披露宴のスパチャ「2億円」祝儀は非課税? ゲーム実況・加藤純一さんが配信
税金・お金

ゲーム実況で人気の配信者・加藤純一さんが3月12日に結婚披露宴を開いたところ、YouTubeの中継配信だけで約2億円の「ご祝儀」が集まったと話題になっている。YouTubeのランキングサイト「PLAYBOARD」によると、2021年度の世界記録のようだ。
加藤さんは2009年にニコニコ動画で活動をスタート。YouTube、Twitchなどでも配信しており、YouTubeのチャンネル登録者数は100万人を超えている。
披露宴には、niconico代表の栗田穣崇さん、ドワンゴ社長の夏野剛さん、ひろゆき(西村博之)さんらのほか、YouTuberのヒカキンさんや、プロ野球のダルビッシュ有さんら著名人もビデオメッセージを送った。
披露宴はYouTubeとTwitchで配信され、YouTubeでは最高で約46万人が同時視聴。YouTubeのスーパーチャット(スパチャ)と呼ばれる「投げ銭」は2億円以上が集まった。
スパチャは一部がYouTubeなどの手数料となるが、おおよそ6~7割程度が配信者の手にわたるとされる。税金としてはどのように扱われるのか。佐藤全弘税理士に聞いた。
●結婚式のご祝儀には基本税金はかからない
ーーそもそも結婚式のご祝儀には税金がかかるのでしょうか?
結婚式などでもらうご祝儀には、基本的に税金はかかりません。国税庁が次のような通達を出しています。
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする」(相続税法基本通達21の3-9)
●スパチャの「ご祝儀」は所得税の対象か?
ーー今回の「ご祝儀」はスパチャでした。この場合はどう考えられるでしょうか?
配信サービスの対価として考えると贈与税ではなく、所得税の対象となるのではないでしょうか。
YouTuberを本業としている場合は事業所得として、会社員などが副業として行う場合は雑所得として申告します。
所得税の税率は、所得が多くなるにしたがって段階的に高くなるため、課税される所得金額が4,000万円以上は45%となります。
この所得とは収入のことでなく、そこから必要経費を引いたものであるため、たとえ収入が多くてもかかる経費も多ければ税金は高くなりません。
ーー今回の配信には、撮影や余興などで多くの人がかかわっていたようです。仮に支払いがあった場合は経費になりますか?
配信サービスにかかる費用は必要経費となります。簡単に説明すると、収入を得るために直接業務に要した費用のことです。法的には次のように規定されています。
その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。(所得税法37条)
配信サービスの内容によっては、必要経費となるかどうか判断が難しいものがあるかもしれません。判断のポイントは、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係があり、業務の遂行上必要なものであることです。
ーーまとめると、2億円が丸々手に入るわけではなく、一部はYouTubeなどのプラットフォーム事業者に。残りにも税金がかかるということですね。手元にいくらか残るかは、経費などにもよるのでしょうが、新婚夫婦の門出を祝うには十分な額のご祝儀だったと言えそうですね。
【取材協力税理士】
佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士
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事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所
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