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外的要因による経営難に利用できる「セーフティネット貸付」制度とは

企業を経営する中では、経済不安や取引金融機関の経営悪化、取引先企業の倒産といった外的要因により、思いがけず自らの企業が経営難に陥ることがあるかもしれません。

このように、一時的に経営状況が悪化している個人企業や中小企業のための融資制度として、日本政策金融公庫が取り扱うセーフティネット貸付があります。

この融資制度は、融資を必要とする理由によって3種類の制度に分かれています。それぞれの特徴・内容について詳しく解説します。

目次

セーフティネット貸付とは?

「セーフティネット貸付」とは、日本政策金融公庫が取り扱う、個人企業や中小企業のための融資制度です。日本政策金融公庫は、100%政府出資の政策金融機関で、国の政策に則った長期、固定金利の融資制度を各種用意しています。

「セーフティネット貸付」もその1つで、経済不安のほか、金融機関や取引先との関係などの外部要因によって一時的に経営が悪化しているものの、中長期的にはその回復が見込まれる企業が利用することができます。

制度は3種類ある

セーフティネット貸付は、具体的には「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「取引企業倒産対応資金」の3種類の融資制度があります。個人企業や小規模企業向けには国民生活事業が、中小企業向けには中小企業事業がそれぞれ融資制度を提供しています。

それでは、それぞれの融資制度の対象となる人や、具体的な融資内容についてみていきましょう。

「経営環境変化対応資金」とは

「経営環境変化対応資金」とは、例えば物価高騰や株安、円高といった社会的・環境的変化などの外的要因により、一時的に経営状況が厳しい企業を支援する融資制度です。

融資の対象となる人

社会的・経済的環境の変化などにより、一時的に売上が減少し、業況が悪化しているものの、中長期的には業況が回復し発展することが見込まれる企業が対象になります。

さらに融資の際には、次のいずれかを満たすことが条件になります。

1. 最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
2. 最近3カ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
3. 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
4. 最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により悪化している方
社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
5. 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
6. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
7. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方
(日本政策金融公庫 | 「経営環境変化資金の概要」)

融資限度額

融資限度額は、個人企業や小規模事業者向けに融資を行う国民生活事業は4800万円、中小企業向けの中小企業事業は7億2000万円となります。

資金の使い道は、「社会的・経済的な要因により緊急に必要な設備資金」および「経営基盤を強化するために必要な運転資金」となっています。

金利

国民生活事業、中小企業事業ともに基準利率が適用されます。なお利率は、貸付期間や信用リスク(担保)等に応じて適用されるので、詳細は窓口で確認する必要があります。

返済期間

返済期間は、調達した資金が設備資金の場合は15年以内、運転資金の場合は8年以内となっています。なお、いずれの場合も、利息のみを支払い、元金の支払いが猶予される据置期間が最長3年間設定されています。

「金融環境変化対応資金」とは

「金融環境変化対応資金」とは、例えば取引金融機関の経営破たんなどにより、一時的に資金繰りが悪化している企業を支援する融資制度です。

融資の対象となる人

金融機関との取引状況の変化により、一時的に資金繰りが悪化しているものの、中長期的には資金繰りが改善し、経営が安定することが見込まれる企業が対象になります。

さらに融資の際には、次のいずれかを満たすことが条件になります。

1. 取引金融機関が行政庁から業務停止命令(一部業務停止命令を含む)を受けた方
2. 取引金融機関が実質的に経営破綻の状態等にある方
3. 預金保険法等の規定に基づき、取引金融機関からの借入等が株式会社整理回収機構に譲渡された方などで、経常利益を計上しているなど、業況が順調であると認められる方
4. 経営状況が悪化していないにもかかわらず、金融機関からの借入金利が長期プライムレートの変動に比べ相対的に上昇するなどの状況にある方
5. 国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に、取引金融機関から次の(1)から(5)までのいずれかの要請または取扱いを受けている方
(1)借入残高の減少
(2)約定した返済条件を超える弁済
(3)当座預金の解約
(4)担保・保証人の追加
(5)借入金利の引上げ
(日本政策金融公庫 | 「金融環境変化対応資金の概要」)

融資限度額

融資限度額は、国民生活事業は別枠4000万円、中小企業事業は別枠3億円となります。この別枠とは、日本政策金融公庫が扱うほかの融資制度の限度額とは別に、融資枠が設けられているという意味です。

資金の使い道は、「設備資金」および「金融機関との取引状況の変化により必要となる運転資金(上記融資の対象となる人「3」に該当する人が株式会社整理回収機構に対して繰上返済を行う資金を含む)」となっています。

金利

国民生活事業、中小企業事業ともに基準金利が適用されます。なお利率は、貸付期間や信用リスク(担保)等に応じて適用されます。

返済期間

返済期間は、調達した資金が設備資金の場合は15年以内、運転資金は8年以内となっています。

「取引企業倒産対応資金」とは

取引先の企業が倒産したことで、資金が回収できず、資金難に陥ってしまうというケースがあります。「取引企業倒産対応資金」とは、以上のような状況で経営が困難な企業を支援する融資制度です。

融資の対象となる人

取引企業など関連企業の倒産により、資金が回収できず、経営に困難をきたしている企業が対象になります。

さらに、次のいずれかに該当する方が対象となります。

1. 倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権などを有する方
2. 倒産した企業に対する取引依存度が20%以上である方
3. 倒産した企業に対して貸付金や差入保証金などの債権を有する方
4. 倒産した企業の債務を保証している方
5. 倒産した企業の設置する商業施設に入居している方であって、倒産の影響を受けている方または影響を受けるおそれのある方
6. 倒産した企業から受注した商品や役務などが、倒産の影響により取り消された方
(日本政策金融公庫 | 「取引企業倒産対応資金の概要」)

融資限度額

融資限度額は、国民生活事業は別枠3000万円、中小企業事業は、直接貸付と代理貸付合わせて別枠1億5000万円となります。

資金の使い道は、国民生活事業は「売掛金債権の回収困難や売上減少、関連企業の倒産の影響により緊急に必要な運転資金」および「関連企業の倒産の影響により、企業の運営上一時的に必要となる運転資金」となっています。中小企業事業は「取引企業などの倒産により緊急に必要な長期運転資金」となっています。

金利

国民生活事業、中小企業事業ともに基準金利が適用されます。なお利率は、貸付期間や信用リスク(担保)等に応じて適用されます。

返済期間

資金の使い道は運転資金のみで、返済期間は8年以内となっています。

セーフティネット貸付3種類の比較表

セーフティネット貸付の、3つの融資制度の内容をまとめたものは、以下のとおりです。

 経営環境変化対応資金金融環境変化対応資金取引企業倒産対応資金
融資限度額国民生活事業
4800万円
国民生活事業
別枠4000万円
国民生活事業
別枠3000万円
中小企業事業
7億2000万円(直接貸付)
中小企業事業
別枠3億円(直接貸付)
中小企業事業
別枠1億5000万円
(直接貸付・代理貸付合計)
資金の使い道・社会的・経済的要因により緊急に必要な設備資金
・経営基盤を強化するために必要な運転資金
・設備資金
・金融機関との取引状況の変化により必要となる運転資金
国民生活事業
・売掛金債権の回収困難や売上減少より緊急に必要な設備資金
・関連企業の倒産の影響により緊急に必要な運転資金
中小企業事業
・取引企業などの関連企業の倒産により緊急に必要な長期運転資金
利率(年)国民生活事業
1.16〜2.55% ※1
中小企業事業 1.11〜1.16%(長期運転資金に限り上限3%)
※2
中小企業事業
1.11%
※2
返済期間
(設備資金)
15年以内
(うち据置期間3年以内)
返済期間
(運転資金)
8年以内
(うち据置期間3年以内)
担保・保証人相談の上決定※3

※金利は2019年2月5日現在。

※1 担保ありの下限金利と担保なしの上限金利の例。

※2 上記利率は標準的な貸付利率で、適用利率は信用リスク(担保の有無を含む)等に応じて所定の利率が適用される。

※3  中小企業事業の直接貸付において一定の要件に該当する場合は、経営責任者の個人保証が必要

融資の流れ

融資をする際には、まずは日本政策金融公庫の窓口で相談しましょう。中小企業の場合は、最寄りの商工会議所での定例相談でも相談することができます。その際には、決算書や創業計画書などがあると、より具体的な相談が可能になります。事前に窓口に電話をして、なにが必要か確認しておくといいでしょう。

その後、必要書類を準備・作成し、個人企業や小規模企業は面談、中小企業は審査を経て、融資の有無が決まります。

なお、個人や小規模企業の場合は、営業所在地を管轄する支店が申込の窓口となります。中小企業は、直接貸付の場合は日本公庫各支店の中小企業事業の窓口、代理貸付の場合は、日本公庫中小企業事業の代理店の窓口にそれぞれ申し込みます。

おわりに

社会的、経済的環境の変化により、予想外の経営危機に陥っている場合には、このような融資制度を利用することは、企業の再復活を助ける力となるでしょう。

なお、融資の際には経営状況などがわかる資料の提出などが必要です。また、セーフティネット貸付以外にも、適切な融資制度がある可能性もあります。

そのため、実際に融資を申し込む際には、日本政策金融公庫からの資金調達に強い税理士に相談してみるといいでしょう。

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