退職所得控除
会社に平成16年3月に入社した者の退職所得控除について伺いたいことがあります。
入社2年後の平成18年10月に退職共済に掛け始め、令和7年12月に退職しました。
退職共済のほかに会社からも退職金をあげたいのですが、退職所得控除がわかりません。
特に重複期間の調整がよくわかりません。
共済からの退職金は手取り約300万円でした。
税理士の回答
良波嘉男
退職所得控除は、会社退職金と退職共済の両方が同一年に支払われる場合、総額に対して最も長い勤続年数に基づく控除額を適用し、重複期間分を調整します。入社が平成16年3月(2004年3月)、退職共済加入平成18年10月(2006年10月)、退職令和7年12月(2025年12月)の場合、勤続年数は会社入社から退職までの約21年11ヶ月(22年切り上げ)です。
勤続年数の計算
会社の勤続年数は入社日2004/3から退職2025/12までで、21年10ヶ月(端数切り上げ22年)。退職共済の勤続年数は加入2006/10から退職まで約19年3ヶ月(19年または20年切り上げ、共済特例による)。重複期間は共済加入から退職まで(約19年)で、これを考慮して総退職所得控除を調整します。
退職所得控除額
単独の場合:22年で800万円 + 70万円×(22-20) = 940万円。
重複調整:共済の19年分控除(40万円×19=760万円)を差し引いた残額が会社退職金の控除額(例: 940万円 - 760万円 = 180万円)。
総退職金(共済300万円 + 会社分)から最大940万円控除後、残額の1/2が課税対象となります。
会社退職金の目安
共済300万円に対し、会社退職金を180万円以内に抑えれば控除枠内で非課税可能(総480万円 < 940万円)。超過分は課税され、源泉徴収時に「退職所得の受給に関する申告書」と共済源泉徴収票を会社に提出し、調整計算します。
ありがとうございました!
重複期間の調整がよく理解できました。
説明不足で申し訳ありません。
共済の方は12月に支給されたのですが、会社側からは1月に支給する予定です。
年をまたいだ場合も同じ考えでよろしいのでしょうか。
良波嘉男
結論
年をまたいで支給される場合は、重複期間調整は不要です。
退職共済(令和7年12月支給)と、会社退職金(令和8年1月支給)は
それぞれ別年分の退職所得として、退職所得控除を「別々に満額適用」できます。
同一年に支給される場合だけ、ご質問のような「重複期間調整」が必要になります。
根拠
退職所得控除の調整が必要になるケース
国税庁|退職所得の受給に関する申告書の手引き・通達整理」
退職金等が「同一年中に2以上支給される場合」
→ 勤続期間が重複する場合は調整を行う
支給年が異なる場合
→ それぞれ独立して退職所得控除を適用
根拠条文
所得税法第30条
所得税法施行令第69条
(退職所得控除は「その年に支給を受ける退職手当等ごと」に計算)
今回のケースへの当てはめ
支給スケジュール
退職共済:令和7年12月支給
会社退職金:令和8年1月支給
支給年が異なるため、完全に別物として扱います
① 令和7年分(共済)
勤続年数:共済加入期間(平成18年10月〜令和7年12月)
退職所得控除:この勤続年数分を単独で計算
すでに手取り約300万円 → 多くの場合 全額非課税ゾーン
② 令和8年分(会社退職金)
勤続年数:会社入社(平成16年3月)〜退職(令和7年12月)
→ 約22年
退職所得控除:
800万円 + 70万円×(22−20) = 940万円
共済分は一切差し引かない
会社退職金は940万円まで非課税枠が使えます
実務上の注意点
会社は共済の源泉徴収票を見なくてOK
年が違うため、調整計算不要
「退職所得の受給に関する申告書」はそれぞれ提出
共済:令和7年分
会社:令和8年分
税務署対応も非常にシンプルで年またぎはむしろ「安全」かと思います。
良波先生!
本当にありがとうございました!
すごくわかりやすかったです。
遅い時間に対応いただき感謝しております。
またわからないことがあったら先生に対応していただきたいくらいです。
ありがとうこざいました。
何度もすみません。
ちょっと気になることがあったのですが。
前年以前4年以内に他の退職所得を受けている場合、勤続期間が重複していたら調整が必要?というのをよくみかけるのですが、これには該当しないのでしょうか。
良波嘉男
結論
今回のケースは「前年以前4年以内の退職所得がある場合の調整」には該当しません。理由は「退職所得の支払年が異なる」ためです。
理由(制度の正確な整理)
ご質問の「前年以前4年以内に他の退職所得を受けている場合の調整」
これは、同一人が短期間に複数の退職金を受け取ることで、退職所得控除を二重に使うことを防ぐ制度です。
ただし、適用されるのは次の場合に限られます。
・調整が必要になる要件
前年以前4年以内にすでに退職所得が「支給済み」で今回と異なる退職金がある場合
ここでのポイントは「支給年ベース」で判定することです。
今回のケースへの当てはめ
今回の事実関係は次のとおりです。
共済の退職金:令和7年12月支給
会社からの退職金:令和8年1月支給
つまり、
令和7年分の退職所得:共済のみ
令和8年分の退職所得:会社退職金のみ
→同一年に複数の退職所得を受けていない
→「前年以前4年以内に退職所得を受けている」状態ではない
そのため4年ルールによる調整は不要です。
重要な補足
今回必要だった調整は、
×「4年以内ルール」
〇「同一年に複数の退職金がある場合の勤続年数重複調整」
でした。
年をまたいだことで、退職所得控除はそれぞれの年で別枠、重複期間の調整も不要という扱いになります。
実務上の注意点
会社側は令和8年分の退職所得の受給に関する申告書を取得
「前年以前4年以内の退職所得:なし」にチェック
共済の源泉徴収票は翌年分退職金の控除計算には使わない
ここがズレると誤計算になります。
何度も対応いただきありがとうございました!
「前年以前4年以内に退職所得を受けている」状態ではないというのがひっかかってしまって???になってしまいました。
会社側の計算するときに、前年に共済で退職所得を受けているから該当するものだと思っていました。
先生から教えていただいた通り940万までの非課税枠で支給したいと思います。
ありがとうございました!
年をまたいで支給される場合は、それぞれ別年分の退職所得として、退職所得控除を「別々に満額適用」できますとご説明いただきました。そこでお聞きしたいのが、従業員の退職所得の収入金額の収入すべき時期は退職の日とると国税庁のサイトでみました。
別年分の退職所得で納得したのですが、分からなくなってしまいました。
追記の質問で申し訳ありません。
良波嘉男
お手数ですが、新しいスレッドにて改めて税務相談いただけますと幸いです💦
承知しました!
先生に対応していただきたい!
またスレッドたてます。
本投稿は、2026年01月04日 14時15分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






