元国税局職員の芸人による税務調査体験談「屋上のおじいさんへの追徴課税」 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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  1. 元国税局職員の芸人による税務調査体験談「屋上のおじいさんへの追徴課税」

元国税局職員の芸人による税務調査体験談「屋上のおじいさんへの追徴課税」

元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな所得は「譲渡所得」です。

現役時代は、法人課税部門で税務調査を行っていましたが、法人と言っても、個人事業者に毛の生えたような年間の売上が1,000万円に満たない小規模な法人が、箪笥の裏の小銭のごとく存在します。

そのような法人は赤字の場合が多く、税務調査を行って否認事項があったとしても追徴課税が発生しないことが多々あります。それでも、調査に行かなければならない。赤字が何年も続いていたら、調査によって黒字化したとしても、納税は難しいかもしれない。それでも、そんなことは気にせず、目の前の否認事項を求めて調査に行かなければいけないのです。

朝から晩まで働く老夫婦の元へ

静岡県内の百貨店の屋上に、小さな小さな遊園地がありました。その遊園地の中には焼きそばやフライドポテト、ドリンクを提供する店があり、おじいさんとおばあさんが働いていました。

毎日毎日、雨の日も風の日も台風の日も二人の結婚記念日も、おじいさんは焼きそばを作り、おばあさんはコーラを紙コップに注いでいました。二人の店は、朝9時から夜8時まで、どんなに働いても赤字でした。スーパーで3パック100円で買ってきた焼きそばに紅しょうがを乗せて500円で販売しても、100mlのコーラに大量に氷を入れて350円で販売しても、ずっと赤字でした。

そんなある日、いつもと変わりなく働いていた二人のところに、税務調査がやってきたのです。

退職したはずのおばあさんの姉が

おじいさんとおばあさんの会社は、中小企業退職金共済というものに加入していました。一般の方には馴染みがないかもしれませんが、毎月一定額を積み立てて、従業員が退職したときに退職金として受け取れる制度です。毎月の積立金は経費になりますので、会社にもメリットがあります。この制度を利用している中小企業は少なくありません。

おじいさんとおばあさんの会社も何十年も前からこの制度を利用しており、数年前に腰を悪くして退職したおばさんの姉に、退職金を支払っていました。それは、確定申告書上でも確認できます。

しかし、従業員の欄には、今でもおばあさんの姉の名前があったのです。

その経費は認められません

税理士との顧問契約はなかったため、直接おじいさんのお店に電話をし、予約をしてから税務調査に臨場しました。冷風吹きすさぶデパートの屋上のベンチで、帳簿を確認します。

帳簿の作成はしっかりとしています。どうやら、知り合いの税理士に無料で申告書の作成を依頼しているようでした。税務代理権限証書はなく、調査の立ち会いもありません。帳簿の確認は、早急に済ませ、おばあさんの姉について聞き取りを行いました。

店舗を覗くと、その日もおばあさんの姉は働いています。退職金の受け渡しについて確認すると、たしかに渡した、とのこと。退職していないのに退職金を経費とするのは認められませんので、退職金の額300万円を否認しました。

退職金を支払ったのは3年ほど前だったので、調査官があと数年気づかなければ、追徴課税はなかったかもしれません。おじいさんとおばあさんの会社は、他の否認事項と合わせて200万円ほどの納税となりました。

おじいさんの訴え

2週間ほどして、ぼくが自分のデスクで書類を作成していると、おじいさんがやってきました。そして、200万円の納税がどうしても難しいと言うのです。

「倉田さん、無理です。とても払えません。70歳を超えて、売上も少ない、ほそぼそとやっている赤字の店でどうやって200万円も払うのでしょうか。もう首を吊るしかないです・・・。」

しかし、調査で結果が出た以上、納めていただくしかありません。分割での納付ができる旨を伝えて、おじいさんには帰っていただきました。しかし、このままでは余りにも酷です。おじいさんに支払い能力がないことを、上司である統括官に話しました。

すると、統括官は、「いいか、倉田。あいつらは嘘をつく生き物だから。信じてはいけない。お前はまだ新人だから、そのことが分からないんだ」と言うのです。ぼくが、粘り強く、おじいさんの預金残高、売上と利益の推移、年齢や健康状態を伝えると、「分かった。お前がそこまで言うなら、半分でいいよ。とりあえず100万な」と譲歩してくれたのです。

そして、ぼくは…

ぼくは、さっそくおじいさんのお店に電話をしたのですが、その日はお休み。少しでも早く伝えようと、次の日の朝、おじいさんの自宅に向かいました。おじいさんの自宅近くまでバスで行き、地図を広げておじいさんの自宅を探します。この辺りかなと、きょろきょろしていると、30mほど先の家からおじいさんが出てきました。

おじいさんは、黒いライダースに真っ赤なブーツを履いて、ハーレーに乗っていました。ぼくは、おじいさんに会わずに帰り、200万円を賦課することを決めました。

ぼくは、それ以来、他人を信じることができなくなり、立派な調査官になりました。「刑事の仕事は、疑うこと」という金言は、国税局にも当てはまるのだと気づいた頃には、納税者の涙にも心を動かさない鉄のような、いや、オリハルコンのような心を手に入れました。

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