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業績悪化時に活用したい雇用調整助成金とは?概要や限度額、必要書類について解説

不況により業績が低迷した場合に利用できる助成金があることをご存知でしょうか。従業員を解雇するのではなく、休業や教育訓練、出向という形で雇用を継続する場合に利用することができるのが「雇用調整助成金」です。

このページでは雇用調整助成金についてまとめました。

目次

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、経営が悪化したとき、従業員を解雇するのではなく、一時的に休業させるなどの雇用調整によって雇用を維持した場合に受給することができる助成金制度です。

たとえば、従業員を一時的に休業させる場合には、休業手当を支払わなければなりません。雇用調整助成金はその休業手当の一部を助成してくれます。

対象となる雇用調整は休業・教育訓練・出向の3つです。

対象となる雇用調整

雇用調整助成金を申請するには、事前に交わされた労使協定に基づいて実施される雇用調整である必要があります。労働組合がない場合には、従業員の過半数を代表する者との間で、書面により休業等協定書を締結します。

助成金の対象となる雇用調整の方法は、次のような基準が定められています。

休業

「休業」の対象となるのは以下のすべてを満たす場合です。

  • 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること
  • 所定労働日の全労働時間(全一日)にわたるもの
    もしくは所定労働時間内に対象従業員が一斉に1時間以上行うもの(シフト制は除く)
  • 判定基礎期間(※)における対象従業員の休業等の実施の延日数が所定労働延日数の1/20以上(大企業は1/15以上)
  • 休業手当の支払いが平均賃金の6割以上であること
  • 所定の労働日の所定労働時間内において実施されるものであること

教育訓練

「教育訓練」の対象となるのは、以下のすべてを満たす場合です。

  • 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること
  • 判定基礎期間(※)における対象従業員の休業等の実施の延日数が所定労働延日数の1/20以上(大企業は1/15以上)
  • 職業に関連する知識、技術を習得させ、または向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であって、かつ、受講者を当該受講日に業務につかせないこと
  • 所定の労働日の所定労働時間内において実施されるものであること

対象となるのは、職業の知識・技能・技術の習得および向上を目的としたものです。日常会話程度の語学習得や通常の教育カリキュラムに位置づけられているものは対象外となります。

事業所内において内部講師を利用してもよく、職業訓練支援センターなどの外部教育訓練機関に実施を委託することも可能です。

また、助成金申請の際には、実施状況を確認するための添付書類として受講者レポートの提出が求められます。

※判定基礎期間とは、賃金締切日の翌日から次の締切日までを指します

出向

関連事業所への「出向」を実施する場合、雇用調整を目的とせずに、業務提携や人事交流のために行われるものは対象外です。また、3か月以上1年以内に元の事業所に復帰することが条件となります。

そのほかにも以下の基準を満たす必要があります。

  • 出向従業員の同意を得ていること
  • 出向元事業所が賃金の一部を負担していること
  • 出向前とおおむね同額の賃金が出向従業員に支払われること
  • 終了後6か月以内に同じ従業員を出向させないこと
  • 出向元事業主と出向先事業主が、資本的、経済的・組織的関連性等からみて、独立性が認められること

支給条件

支給対象となる事業所

雇用調整助成金の支給対象となるのは、業績不振の状態にある雇用保険の適用事業所です。また、休業や教育訓練などを行う従業員は、6か月以上継続雇用している雇用保険被保険者が対象となります。

なお、ここでいう「業績不振」とは、具体的には以下を満たす場合となります。

  • 直近3か月の生産量・売上高等の生産指標が、前年同期と比べて10%以上減少していること
  • 直近3か月の従業員数(雇用保険被保険者・派遣従業員)が前年同期と比べて、中小企業の場合で10%を超えてかつ4人以上(大企業の場合は5%超6人以上)増加していないこと(※)

※中小企業とは次に該当する企業をいい、大企業とは中小企業に該当しないものをいいます。

小売業(飲食店を含む)資本金5,000万円以下又は従業員50人以下
サービス業資本金5,000万円以下又は従業員100人以下
卸売業資本金1億円以下又は従業員100人以下
その他の業種資本金3億円以下又は従業員300人以下

爆発などの事故や火災などによる設備被害が原因で事業を縮小したものは、本助成金の対象外です。

ただし台風や豪雨、地震など昨今の自然災害の発生に伴うものは特例が実施されています。これらに当てはまる場合は、要件・支給額ともに特例として内容が異なります。

支給期間

事業主が指定した1年間が対象となります。1年経過後に再度続けて申請を行うことはできません。ただし1年間の休止期間を経れば再度申請を行うことができます。

受給額

  • 休業、教育訓練

休業を実施する場合には休業手当の2/3、教育訓練を実施する場合には賃金負担額の2/3が助成されます。ただし上限額は1人1日あたり8335円となります。

教育訓練を実施した場合は上限額に加え、さらに訓練費として1人1日あたり1200円が追加で支給されます。

期間はいずれも1年間で最大100日分までとなり、休止期間を含めて最大150日分受給できます。

  • 出向

出向を実施した場合の助成額は、出向元事業主から出向労働者へ支払われる賃金に対する負担額の2/3です。

ただし1人1日あたりの雇用保険基本手当日額(※)の最高額に330/365を乗じて得た金額を上限額とします。

出向期間は最長1年間です。

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手続の流れ

助成金受給までの大まかな流れは次のとおりです。

  1. 雇用調整の計画
  2. 計画届の提出
  3. 雇用調整の実施
  4. 支給申請
  5. 労働局における審査・支給決定
  6. 支給額の振込

雇用調整の計画

雇用調整を実施するにあたり、まずどのような雇用調整を行うか具体的に検討し、計画する必要があります

休業の計画にあたっては、どのくらいの期間、どの部門で、何名休業するのかといったことや休業対象者をどのように選定するか、などについて検討します。

教育訓練を実施する場合、内容や期間、講師、場所の選定を事前に行います。また、受講者には訓練の実施後にレポート等を作成させ、それらを支給申請時に受講したことの証明書として提出することが必要です。

出向を検討する際には、事前に出向元事業所と出向先事業所の間で、労働条件や出向期間、勤務地等について確認を行い、出向契約を締結する必要があります。 また、出向元事業所と出向労働者の間においても、出向前に労働条件を明示し同意を得ることが大切です。

計画届の提出と期日

計画届に必要書類は定められた期日までに都道府県労働局またはハローワークへ提出します。

事前に計画届を提出しなかった場合には、本助成金の支給対象にならないので注意しましょう。

また、提出した書類は支給決定されたときから5年間保存しなければなりません

休業、教育訓練を実施する際の計画届に必要な種類

  • 休業等実施計画届
  • 雇用調整実施事業所の事業活動、雇用指針の状況に関する申出書
  • 休業(教育訓練)協定書
  • 事業所の状況に関する書類
    など

計画届の提出は「支給対象期間」ごとに行います。

提出の期日は、「支給対象期間」中の、休業等を開始する日の前日までです。ただし初回の届出の場合は、休業等の初日の2週間前までをめどに提出を求められます。

出向を実施する際の計画届に必要な種類

  • 出向等実施計画届
  • 雇用調整実施事業所の事業活動、雇用指針の状況に関する申出書
  • 出向協定書
  • 事業所の状況に関する書類
  • 出向計画に関する書類

出向に関する計画届の提出は「支給対象期」ごとに行います。提出の期日は、「支給対象期」の初日の前日までです。ただし初回の届出の場合は、「支給対象期」の初日の2週間前までをめどに提出を求められます。

支給申請の必要書類と期日

受給にあたって都道府県の労働局またはハローワークに提出が必要な書類は次のとおりです。計画届に必要な書類と同様、支給申請時に提出した書類も支給決定されたときから5年間保存する必要があります

提出にあたって、締切日を1日でも過ぎると、申請を受けることができなくなるため注意しましょう。

休業および養育訓練の支給申請時の必要書類と期日

    • 支給申請書(休業等)
    • 助成額算定書
    • 休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書
    • 支給要件確認申立書
    • 労働保険料に関する書類
    • 労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類
      など

申請の期日は「支給対象期間」の末日の翌日から2か月以内です。

出向の支給申請時の必要書類と期日

  • 支給申請書(出向)
  • 出向先事業所調書
  • 出向に関する確認書
  • 出向元事業所賃金補填額・負担額調書
  • 支給要件確認申立書
  • 出向の実績に関する書類

申請の期日は「支給対象期」の末日の翌日から2か月以内です。

新型コロナウイルス感染症の影響による特例措置

新型コロナウイルス感染症の影響により雇用調整が必要となる事業者に対し、政府は特例措置を設けることを発表しました。

対象となるのは、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給 等の停滞の影響を受ける製造業など、幅広い業種で、休業などの初日が令和2年(2020年)1月24日から7月23日までの場合に適用できます。具体的な特例措置の内容は次のとおりです。

  • 休業等計画届の事後提出が令和2年(2020年)5月31日まで認められます
  • 生産指標(売上高等10%減)の確認対象期間が3か月から1か月に短縮されます
  • 雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合でも対象となります
  • 事業所設置後、1年未満の事業主も対象となります

活動自粛を要請されている地域では助成率を引き上げ

さらに、自治体より一定期間の活動自粛を要請されている地域(※)の事業主に対しては、特例的に生産指標が低下したものとみなされ、また正規・非正規を問わず対象とした上で助成率が引上げられます。(※2020年3月5日時点では北海道のみ)

こちらの特例措置も休業などの初日が令和2年(2020年)1月24日から7月23日までの場合に適用され、助成率は大企業で2/3、中小企業で4/5に引き上げられます。

なお、具体的な特例措置の内容は次のとおりです。

  • 休業等計画届の事後提出が令和2年(2020年)5月31日まで認められます
  • 生産指標要件(売上高等10%減)は満たしたものとして扱われます
  • 雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合も対象となります
  • 事業所設置後、1年未満の事業主も対象となります
  • 非正規も含めた雇用者に対する休業手当が対象です

なお、詳しい情報は厚生労働省のホームページにて随時更新されています。

おわりに

雇用の安定とともに、景気回復後の事業展開を支えるために設けられた助成金制度です。やむなく従業員の解雇を検討しようとしている事業主にとってこの記事が参考になれば幸いです。

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