)

●30年前の消費税導入からインボイスが前提

インボイスとは製品やサービスを売る側の事業者が、買う側の事業者に対し、消費税の税率や税額が分かるように発行する請求書のこと。事業者は、売り上げにかかる消費税額から、仕入れや経費にかかる消費税額を引いて(仕入れ税額控除)納税している。

2023年10月1日から、この仕入れ税額控除を受けるための要件が変わる。これが一般に言われている「インボイス制度」だ。2019年の消費増税で軽減税率が導入され、10%と8%の複数税率になり売り手と買い手の適正な課税を確保するために導入された。今は4年間の移行期間中だ。

三木氏は「約30年前に消費税が導入された時から、国はインボイス制度導入を前提としてきた。ただ、当時は事業者からの反対を受けて政治的にとん挫。免税事業者から仕入れたことを帳簿に記入すれば仕入れ税額があったものとして控除できる仕組みが続いてきた」と話す。

ちなみに軽減税率が普及するヨーロッパではインボイスが広がっている。

●インボイスという「金券」を渡さなければ排除されてしまう可能性

インボイス導入で一番の問題とされているのが、年間の課税売上高が1000万円以下で、消費税の納税義務が免除されてきた免税事業者への影響だ。フリーランスや小規模事業者が想定される。

三木氏が説明するように、これまで免税事業者の取引先は、免税事業者から仕入れたことを帳簿に記入すれば、仕入れ税額控除を受けることができた。

でも2023年10月からの新制度では、事業者が発行する適格請求書がなければ仕入れ税額控除が受けられなくなる。

適格請求書を発行できるのは、税務署に登録申請した「課税事業者」だけ。つまり免税事業者だと取引先は税額控除を受けることができないので、取り引きそのものが停止になる恐れがある。

免税事業者が取り引きを打ち切られないようにするためには、税務署に登録申請して「課税事業者」になる必要がある。が、課税事業者になるということは消費税を納税する義務が生じる。つまりフリーランスや小規模事業者にとっては、手取り収入が減る恐れがあるということだ。

三木氏は「取引先にインボイスという一種の『金券』を渡さなければならなくなる。免税事業者もインボイス発行事業者として登録しなければ、商売ができなくなってしまうだろう。コロナ禍で日本の労働者の環境が悪くなる中、小規模事業者へのしわ寄せとなる懸念がある」と話す。

●野党も制度導入延期と改善を申し入れ

コロナ禍で経営が厳しくなっている事業者が多い中、インボイスの導入は負担増になるとして、立憲民主党は9月8日に財務省に制度の導入延期と改善を申し入れている。

要望書では
①10月からのインボイス発行事業者の登録申請受け付けの延期
②制度導入から6年間は免税事業者の仕入れについても税額控除が受けられる経過措置を設ける
③電子インボイスを導入するための補助金創設
などを訴えた。

●三木氏「なぜ消費税だけなのか。税にはおかしな点がたくさんある」

インボイス制度が導入される背景には、公平性の担保もある。免税事業者が売り上げ分の消費税を納めず、企業の手元に残る「益税」になっているとされ、公平性を疑問視する声があがっていた。国はインボイス制度で免税事業者が課税事業者に切り替えることで、約2480億円程度の増収になると見込む。

インボイス制度の導入は本当に適正な控除、益税の解消につながるのか。三木氏は「バスや鉄道の旅客運送など交付義務が免除されている取り引きもある。どれほど公正になるかは分からず、混乱も起きるだろう」と指摘する。

「そもそもなぜ消費税だけなのか。内部留保が積み上がる中で、税率引き下げが続いている法人税などおかしな点はたくさんある。消費税一本やりではなく、別の策も検討すべきではないか」と言う。

実際、インボイス制度の延期や見直しは可能なのか。三木氏は「本来、税制は国民が監視できるようにシンプルでなければならない。政権が代われば変わる可能性はある。国民は意識して選挙に臨んでほしい」と訴えている。

【お知らせ】

三木氏は税に関心がある人たちのために、YouTubeで海外の税制について分かりやすく解説する動画を配信している。タイのインボイス制度について仕組みを紹介した動画もある。
https://www.youtube.com/watch?v=kxMxRb4p_To

消費税の他のトピックスを見る

新着記事

もっと見る

公式アカウント

その日配信した記事やおすすめなニュースなどを、ツイッターなどでつぶやきます。

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

「税理士ドットコム」を名乗る業者にご注意ください!