白色申告者必見!帳簿の種類と書き方の基本について

2014年1月から事業所得や不動産所得、山林所得から所得を得ていて、白色申告をしている方にも記帳・帳簿等の保存が義務付けられました。これからフリーランスで仕事する方のために記帳・帳簿の基本についてご説明いたします。
目次
帳簿・記帳の保存制度とは?
まずは一定の白色申告者に対して義務付けられている帳簿・記帳の保存制度の概要について確認します。
対象者は「事業・不動産・山林所得を得ている人」
帳簿・記帳を義務付けられているのは、白色申告者のうち以下のいずれかの所得が発生している方です。
- 事業所得:なんらかの事業から生じる所得
- 不動産所得:土地や建物などの貸付けから生じる所得
- 山林所得:山林を伐採したり、立木のまま譲渡して生じる所得
これらの所得が発生しているすべての人に対して帳簿・記帳の保存が義務付けられています。
制度化の背景は「処分理由の義務付け」
帳簿・記帳の保存義務が行われた背景には、2013年1月1日から「処分の理由附記」が義務付けられたからです。この処分には拒否処分や不利益処分があり、たとえば更正請求や督促などが該当します。
国税当局はこうした処分を申告者に通達する際に、必ず理由付けを行うように法律が改正されました。このことから白色申告者に対しても、青色申告者と同様に「記帳・帳簿の保存」を義務付けるように変わったのです。
帳簿書類の保存期間について
白色申告者が保存しておくべき帳簿や書類にはいくつかの種類がありますが、それぞれに保存年数が決められています。
帳簿の保存期間
帳簿には「法定帳簿」と「任意帳簿」の2種類があり、それぞれ以下の通りに保存期間が定められています。
- 法定帳簿の保存期間…7年
- 任意帳簿の保存期間…5年
法定帳簿とは収入金額や必要経費を記載している帳簿のことで、任意帳簿とは法定帳簿以外で業務に関して作成した帳簿のことです。
書類の保存期間
書類には「決算に関して作成した書類」と「業務に関して作成した書類」の2種類があり、保存期間は以下のとおりです。
- 決算に関して作成した書類…5年
- 業務に関して作成した書類…5年
決算に関して作成した書類には収支内訳書、損益計算書などが当てはまります。また、業務に関して作成した書類とは注文書や契約書、領収書などのことです。
実際に法定帳簿を記帳する方法
実際に白色申告者が法定帳簿を書く方法について説明します。帳簿を書くにあたり、まずは法定帳簿の書式と帳簿記入の手順の確認しておくことが必要です。
法定帳簿の書式について
白色申告者の法定帳簿は収入金額と必要経費が記載されていれば、書式は自由となっています。国税庁では法定帳簿の様式例を出しているので、こういったものを参考にするといいでしょう。なお、書式選びの際には「収支内訳書」に転記しやすいものを選ぶことがポイントです。
法定帳簿の書き方について
法定帳簿を書く場合は、まず収入金額を売上と雑収入等に分け、必要経費は仕入と経費に分類します。さらに経費は給料賃金、外注工賃などの収支内訳書の区分に従い分類します。そして、それぞれ以下の通りに記載していきます。
- 日付毎に取引年月日を記載する
- 概要欄に事由、相手方名称、納品書番号などを記載する
- 該当する売上欄、費用欄に金額(合計額)を記載する
法定帳簿の記帳内容と記帳のポイント
白色申告者は簡易な帳簿の記載が認められています。そこで帳簿を作成する際には以下のポイントを守るとよいでしょう。
収入金額の記帳ポイント
収入金額には売上と雑収入等の2つがあります。まず、売上を記帳するポイントは以下の5つです。
- 小売業の現金売上は、1日の合計額を記載できる
- 小売業以外でも小額な現金売上は、1日の合計額を記載できる
- 納品書等で確認可能なら1日の合計額を記載できる
- 確認可能な掛売上は、実際の代金受取日に記載できる
- 棚卸資産の家事消費等は、年末に種類別に合計額を記載できる
また、雑収入等を法定帳簿に記帳するポイントは以下の2つです。
- 小額の雑収入は、事由ごとに1日の合計額を記載できる
- 実際の現金受取日に記載できる
収入金額の記帳のポイントをまとめると、売上もしくは雑収入が発生した日ごとにその金額を記載するということになります。
必要経費の記帳ポイント
記帳が必要な必要経費には仕入と経費の2種類があります。仕入を記帳するポイントは以下の3つです。
- 小額な現金仕入は、1日の合計額を記載できる
- 納品書等で確認可能なら1日の合計額を記載できる
- 確認可能な掛仕入は、実際の代金支払日に記載できる
また、経費を記帳するポイントは以下の2つです。
- 小額な費用は、項目ごとに1日の合計額を記載できる
- 実査の現金支払日に記載できる
必要経費の記帳ポイントは、仕入や経費が発生した日・区分ごとにその金額を記載する点にあります。
おわりに
現在では白色申告者でも記帳・帳簿の保存が義務付けられています。
知らなかったでは済まされないので、これから白色申告者になる方は帳簿作成のポイントを覚えておきましょう。分からない点があれば、税務署に相談したり、オンラインで税理士に相談できるサービス「みんなの税務相談」を活用してください。
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