長年「水道光熱費」にしていたガソリン代、正しい科目に直したら修正申告は必要?
経理・決算
経理の仕事を前任者から引き継いでみたら、長年の処理が間違っていたことに気づいた。そんな経験をした人は、意外と多いのではないでしょうか。
間違いに気づいた以上は正しく直したいところですが、直したら直したで、決算書の数字が前の年と大きく変わってしまいます。税務署から不審に思われないか、過去の申告までやり直さなければならないのか、心配は尽きません。
税理士ドットコムに、個人事業主の営業所で経理を担当している方から、こんなご相談が寄せられていました。
●相談:前任者がガソリン代を「水道光熱費」にまとめていた
相談を寄せたのは、個人事業主(青色申告)の営業所で、2年ほど前から経理事務を担当している方です。取引先のガソリンスタンドには、掛けで購入したガソリン代などを毎月まとめて支払っており、前任者は、その請求額をまとめて水道光熱費として処理していました。
ところが明細をよく見ると、ガソリン代のほかに、作業車用の軽油代、軽油税、消耗品代などが含まれていたため、今年から、燃料費や租税公課、修繕費などに分けて仕訳するようにしたそうです。その結果、損益計算書の水道光熱費が大きく減り、「前年度のおよそ9分の1近くになってしまいました」といいます。
相談者が尋ねているのは、水道光熱費が極端に下がることで税務署に怪しまれないか、過去の分まで修正申告をすべきか、ほかに心配すべき点はないか、ということです。果たして専門家の見解はどうなのでしょうか。
●回答:税務署が関心を持つのは、最終的な税額に影響するもの
清水雄太税理士(清水雄太税理士事務所)は、相談者の心配に対して次のように答えています。
「税務署が個人事業主の損益計算書について、そもそも舐めるように見てくることはないでしょう。最終的な税額に影響するものしか関心がないと思います」
清水税理士は、損益計算書の科目のあいだの入り繰りを直すためだけに申告をやり直すことは通常考えられない、ともしています。万が一、税務署から何か言われた場合についても、次のように述べています。
「百歩譲って何か言ってきたとしても、科目の取扱いをより精緻にしたと説明すれば足ります」
●正しい科目に直し、決算書の備考欄にその旨を書いておく
竹中公剛税理士(竹中公剛税理士事務所)も、正しい科目に分けて処理するようにした相談者の対応が正しく、そうすべきだとしています。そのうえで、具体的な対応を示しています。
「決算書の備考欄にその旨を記載すれば、何も問題はありません」
また、過去の分の修正申告については、しなくてよいと回答しています。
修正申告は、申告した税額が実際より少なかった場合などに行う手続きです。勘定科目を間違えていても、必要経費の合計額と所得金額が変わらなければ税額は変わりません。反対に、事業に関係のない支出が経費に入っていたなど、所得金額が変わる誤りが見つかった場合は、修正申告が必要になります。
●まとめ
勘定科目の間違いに気づいたら、気づいた年から正しい科目で処理しましょう。税務署が関心を持つのは、最終的な税額に影響する部分で、科目のあいだの金額を入れ替えるためだけに、過去の申告をやり直す必要はありません。ただし、所得金額や税額が変わる誤りがあった場合は、修正申告が必要になります。
科目を変更したことは、決算書の備考欄に書いておくとよいでしょう。税務署から質問があったときは、科目の扱いを見直したことを説明すれば足ります。経理処理の見直しに迷ったときは、税理士に相談してみてはいかがでしょうか。















