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増資にかかる税金とは?税務上の注意点をわかりやすく解説

著者: 山田 大悟 代表税理士

事業活動の基本は資金です。資金調達の方法は様々ですが、そのひとつに「増資」があります。増資は外部からの借入れとは異なり、返済の必要はありません。一方で、増資によって資本金が増加すると税務上の優遇処置が受けられなくなり、税金が高くなる場合もあります。

そこで、増資を検討する際に注意したい税務について解説します。

目次

増資をするときの税務上の注意点

「増資」とは企業が資本金を増加させることを指します。

大きく分けると、株主から直接払い込みを受けて新株を発行する「有償増資」と、会社のほかの資産を振り替えて新株を割り当てる「無償増資」の2種類です。

ただし、増資をする際の注意点として、資本金が多くなると税務上の優遇措置が受けられなくなるという可能性があります。

資本金1000万円を超える場合

法人住民税の均等割

法人住民税は、従業員数と資本金で企業規模を区別し金額が決められています。

例として、東京都の23区内のみに主たる事務所がある場合は以下のとおりです(平成27年5月改正)。

 法人の区分特別区内の従業員数均等割額
資本金の額1000万円以下の法人50人以下70,000円
50人超140,000円
1000万円を超え1億円以下である法人50人以下180,000円
50人超200,000円

上記のように、増資により資本金が1000万円以上になると均等割額が増加することになります。

新設法人の場合でも消費税の課税事業者に該当する

新規設立の法人の場合、第一事業年度と第二事業年度については基準期間(前々期)がないため、原則では消費税の免税事業者になります。

しかし、その期首の資本金が1,000万円以上ある場合は、消費税の課税事業者になり、新設法人であっても納税義務は免除されません。

たとえば、新設時には資本金が1,000万円未満であっても、第一事業年度の期中に増資を行い、第二事業年度の期首の資本金が1,000万円以上になると、第二事業年度は課税事業者となります。

資本金3000万円を超える場合

中小企業向けの設備投資関連税制である「中小企業投資促進税制」において税額控除が適用できなかったり、「中小企業経営強化税制」における税額控除額が10%から7%に減額されたりします。

資本金1億円を超える場合

中小企業向けの税務上の優遇措置として、法人税の軽減税率の適用、少額減価償却資産の損金算入の特例、交際費の定額控除の選択適用、中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除または特別償却などがありますが、資本金が1億円を超えるとこれらの優遇措置の対象外となります

また、事業税の外形標準課税の適用事業者となります。

新株を引き受けた側への課税

ここまでで増資をした側の注意点を解説しましたが、新株を引き受けた側にも課税がされることがあります。

これは、第三者割当増資の場合において、株式の時価よりも低い価額で発行した場合、すなわち有利発行の場合には、時価と発行価額の差額について贈与があったという扱いを受けるからです。そのため、新株を引き受けた者は、その贈与に伴う課税リスクがあります。

課税される税金の種類は新株の引き受け者の立場により変わり、以下のようになっています。

  • 同族会社の株主の親族に対する有利発行:贈与税の課税リスクがあります
  • 発行法人の役員や従業員に対する有利発行:給与所得として所得税の課税リスクがあります
  • それ以外の個人:一時所得として所得税の課税リスクがあります

第三者割当増資で引受側が課税されるケース

具体例として、1株あたりの時価総額が以下のように上昇したケースを考えてみます。

【会社設立時】
1株 1万円 × 発行済み株式 1000株 = 資本金 1000万円
【増資前】
1株あたりの時価 10万円 × 1000株 = 時価総額 1億円
【保有株数】
既存株主A 800株、既存株主B 200株
【保有する株式価額(時価)】
既存株主A 8000万円、既存株主B 2000万円

※上記の場合において、Aの親族Cに対して、新株200株発行したとする

1)時価発行の場合

C払込額

時価 10万円 × 200株 = 2000万円

増資後の企業の時価総額

1億2000万円

発行後の株式保有状況

【保有株数】
既存株主 A 800株、既存株主 B 200株、既存株主C 200株
【保有する株式価額 (時価)】
既存株主 A 8000万円、既存株主 B 2000万円、既存株主C 2000万円

時価発行の場合は、既存株主と新株主でお互いの所有する株式の価値が変わらないため、基本的に課税関係はありません。

2)有利発行の場合 ※1株5万円で発行

C払込額

5万円 × 200株 = 1000万円

増資後の企業の時価総額

1億1000万円

発行後の株式保有状況

(※簡略化のため端数切捨て)
【保有株数】
既存株主 A 800株、既存株主 B 200株、既存株主C 200株
【保有する株式価額 (時価)】
既存株主 A 7333万円、既存株主 B 1833万円、既存株主C 1833万円

結果として、新規株主Cは1000万円の払い込みで時価1833万円の株式を取得したこととなります。この時価と払込額の差額について、既存株主から贈与を受けたとみなされ、Cには贈与税が課税されるリスクがあります。

なお、説明のため上記は時価の計算等を簡略化していますが、実際のケースにおいては厳密な株式評価が必要となるため、専門家に相談することが必要です。

おわりに

増資には、財務体制の強化や、資本金という外部から見られやすい部分が増額することで世間からの信用度が高まるというメリットがあります。

しかし一方で、場合によっては優遇税制が利用できなくなるといったデメリットもあります。増資のような重要な経営判断をする際には、経験豊富な税理士などの専門家と相談しながら検討しましょう。

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