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義務化が2年猶予された「取引データ」保存、「改正電子帳簿保存法」の注意点

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義務化が2年猶予された「取引データ」保存、「改正電子帳簿保存法」の注意点
写真はイメージです(mits / PIXTA)

コロナ禍でのリモートワークの普及もあり、契約や請求に関する取引先とのやり取りの多くが、メールやチャットツール上で行われるようになった。2022年1月に施行された「改正電子帳簿保存法(電帳法)」はこうした社会の流れに対応し、税務関係の書類や資料を電子データで保存するためのルールを定めた法律だ。

ただ今も、改正内容が周知されたとは言い難く、フリーランスや中小企業の経営者には、対応に不安を感じている人も多い。一部の項目については、2年の猶予期間も設けられる見通しだ。

施行に伴い、個人事業主や中小企業の会計部門に何が求められるのか。必要な対応や注意点をまとめた。(ライター・有馬知子)

●帳簿、決算書類のデータ保存要件を緩和

11月末にプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が開いた勉強会で、国税庁課税部課税総括課の長内泰祐課長補佐は、改正法の概要を説明した。

従来は帳簿や書類の保存方法を紙から電子データに移行する場合、所轄の税務署長の承認が必要だった。さらにスキャンしたデータが正しいかどうか、定期的な検査を経た後でなければ、紙の原本を捨てることはできなかった。改正法が施行されれば承認や検査は不要になり、データ保存への移行が迅速にできるようになるという。

電帳法は、税務関係のデータの保存方法を以下の3つに分類している。

①納税者がはじめからデータで作った帳簿や書類
②紙の領収書や請求書などを、スキャナやスマートフォンで読み取ったデータ
③取引先とデータでやり取りした、請求書や領収書などの取引データ

①②については、一定のルールの下でデータ保存が可能になるが、データ保存を選択せずに、紙で保存することも認められる。

一方、③は原則として、紙ではなくデータでの保存が求められる。ただこの「紙保存NG」には経過措置が設けられ、今後2年間は改正前と同様、紙保存も認められる見通しだ。経過措置終了後の2024年1月以降は、データ保存の際に下記2点の措置が求められる。

【改ざん防止】

付与以降の修正がないことを証明する「タイムスタンプ」を使ったり、データのやり取りから保存まで、訂正削除履歴が残るシステムで行ったりして、不当な改ざんがないことを証明する。有償のサービスを利用したくない場合、自分で「改ざん防止のための事務処理規程」を作り、守ることでも代替できる。国税庁がウェブサイトに規程の「ひな形」も公開している。

【日付・取引先・金額による検索機能を付ける】

検索機能の備わった、専用ソフトなどを導入することで対応可能。また表計算ソフトで索引簿を作ったり、ファイル名に日付・金額・取引先を入れたりして、必要な項目を探し出せるようにしてもいい。(例・2021年12月1日付でオレンジ社から5万円の請求書が届いた時は「20211201_オレンジ社_50000」というファイル名にする)

また2年前の売上高が1000万円以下の小規模事業者は、税務調査の時、調査官の求めに応じてデータを提出できる体制を整えていれば、検索機能を持たせる必要はないという。

●「対応間に合わない」事業者は困惑

では、保存すべき電子データとは、どのようなものだろうか。紙でもらった時に保管が必要なレシートなどは、データで受け取っても同じように保存すべきだと考えればいい。書店で購入した本のレシートを取っておくのと同じように、Amazonで購入した書籍なら領収書の画面を、サブスクリプションサービスなら月ごとの支払い額が分かる画面を、それぞれPDFなどに出力して保存する。

ただし、データの保存方法によって求められる措置が異なるため、注意が必要だ。例えば取引データを保存する場合は前述した「事務処理規程」で改ざん防止を図れるが、スキャナ保存に関しては規程では対応できず、基本的には有償の専用ソフトを利用することになる。

中小企業や個人事業主など一部事業者からは「必要な要件を満たせなかったら、罰則があるのか」という不安の声もあったという。

長内氏は「一部を紙で保存していたり、細かい要件違反があったりしても、取引が正しく記帳されて申告に反映され、その内容を書面などで確認できる場合、ほかに特段の事情がなければ、青色申告の承認を取り消す、経費を認めないなどの取り扱いをすることはありません」と説明した。

パソコンのハードディスクが壊れてデータが消えてしまう、といったトラブルも想定されるが「意図的でない場合、税務職員が執拗に追及することはないでしょう」とのこと。ただハードディスクやクラウド上にバックアップを取るなど、事業者側も一定の防衛策は必要になるだろう。

●経理担当らも66%が「改正法知らない」

会計や経理の担当者であっても、改正電帳法の周知は進んでいないのが現状だ。エン・ジャパンが2021年9月、経営や会計、経理などの部署に所属する人800人に調査したところ、66.4%が電帳法の改正を「知らない」と回答した。

こうした実態を踏まえて与党は、2021年12月の税制改正大綱で、取引データ保存の義務化について、施行後2年は紙出力した書類の保存を認めるとの経過措置を打ち出した。

ただ社会がデジタル化に向けて進む中、フリーランスや零細企業の経営者も、税務・会計関連資料のデータ移行は避けては通れない。データなら保管場所が不要になり、紙をファイリングしたり、ページをめくって該当文書を探したりする手間が省ける。自宅からデータベースにアクセスできれば、テレワークもしやすくなる。

すでにデータで帳簿を作っているフリーランスも多いだろう。経過措置終了後を見据え、今から電子データの保存に必要な準備を整えておいてはいかがだろうか。

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