シニア起業家のための資金調達制度「生涯現役起業支援助成金」や「シニア起業家支援資金」ってどんな制度?

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075866271

  1. 税理士ドットコム
  2. 資金調達
  3. 資金調達のハウツー
  4. シニア起業家のための資金調達制度「生涯現役起業支援助成金」や「シニア起業家支援資金」ってどんな制度?

シニア起業家のための資金調達制度「生涯現役起業支援助成金」や「シニア起業家支援資金」ってどんな制度?

年金の受給金額引き上げに伴って、サラリーマンの定年後再雇用・定年の延長が行われ、これまでは定年退職していた年齢でも継続して働くこととなりました。しかしながら定年後に再雇用されたとしても、ポジションは顧問や外部委託に変わり、給与はそれまでよりも大幅に低くなるのが大半でしょう。

このため、今まで培ってきた人脈や知識を元に起業する方も増えています。これに伴って相次いでシニア起業家のための助成金・融資制度が整備されました。今回はそんなシニア起業家のための主な資金調達制度をご紹介したいと思います。

目次

厚生労働省による生涯現役起業支援助成金

2016年の4月1日から新たに設立された制度です。40歳以上の方が起業し、さらに従業員として40歳以上の方なら3人以上、60歳以上の方なら2人以上雇い入れた場合に、従業員を募集・採用するのにかかった費用や教育訓練にかかった費用(雇用創出措置に係る費用)の一部を助成してもらえるのが、この生涯現役起業支援資金です。詳しい条件について見ていきましょう。

支給額

この制度は起業する方の年齢によって、助成率と助成額の上限が異なります。起業するのが40~59歳以上の方なら150万円を上限に1/2が、60歳以上の方なら200万円を上限に2/3が助成金として支給されます。

起業する人の年齢 助成率 助成額の上限
40~59歳 1/2 150万円
60歳以上 2/3 200万円

支給対象となる費用とその上限額

この制度では助成額自体の上限が決まっていますが、さらに対象となる費用ごとに支給額の上限が決まっています。

助成の対象 助成額の上限
民間の有料職業紹介の利用料 45万円
求人雑誌・求人サイトに掲載するための費用 22万円
募集・採用のためのパンフレットを制作する費用 45万円
就職説明会を開催するのにかかった費用
採用・募集するのにかかった宿泊費・交通費
インターンシップを行った際の費用
合わせて70万円
対象となる従業員に適用される就業規則・職業適性検査・雇用管理の改善にかかった費用 53万円
対象となる従業員が必要な知識や技術を習得するための研修費や講習費 16万円
対象となる従業員の引越費用・交通費・宿泊費 29万円
対象となる従業員が求職活動を行うのにかかった交通費や宿泊費
※起業家が負担した場合のみ
20万円

支給対象にならないものとしては、出資金や資本金・資産運用のための費用・商品や備品の購入費用・リース料や賃貸料、光熱費、福利厚生費、人件費など、17項目が挙げられています。

募集や採用、雇用に関わる費用以外は一切支給対象になっていないようです。しかしながら、募集や採用に関わる費用は引越代や宿泊費まで対象になるので、うまく利用できれば格安で従業員を採用できることになります。

起業家・事業の条件

この制度の対象となる起業家の条件としては、以下などが挙げられます。

  • 40歳以上であること
  • 初めてこの制度を利用すること
  • 特定創業支援事業による支援の対象となっていること
  • 離職者の数が対象となる従業員の数を超えていないこと
  • 高年齢者雇用確保措置を講じていること
  • タイムカードや賃金台帳、労働者名簿、総勘定元帳などの書類を保管していること

従業員の条件

対象となる従業員の条件としては、以下などが挙げられます。

  • 40歳以上65歳未満
  • 計画期間に新しく一般被保険者として雇われた人であること
  • 起業家または起業家の3親等以内の親族でないこと
  • 雇い入れたのち65歳以上になるまで継続して、1年以上雇用すること

助成金を受け取るための流れ

以下の流れで助成金を受け取ることができます。起業から11ヶ月以内に計画書を提出する必要があることからも、起業前に制度を押さえておく必要があります。

  1. 起業
  2. 起業基準日から11ヶ月以内に雇用創出措置に係る計画書を作成、管轄の労働局に提出
  3. 計画期間(12ヶ月以内)に求人や研修などの雇用創出措置を行う
  4. 計画期間終了の翌日から2ヶ月以内に支給申請書の提出
  5. 助成金支給

詳しくは厚生労働省HPの生涯現役起業支援助成金のページをご覧ください。

日本政策金融公庫によるシニア起業家支援資金

こちらは助成金ではなく返済が必要になりますが、一般的な利率に比べて安い金利で借りられるうえに、生涯現役起業支援助成金とは異なり雇用創出措置以外の運転資金や設備資金も対象となるので、より幅広い用途での資金調達に用いることができます。

55歳以上の方に加え女性や30歳未満で、新たに起業する方〜事業開始7年目までの方対象になる融資制度です。国民生活事業としての貸付と中小企業事業としての貸付に分かれており、それぞれ融資額が異なるので注意が必要です。

国民生活事業のシニア起業家支援資金

国民生活事業のシニア起業家支援資金の概要は以下の通りです。担保や保証人は相談の上で決定します。

対象となる人

新たに事業を始める、もしくは事業を始めてから7年以内の女性・30歳未満・55歳以上の方

対象となる資金の使い道

事業を始めるために、もしくは事業を始めた後必要となる資金

融資の上限額

7200万円まで(運転資金は4800万円まで)

資金の使い道ごとの年利

  担保不要 担保提供
運転資金・設備資金 1.41~1.70% 0.76~1.65%
新規性のある技術やノウハウの事業の運転資金・設備資金 0.91~1.20% 0.26~1.15%
土地取得資金 1.81~2.10% 1.16~2.05%

返済期間

設備資金:20年以内(据え置き期間*は2年以内)

運転設備:7年以内(据え置き期間*は2年以内)

*据え置き期間:金利の返済のみ行えば良い期間

中小企業事業のシニア起業家支援資金

中小企業事業のシニア起業家支援資金の概要は以下の通りです。担保の有無や種類、保証人は相談の上で決定します。直接貸付において一定の要件を満たす場合には、経営責任者の方の個人保証が不要となります。

対象となる人

事業を始めてから7年以内の女性・30歳未満・55歳以上の方

対象となる資金の使い道

設備資金や長期運転資金

融資の上限額

直接貸付:7億2千万円(運転資金は2億5千万円まで)

代理貸付:1億2千万円

年利

  ~17年 17~18年 18~19年 19~20年
2億7千万円まで 0.81% 0.84% 0.87% 0.89%
新規性のある技術やノウハウの事業の場合 0.56% 0.59% 0.62% 0.64%
2億7000万円超 1.21% 1.24% 1.27% 1.29%

返済期間

設備資金:20年以内(据え置き期間*は2年以内)

運転設備:7年以内(据え置き期間*は2年以内)

*据え置き期間:金利の返済のみ行えば良い期間。

※信用リスクや融資期間によって年利は異なります。

おわりに

上記の通り、やはり助成金は用途の制限が厳しく設けられ、返済が必要なシニア起業家支援資金はある程度使い道の幅があるようです。シニア向けの利率が低い融資を使いつつ、利用できる助成金を活用して費用を抑えるのもひとつの手段です。今回ご紹介したのはシニア限定の資金調達方法ですが、一般に広く公募されている助成金や補助金も多く存在します。税理士ドットコムハウツーでも過去に取り上げていますので、ぜひご覧ください。

もっと記事を読みたい方はこちら

無料会員登録でメルマガをお届け!

資金調達に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る
他の税務相談を探す
分野

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る