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30万円現金給付「ややこしすぎて混乱する」、税法学者が「住民税非課税」の基準を批判

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30万円現金給付「ややこしすぎて混乱する」、税法学者が「住民税非課税」の基準を批判
記者会見する安倍首相(4月7日)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府は4月7日、緊急経済対策を閣議決定しました。事業規模は総額108兆円に上り、過去最大になります。その中で減収世帯への30万円の現金給付について、「もらえない人が多い」と与党からも不満の声が上がっています。現金給付の対象が住民税非課税の水準になっていることで、申請する人が混乱することも予想されます。租税法の専門家に問題点を聞きました。(ライター・国分瑠衣子)

●給付の基準となる「住民税」の仕組み

収入が減った世帯や個人への30万円の現金給付の対象は(1)2~6月のいずれかの月の収入が減り、年間ベースの所得が住民税非課税の水準になる低所得世帯(2)収入が半分以上減って、年間の計算で住民税非課税の水準の2倍以下まで落ち込む世帯です。

住民税とは、行政サービスにかかる経費を住民の担税力によって分担する税で、市町村民税(東京23区は特別区民税)と都道府県民税があり、この2つを合わせて住民税と呼んでいます。住民税は、課税金額の計算方法が主に2種類あり、一つは前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と、もう一つが収入には関係なく定額で課税される「均等割」です。所得割と均等割を合わせたものが住民税になります。

税率は自治体によって異なりますが、所得割は基本的に10%で、均等割は東京都の場合、都民税は年額1500円、区市町村民税が同3500円で計5000円です。自営業やフリーランスの場合は毎年6月上旬から中旬にかけて、住民税の納付書が送られてきます。会社員の場合は6月から翌年5月まで毎月の給料から特別徴収されます。

●社会保障の施策では、住民税非課税が低所得世帯の指標に

まず、そもそもの疑問として、なぜ現金給付の対象を住民税非課税の水準にしたのかということがあります。これは、社会保障の多くの施策において「低所得世帯」の基準が住民税非課税世帯とされていることが理由とみられます。このほか、2020年4月から始まった高等教育無償化も住民税の非課税世帯や、それに準じる世帯が対象になっています。

香川大学法学部で租税法を専門にする青木丈教授は「現金給付の窓口となる自治体が、指標として判断しやすいのではという考えがあったのかもしれませんが、給付を申請する国民にとっては非常に分かりにくく、現場の混乱は避けられない」と指摘します。その上で「そもそも今回の給付は税制ではないので、税制上のややこしい指標を用いる必要はなく、全員給付にしないならば『毎月の所得が10万円以下に減ってしまった人』などのシンプルな指標でよかったのでは」と疑問を呈します。

東京23区の場合、住民税の均等割が非課税になる世帯は下記です。

(1)生活保護を受けている人
(2)障がい者・未成年・寡婦(寡夫)で、前年の合計所得金額が125万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の人
(3)前年の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の人です。東京23区の場合は①35万円×(本人、生計を同じにする配偶者、扶養親族の人数)+21万円以下②単身者の場合は35万円以下。

上記を踏まえると、住民税が非課税になるのは東京23区では専業主婦と2人暮らしのサラリーマンの場合、年収156万円以下の人です。サラリーマンと専業主婦、子どもが2人の場合は、年収255万円以下の人です。今回の給付策では、住民税が非課税になるほど収入が減った人ではなくても、月収が半分以下になり、年収ベースで非課税水準の2倍以下になった人にも給付はされますが、実際に給付対象になる人は限られそうです。

●「全国民への定額給付金であれば、簡単に早く給付できたのでは」

30万円の現金給付は自己申告制で、給与明細書や源泉徴収票など収入が減ったと証明する書類を、市区町村に郵送やオンラインなどで申請します。政府は、審査に通れば最速で5月にも現金を受け取ることができるとしていますが、具体的な手続きはまだ示されていないため、遅れる可能性も指摘されています。また、新型コロナウイルス関連の対応に追われる自治体の職員に、さらに負担がかかる心配もあります。

青木教授は「全国民への定額給付金であれば、簡単に早く給付できたのでは」と指摘します。高額所得者に給付の必要はないとの意見もありますが「非課税にせずに、給付金に課税することで、一定程度、不公平感を解消できるのでは」とみています。また、今回の措置は経済対策だけではなく、補償も含む国民への支援や、自粛への理解を求める側面もあるので、国民全員に一律に給付するという意義もあるといいます。

●「今こそマイナンバーを活用すべきなのに」

また、青木教授は「今こそマイナンバーを活用しなければならないのに、一向にその気配がない。政府も国会もマイナンバーの立法趣旨を忘れてしまっている」と残念がります。全国民に付番されるマイナンバーの意義は、社会保障と税、災害対策への活用のためです。しかし、新型コロナ対策でも効果的な社会保障に使おうという動きがまったく見られません。

政府の緊急経済対策の資料には、申請手続きを可能な限り簡便にすることや、オンライン申請受け付けなどのシステム整備を行う手段として「マイナンバーカードの活用等、迅速な給付システムについて検討を行う」とありますが、マイナンバーカードの普及率は15.6%(3月9日現在)で、役に立ちそうにありません。

安倍晋三首相は4月7日の記者会見で「全員給付だと手に届くまで3カ月ぐらいかかってしまう。本当に厳しく収入が減少した人に給付がいくようにしたい」と理解を求めました。今回の30万円の給付は収入が減った人にあまねくいきわたるのでしょうか。

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