役所でわかる!不動産の相続税を節税するための3つのポイント

相続財産の中で、最も多くの割合を占めると言われているのが「不動産」です。それだけに相続税を節税するためには、不動産の相続税評価額をいかに抑えられるかがポイントとなります。
今回は、不動産相続の中でも特に重要な宅地の、役所で調べられる相続税評価額の3つの減額ポイントについて、どこで、何を、なぜ調べるのかについてわかりやすく解説します。
目次
宅地の評価額の計算方法について
宅地を相続する場合、基準となる相続税評価額は、以下のような計算式によって算出します。
路線価 × 宅地面積 = 相続税評価額
例えば、路線価が20万円で宅地の面積が300平方メートルであれば、「20万円×300平方メートル=6000万円」が評価額となります。なお、路線価については国税庁のホームページから誰でも閲覧することができます。
このように、計算式だけを見ると非常に単純ですが、これはあくまで宅地の評価額の基本を示しているにすぎません。宅地と一言で言っても、宅地の存在する場所の条件などによって、実際の利用価値は大きく変わってきます。
不動産相続において、相続税を節税するためには、宅地に内在する財産評価額を下げるための減額要素をもれなく見つけることが大切になってきます。
宅地の評価額を下げるために、役所で調べるべき3つのポイントとは?
宅地に内在する減額要素については、宅地の住所地を管轄する市区町村役場の各部署において確認することができます。
減額要素の中でも特に重要なポイントを3つに絞って、どこで、何を、なぜ調べるのかについてみていきましょう。
都市計画課で確認すべき「容積率」と「計画道路」
宅地については、たとえ同じ広さの土地だとしても、そこに建てられる住宅の広さが変わってくる場合があります。 その理由は「容積率」の違いにあります。
容積率とは、建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合のことで、容積率が高ければ高いほど、床面積の広い建物を建築することができ、反対に低ければ狭い家しか建てられないため、評価額についても一定の減額要素となります。 容積率には、次の2種類がありいずれか低い方が適用されます。
- 指定容積率:都市計画によって定められている容積率
- 基準容積率:前面道路の幅員が12メートル未満の場合の制限を考慮した場合の容積率
いずれも、役所の都市計画課において確認することができます。
また、都市計画による「計画道路」に含まれている土地の場合は、着手する前だとしても事業決定がされている場合は、利用の制約を受けることになるため、土地の評価額が減額できます。
道路課で確認する「セットバック」
建物を建築するためには、原則として建設基準法に定める幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。ところが、建設基準法が施行される前の道路には4メートルに満たない狭い道路がたくさんありました。
そのため、幅員4m未満の道路でも特定行政庁の指定を受けたものは、道路とみなすことしています。建築基準法第42条第2項で規定されていることから「2項道路」と呼ばれています。
この2項道路に隣接する建築物は、将来建物を建て替える場合に幅員4メートルを確保する必要があるため、道路の中心から2メートル分、敷地を後退させられてしまいます。これを「セットバック」と言います。
そのため、評価通達によると、土地が2項道路に接している場合は70%の減額を認めています。 道路の幅員については、役所の道路課で確認することができます。
埋蔵文化財の「包蔵地」
もしも相続する土地が、埋蔵文化財の包蔵地に指定されていると、将来的に土木工事をする場合に、埋蔵文化財の発掘調査をしなければならないと義務付けられています。また、驚くことにその発掘費用は所有者負担なのです。
そのため、埋蔵文化財の包蔵地に指定されている土地を相続する場合は、将来必要となる発掘調査費用のおよそ80%相当額を評価額から控除することができるとされています。
評価通達に明確な指針が示されているわけではありませんが、実際問題として埋蔵文化財の包蔵地については、将来的に所有者に対してかなりの負担が伴うため、このような減額措置が採られています。
包蔵地かどうかの確認は、市区町村役場の教育委員会、文化財担当係、郷土資料館、文化財保護センターなどで確認することができます。
土地の評価額は相続税額に直結する
これら以外にも、急傾斜地にある土地など特殊なケースについては、必要に応じて不動産鑑定士に依頼することによって、評価額の減額を主張することも可能です。
土地の評価額については、路線価と面積だけの単純計算では、現実よりも割高な価格になってしまうケースが多々ありますので、専門家に一度相談してみることをおすすめします。
おわりに
土地は相続財産の中でも、かなりの価格割合を占めることとなります。今回ご紹介させていただいた3つの減額要素をもれなく盛り込むことによって、相続税評価額を合法的に減額して相続税の節税をお考えください。
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