起業するなら知っておきたい!創業者(ファウンダー)と生命保険の最新事情

起業といえば、「生まれながらに選ばれた能力を持つ人」「親が経営者など選ばれた人脈を持つ人に許された特別なもの」というイメージがありました。しかし、2010年代に入り、成熟したインターネット社会になったことで、その常識は大きく変わっていきます。
いわゆる会社員を経験したことで、類まれなアイデアと実行量を有した「普通の人」が起業し、世界を変えていく。そんなジャパニーズドリームがメディアを賑わせることも多くなったのです。
このような状況を生命保険の分野から考えると、どのようなことが分かるのでしょうか。今回は、創業者(ファウンダー)と生命保険の最新事情を考察していきます。
目次
会社員が起業すると生命保険は変わるのか
年齢にもよりますが、多くの会社員は終身保険や医療保険といった生命保険で、日々のリスクに備えています。
目標を定め起業したところで、保険加入状況は変わりません。(生命保険会社によっては、勤務先更新の報告が求められる場合もあります)
では、会社員と創業者のリスクには、どのような違いがあるのでしょうか。
創業者のリスクとは?
創業者は、まさに「裸一貫」の起業です。労働時間や休日、責任といった幾つものリスクの代わりに、「自分の実現したいことに挑戦する権利」を得られるもの。そのため、ストレスなどで病気になるリスクは、会社員よりも高いと言えるでしょう。
また、たとえば体を動かす事業の場合、以前は管理職だった方が起業により再び現場に出ることになった、という話も聞きます。そのため、最前線で働くケガについてのリスクも高まるわけです。
さらに事業の流れ次第では、社長の収入が減るどころか、途切れてしまうことも珍しくありません。つまり、「収入」のリスクもあるということです。
このようなリスクには、会社員時代から加入していた医療保険、万が一のための終身保険が変わらず必要です。
会社を興すときに1円でも節約したい気持ちはよく分かりますが、これらの保険は会社員時代と同様、もしくは保険料の上積みも検討することをおすすめします。配偶者や子どものいる創業者ならば、なおさらです。
所得補償保険を活用しよう
「所得補償保険」といえば、従業員が不意の病気やケガに見舞われたときに給与を保障するという印象が強いかと思いますが、これは創業者にとっても効果的な生命保険です。
この場合の所得補償保険とは、保険契約者が亡くなった場合の遺族の生活費保障ではなく(これは収入保障保険といわれる場合が多いです)、保険契約者が「休業」している間に必要となる所得補償のことです。あらかじめ保険に加入しておくと、万が一創業者が病気やケガの事態になった際に一定の所得が保障されます。
創業直後の会社において、創業者の得る所得は会社の命運を左右するものです。病気やケガになったからといって、会社の業績を担保してくれる存在はありません。
起業家隆盛時代の昨今、万が一のことも想定して動くことが、創業者の持つリスク管理の一つなのです。
なお、売上の減少や赤字の補填は、当然ながら補償の対象にならないため、注意しましょう。所得補償保険の支給要件には「医師の診察を受けている途中であること」などの要件が設定されているため、逸脱した使い方をしない心得が肝心です。
このように、創業者だからといって所得は自己責任、というものではありません。上手に生命保険を活用することによって、さらに本業に邁進することができるのです。
「貯蓄型保険はもう使えない」は本当か
会社経営に少し余裕が出てくると、長期間加入することによって払込保険料総額よりも高い返戻金を受け取れる「貯蓄型保険」のニーズが高いと言われています。これは、貯蓄型保険の持つ高い利率によるものです。
ただ、確かに2013年頃より高利率で推移してきた各社の貯蓄用保険ですが、2016年頃から減少傾向に反転する保険会社も見え始め、ピークは過ぎたように思えます。
これは、昨今の株上昇にともなうものです。一般的に、株価が上がると金利は下がるという相関関係があります。また、日本ではデフレ脱却の掛け声のもと、インフレが進んでいるという見方。これらは貯蓄型保険を継続するにあたって、デメリット要因となるのです。
創業者は、様々な場面において先輩経営者から「会社経営の心得」を受けることが多いでしょう。貯蓄型保険のアドバイスを受ける回数も多いように見受けられます。ただ、その心得を巡る周辺環境が変わっていることもまた事実なのです。
貯蓄型保険を検討する際は、先入観に捕らわれず、現在進行形で貯蓄型保険の現状がどうなっているのか、確認するようにしましょう。また、取扱保険会社によって返戻率が異なる場合もあるため、保険の内容で複数社を選び、返戻率と合わせて判断材料としていくことが肝要です。
おわりに
今後、創業者(ファウンダー)は幾重にも「多様化」していくと考えられます。会社員と併用で事業展開をすることや、主婦や主夫と同時並行で起業する人も多くなるのではないでしょうか。
一昔前のように「起業すると家族も私生活も犠牲」では解決できない、新たな社会課題が顕在化する時代への対応といえるでしょう。生命保険も対応して、様々な形が提唱されていくと考えられます。生命保険は時代を映す鏡として、今後にも注目です。
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