声優 確定申告について(白色申告、雑所得申告時の損益通算可否等)
昨年4月から事務所所属の新人声優です。
バイトの給与と声優としての収入、経費は損益通算可能だと調べた結果を見た為本当なのか確認で質問です。
●現状経費の方が上回っており赤字である。
●開業届未提出(損益通算可能ならすぐにでも届けを出そうと思っています。)
●開業届は遡って提出可能か?
●(仮に損益通算可能だとして)白色申告をしバイトの給与所得と声優としての経費をのせ、合算で申告するのか?
●赤字のためバイトの収入しかない状態だが、年末調整はバイト先にて済み。状況の通り確定申告をした場合、所得税や社会保険料等は次年度から下がるのか?
●今後声優としてのギャラは増える見込みだが、事務所へレッスン費(研修費)、現場やレッスンに行く交通費、台本印刷台本(雑費)、仕事のため使う過去の資料の円盤代金(新聞図書費又は雑費?)の費用が上回るため、赤字が続きそうな見込み。
●雑所得で申告しては?との回答頂いたが、雑所得の場合赤字なら確定申告はしなくても良い(所得税住民税共に)との事だが、雑所得で確定申告する場合も損益通算は可能なのか?
長々とすみません。また本文中の勘定科目に誤りがある場合は正しいものを教えて頂きたく存じます。
よろしくお願い致します。
税理士の回答

増井誠剛
ご質問ありがとうございます。
1. 損益通算の可能性について
損益通算が可能かどうかは、収入の性質によります。声優としての活動が事業所得であれば損益通算が可能ですが、雑所得の場合は損益通算はできません。以下のような基準で判断します:
事業所得:継続的かつ独立して営む活動で、主たる収入源となり得るもの。
例:声優活動を本業として取り組み、将来的に収益を期待している場合。
雑所得:本業ではない副業的な活動や、一時的な収入。
例:声優活動が収益目的ではなく趣味に近い場合。
声優活動が「事業所得」と認められる場合は、バイトの給与所得と損益通算が可能です。
2. 開業届の提出について
遡って提出可能か
開業届は過去の開業日を記載して遡って提出することができます。税務署では一般的に過去1~2年程度であれば受理されることが多いですが、状況により確認が必要です。提出が遅れた場合でも、過去の収入を確定申告に含めることはできます。
3. 白色申告と合算での申告について
白色申告であれば、事業所得をバイトの給与所得と合算し、総所得金額として確定申告します。具体的には、以下の手順で進めます:
声優活動の収入と経費を計上し、事業所得の赤字を算出。
バイトの給与所得と事業所得を合算。
合算後の所得が低ければ、所得税や住民税が減額される場合があります。
4. 所得税・社会保険料の影響
確定申告により総所得金額が下がれば、翌年度の所得税や住民税が減額される可能性があります。ただし、社会保険料(健康保険や年金)の計算方法は収入や保険制度によるため、直接的な影響があるかはケースバイケースです。
5. 経費の詳細について
レッスン費用:事務所での研修費として「研修費」や「教育費」で計上可能。
交通費:現場やレッスンへの交通費は「旅費交通費」で計上。
台本印刷費:印刷費用は「消耗品費」または「雑費」で計上可能。
資料(円盤代など):過去の資料が仕事に直接関連する場合、「新聞図書費」として計上可。
6. 雑所得での申告について
雑所得の場合の確定申告義務
雑所得が赤字の場合、基本的に確定申告は不要です(雑所得は他の所得との損益通算ができないため)。ただし、雑所得として申告する場合、赤字であっても他の所得との合算はできないため、税金や社会保険料の減額効果はありません。
7. 具体的なアドバイス
開業届を提出するタイミング
声優活動を本格的に事業として取り組むのであれば、開業届を早めに提出し、事業所得として確定申告を行うのがおすすめです。
今後の対策
レッスン費や交通費が嵩む場合でも、経費を正確に記録しておくことが重要です。青色申告への切り替えを検討すると、65万円の控除が受けられる可能性もあります。
ご不明点があれば気軽にお尋ねください。
お忙しい中ご連絡ありがとうございます。
細かくわかりやすい的確なご回答ありがとうございます。
こちらまだ収入的にはバイトの給与所得が多いですが、声優を本業として考えております。
開業届を取り急ぎ提出し、まずは白色申告で確定申告をしようと思います。
また何か不明点ある際は是非質問させて頂きます。
ありがとうございました。

増井誠剛
お役立ちできて幸いです。
ご不明点ございましたらいつでもご質問くださいませ。
本投稿は、2025年01月17日 11時48分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。