父親の不動産所得と法人の介入
今年に建設業の法人を設立しました。
法人の不動産所得についてお聞きいたします。
父親が土地をもっており不動産賃貸を行なっています。(個人事業主)
父は年間2,400万程(月額200万)の賃貸料を受けており所得税と消費税を
納税しています。
現在は父と借主の間に管理会社が入っており借主が管理会社に賃料を支払い
管理会社は管理費等を差し引いたものを父の口座へ入金している状態です。
今考えているのは私が設立した会社が父より、その土地を借りる。
法人は現在の管理会社を通して借主から賃料を法人に入れてもらう(また貸し)。
法人は父の年収分が法人に入る。法人は父に対して月額50万の賃料を支払う。
こうする事で父の所得は減る事になるのですが、これは脱税になってしまうの
でしょうか?法人は建設業の他に不動産収入が2,400万増えるので法人税と父の
所得税の税率分に節税効果が生まれるのではと思っています。
税理士の回答
山本快夫
お世話になります。
脱税とまでは申しませんが、典型的な所得の付け替え(移転)となります。しかも土地の上に建物などを法人が建築するわけでもなく、すでに賃貸物件である土地について途中から介在して転貸ということですので、法人が介在する合理的な理由と、賃料の設定に苦慮することになると考えます。
管理料の割合が30%以上のものを抽出して税務調査の対象にしていた時期があるとの情報もありますので、あくまでもおすすめできない前提での苦肉の策とはなりますが、現状の賃貸料2400万円につき、すでに生じている管理会社への管理料も含めたところで20%(年480万円)くらいに留めて、1900万円ほどは土地所有者であるお父様に帰属させるべきと考えます。それでも、税務調査があった場合の否認リスクは高いままと考えます。実際に管理会社の管理料とは別の理由付けを準備できたうえで10%~15%が程度が限度だと個人的には整理しています。
参考)
同族関係者間での不動産管理料の「税務上の適正」の考え方の参考になると考えます。
福岡高裁平成5年2月10日判決要旨
「所有不動産の管理を同族会社である不動産管理会社に委託している者が支払った管理料について、それが所得税法第157条に基づく行為計算の否認の対象となるか否かを判断し、かつ、否認すべきものとした場合における適正な管理料を計算するためには、同族関係にない不動産管理会社に控訴人と同規模同程度の建物又は駐車場の管理を委託している同業者が、当該不動産会社に支払った管理料の金額の賃借料収入の金額に対する割合と比準する方法によって、通常であれば支払われるであろう標準的な管理料の金額を算出し、これと現実の支払い管理料とを比較検討することが、事案に応じた合理的な方法である。」
他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になれば幸いです。
ご回答ありがとうございます。
正直このやり方はどうなのか自分で考えてて、すごく疑問でした。
管理会社が既に入っているのに父と元々入っていた管理会社の間に私の法人が入り込む事に
なるわけですから父からすれば二社の管理会社が入っている事になります。
サブリース方式を考えていましたが、そもそも私の法人が介入する事自体は通常起きえないとも
思っていました。
また、調べていると実質所得者課税の原則というものを見つけました。
本来父が受けるべき所得を法人の介入によって分散させようと思っていましたが、
そこで山本先生が仰る通り分散させるとしてもリスクが低いのは収入の10~15%の管理費用が
限度で、それを差し引いたものが父の所得となるべきだろうと言う事ですね。
当初、法人からすれば転貸収入と考えており法人に入るお金は賃貸料で処理しようと思って
いましたが、そもそも実態は賃貸料ではなく管理料と考えた方がいいのですね。
山本快夫
はい。10~15%というのは、現状の管理会社の管理料も含めたところで、あくまでも私個人の体感値となりますが、周囲の同業者との感覚とも概ねズレていないという認識です。
ご質問の案のとおり、法人が介在して転貸借も可能ではありますが、異常とまでは言えないものの不合理とされるリスクがあります。
土地賃貸で消費税課税売上とのことですので、アスファルトやパーキング・メーターなどを法人負担で設置したり、何らかの理由付けがあると尚良しだと考えます。
現状の管理会社による管理とは別の管理等を引き受ける余地もあります。
宜しくお願い致します。
詳しいご説明ありがとうございます。
最後にお伺いいたします。
もし、ここで質問せずに何も考えず当初の案で進めてしまい、後々、税務調査で否認されて
しまった場合をお聞かせ下さい。
①父は本来の実質所得者の分の所得税を払う事になる。
所得税及び消費税の本税+過少申告加算税or重加算税が課される。
②私の法人は賃貸収入としていた2400万に対して税金を払っていた。
賃貸収入が父から法人への貸付金になってしまい法人は借入金というか負債になり
収益が消える事になる。
法人から父への地代家賃を支払っていたが、これが損金不算入(一部?)扱いになる。
しかしながらトータルで考えると逆に法人税が還付される?また消費税課税区分が
課税売上から対象外となり消費税も還付になる?
③②なら、まだマシですが個人の貸付金(法人の借入金)ではなく寄付金
(個人から法人への贈与)として取り扱われて収益の変動はしない。
法人税は地代家賃として支払っていたものが損金不算入となり追徴となってしまうのか?
また寄付金収入として法人が計上するとなると消費税は課税売上から不課税となり、
消費税は、結果的に還付になる?
山本快夫
質問者さまの疑問は、「行為計算否認に係る対応的調整」という問題となります。
現状は、平成18年改正において法人税法132条3項が追加されたとはいえ、納税者に大変厳しい状況となっており、賛否両論ある状態です。
質問者さまのケースですと、法人からお父様へ過年度の収入を返還したときに、過去の取引金額の修正による前期損益修正として損金算入を認めるに現状はとどまっています。
参考情報)
二面的取引関係、すなわち過大管理料や無利息貸付等といった同族グループ(同族関係である株主等個人とその同族会社)内においてそれらの者の間で不自然かつ不合理な行為計算が行われるものである。このような二面的取引関係については、例えば、株主等個人から同族会社に支払った不動産管理料が過大としてその過大部分が当該個人において所得税法157条により否認されたとしても、不動産管理契約は私法上有効であり、また、同族会社においては受取った管理料は所得であることに変わりはないのであるから、当該個人への増額更正に伴って、反射的に当該同族会社の減額更正を行うことが義務付けられると解することは適当でない。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/62/03/hajimeni.htm
行為計算否認規定が適用され,所得税等において増額更正処分があった場合においては,その取引の相手方である同族会社との間で二重課税となる問題もある。そのため,このような場合には同族会社の所得について減額更正を認める対応的調整の必要性が主張されてきた3)。このような主張もあり,平成18年改正において法人税法132条に3項が設けられることとなった。しかし,同規定は対応的調整を認める規定と解されているが,課税実務において減額更正が認められた事例は存在せず,その適用について明確な基準が示されていないという問題点もある。
https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/hosei-10/kaneko.pdf
山本快夫
消費税について補足となります。
所得税や法人税のように「不当性」を要件とした引き直し規定は、消費税法には置かれていません。
そのため、法人の過去の課税売上はそのまま、個人の追徴分も発生、たとえ過年度分の収入を返還したとしても、それが消費税における「対価を得て行う資産の譲渡等」に該当するか否か、苦しい状態になるものと考えます。
宜しくお願い致します。
またまた詳しいご説明ありがとうございました!
同族間の場合、個人に増額された反面、同族会社側での所得はそのまま維持され
減額は認めない。都合の良い事ばかり考えるな。という事ですね。
山本先生にご回答いただけてよかったです。迂闊に危ない橋を渡るところでした。
余計な事は考えず正当性のある方法で進めたいと思います。
本当に助かりました!
暑い日が続きますがお体ご自愛ください。
山本快夫
私のほうも、今回を機に、改めて整理することができました。ありがとうございます。
本投稿は、2026年07月30日 12時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







