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個人事業主が配偶者のお金で備品を買ったら贈与税はかかる? 経費の処理と贈与は「別物」

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個人事業主が配偶者のお金で備品を買ったら贈与税はかかる? 経費の処理と贈与は「別物」
Ushico / PIXTA

個人事業主として働いていると、事業のお金と家計のお金がどうしても混ざりがちです。事業用の備品を「家計用のクレジットカードで買ってしまった」という経験がある人も多いのではないでしょうか。

帳簿の上では、事業用ではないお金で事業の支払いをしたときに「事業主借」という勘定科目を使います。では、その支払いをしたのが自分ではなく配偶者だった場合はどうでしょう。経費にはできても、今度は「配偶者からお金をもらった」ことにならないかが気になります。

税理士ドットコムの「みんなの税務相談」に、まさにこの点を尋ねる相談が寄せられていました。

●相談:家族カードで買った事業用PC、夫からの贈与とみなされる?

相談を寄せたのは、会社員の夫を持つ個人事業主です。事業用のPC(30万円弱)を家族カードで購入しました。カードの名義は相談者本人ですが、代金は夫の口座から引き落とされます。

帳簿では「事業主借」で仕訳するつもりでしたが、ネットで調べたところ、返済する処理はしなくてよいと書いてあったそうです。それでも相談者は、この場合、夫から自分への贈与とみなされる可能性はあるのか、と疑問を投げかけました。果たして専門家の見解はどうなのでしょうか。

●回答:「事業主借」での処理は適切、直ちに贈与とされる可能性は低い

この疑問に対し、増井誠剛税理士(税理士法人CROSSROAD)は次のように回答しています。

「今回のケースで直ちに贈与とみなされる可能性は低いと考えられます」

増井税理士は、今回の取引を「事業用PCを購入し、支払いだけを夫の口座が一時的に立て替えている状態」と整理したうえで、事業主借で処理する考え方は適切だとしています。その理由として挙げているのが、次の点です。

「税務上は『誰が資金を最終的に負担したか』よりも、『事業に必要な支出か』『事業所得の計算として整合しているか』が重視されます」

夫婦間の日常的なお金のやり取りや立て替えは、通常は生活上の資金関係として整理されるため、贈与の意思がはっきりしていなければ贈与と認定される可能性は高くない、というのが増井税理士の見方です。実務上も、返済の処理を必須としないケースは一般的だとしています。

あわせて、経理処理の注意点にも触れています。

「PCは減価償却資産となりますので、金額に応じた償却処理を行う点だけは忘れないようご留意ください」

また、竹中公剛税理士(竹中公剛税理士事務所)も、事業主借で処理するという相談者の理解は正しいと回答しています。

●ただし「経費の認定」と「夫婦間の贈与」は別の話

一方で竹中税理士は、増井税理士の回答に付け加える形で、次のように指摘しています。

「事業の経費の認定と夫婦間の贈与は別物です。贈与とみなされることもあると考えてください」

経費として認められるかどうかと、夫から妻へお金が移ったことをどう見るかは、別々に考える必要があるということです。

また、家計費にあたるものについては「電気代などは家計費なので、問題はないと考えます」としています。

補足すると、贈与税の基礎控除110万円は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額に対して適用されます(暦年課税)。

また、夫婦や親子などの間で負担してもらった生活費や教育費のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかかりませんが、事業用のPCの購入代金はこれに当たりません。

返す予定のないまま夫に負担してもらった場合は、贈与に当たる可能性があり、その金額は1年間に受けた贈与の合計額に含めて考えることになります。今回のように30万円弱であれば、その年に受けたほかの贈与と合わせて110万円以下である限り、贈与税はかかりません。

このように、贈与に当たるかどうかについては税理士の見方に幅があります。気になる場合は、立て替えてもらった分を夫に返しておく、贈与として受け取るのであれば贈与契約書を残しておく、といった形で、お金の性質をはっきりさせておくと安心です。

●まとめ

配偶者の口座から引き落とされるカードで事業用の備品を買った場合でも、事業に必要な支出であれば、帳簿上は「事業主借」で処理する考え方が適切とされています。ただし、経費として認められるかどうかと、夫婦間の贈与に当たるかどうかは別の問題で、贈与とみなされる可能性については税理士の見方も分かれています。

なお、電気代などの家計費を配偶者が負担しても贈与の問題にはなりませんが、贈与税の基礎控除110万円は1年間に受けた贈与の合計額で判定します。

家計費以外を配偶者に負担してもらうときは、立て替えてもらった分を返済するか、贈与契約書を作っておくと安心です。事業と家計のお金の線引きに迷ったときは、税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

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