役員退職金の損金算入限度額について
掲題について、一般的には「最終月給×勤続年数×功績倍率」という式で損金算入限度額を計算する事が多いかと思います。
当社が少々特殊な役員給与の出し方をしていて、月給は10万、賞与は年1回1200万円を支給しています。
この場合、冒頭の計算式に当てはめる際には月給は10万で計算するのでしょうか。それとも、賞与も月給にならして110万として計算しても差し支えないでしょうか。
税理士の回答
長谷川文男
適切な退職金の算出方法として、判例等で認められた功績倍率法は、「最終月給×勤続年数×功績倍率」であり、一番に社長の功績倍率は3.0程度です。
この方式、そもそもが退職直前の報酬が適正な報酬金額でないと、適正な退職金が算出できません。
貴社のように、
月給は10万、賞与は年1回1200万円 では、算出された金額が適正な退職金とは言えません。
では、賞与を月にならしてはどうかとのことですが、ならすような考えは功績倍率法にはありませんので、算出された金額は、功績倍率法による金額とは言えません。
長谷川文男
ココでの結論は、ならして計算した金額は、功績倍率法では、適正か否かは判断できないということです。
適正とも、不適正とも言っていないということです。
山本快夫
お世話になります。
ご質問に対する回答)
↓
税務上の扱いは不明瞭と個人的には整理しています。
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補足)
最終月額報酬額は当該役員の在職期間中における法人に対する功績の程度を通常反映していると考えられる(東京高裁平成30年4月25日)と基本的には司法では判断されます。
この裁判は最高裁に上告されましたが、賞与を12等分して最終月額報酬額に含めるべきと納税者は主張しましたが、認められませんでした。しかし、この裁判の事例は、賞与は未払だったということで、実務家の間では認められる余地があるという見解が存在します。
私は「認められない」という考え方に従っています。
また、最終報酬月額が不相当に低額である場合は「最終報酬月額×在任年数×功績倍率」では計算できませんので、悩ましい状況となります。その代替として「1年当たり平均額法」がしばしば示されますが、現実的には計算ができず採用できません。民間の調査データによる数値を用いることは、否認された判決(東京地裁平成25年3月22日)もありますので、慎重に対応するべきと考えます。
あとは、現実的な対応としまして、「適正報酬月額に基づいて退職金額を計算して差し支えないものと考える」旨※が示されていますので、このような見解を頼りに、不相当に低額な最終月額報酬額に代えて、リスクを承知のうえで計算することも、止むを得ない一つの方法と考えます。
※「役員と使用人の給与・賞与・退職金の税務 平成31年版、大蔵財務協会」
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他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
この場合、冒頭の計算式に当てはめる際には月給は10万で計算するのでしょうか。
月給だけです。
よろしくお願いいたします。
竹中先生
ご回答頂きありがとうございます。
税法にそのような記載があったり、過去にそのように決定した判例があったという事でしょうか?
税法にそのような記載があったり、過去にそのように決定した判例があったという事でしょうか?
ありませんが、後で否認されるリスクを考えると、そう考えます。
それだけです。
よろしくお願いいたします。
辰見浩一
役員退職金の損金算入限度額について、税法上これで計算するという一律の算式が定められているわけではありません。
実務では功績倍率法がよく用いられますが、あくまで適正額をみるための一つの考え方であり、最終的には不相当に高額かどうかで判断されます。
役員退職金は、在任期間、退職の事情、同業種・同規模の法人の支給状況などから相当額を検討します。賞与を12分の1にして月額110万円とするだけで、その計算結果が損金として認められるとは判断できません。逆に月額10万円を機械的に使うだけで十分かも検討が必要です。過去の報酬・賞与の推移と決定理由、職務内容、退職金規程、同業他社の比較資料をそろえ、採用する算定方法と金額の合理性について、支給決議前に近隣の税理士へ相談することをお勧めします。
相亰俊信
お世話になります。
功績倍率法(最終月額報酬×勤続年数×功績倍率で適正額を測る方法)で計算する場合、基礎となる「最終月額報酬」は原則として月給10万円と考えるのが一般的です。賞与を月割りして110万円とする扱いは法令上明確な根拠がなく、税務調査で否認されるリスクが高いと考えます。
役員退職給与は、不相当に高額な部分が損金不算入となります(法人税法第34条第2項)。その判定は、業務に従事した期間、退職の事情、同種事業・類似規模の法人の支給状況などに照らして行います(法人税法施行令第70条第2号)。功績倍率法はこの判定方法の一つで、法令に定められた計算式ではありません。
月給10万円で計算すべきとされる主な理由は次のとおりです。
・一般に使われる功績倍率(例えば社長3倍程度など)は、類似法人の「賞与を含まない月額報酬」を基礎に導かれた数値です。基礎額だけ賞与込みにすると、比較の前提がずれてしまいます。
・最終月額報酬は、在任中の功績や地位を最もよく反映する額として用いられています。賞与を加えるかどうかを会社が選べるとすると、恣意的な計算になりやすくなります。
一方で、月給が職務の実態に比べて著しく低く、報酬の大半が毎年継続して賞与で支払われている場合には、最終月額報酬では功績を適切に反映できないことも考えられます。そうであれば、1年当たり平均額法(類似法人の「退職給与額÷勤続年数」と比べる方法)など別の方法で適正額を説明する余地があります。ただし、類似法人のデータの裏付けが必要で、結論は個別事情によります。
なお、上記はいずれも、年1回の賞与1,200万円が事前確定届出給与(あらかじめ税務署に届け出た時期・金額どおりに支払う役員賞与。法人税法第34条第1項第2号)として、届出どおりに支給されていることを前提としています。届出をしていない、または届出と異なる支給であれば、賞与自体が損金不算入となります。その場合、退職金の計算以前の問題として確認が必要です。
退職金規程の整備や株主総会決議の内容とあわせて、支給額の根拠を書面で残しておくことをおすすめします。
山本快夫
最終報酬月額が極端に低額であり、当該役員の在職期間中における法人に対する功績の程度・実態を反映していない場合には、「1年当たり平均額法」を採用するのが合理的であると、課税当局は基本的に考えます。
ただし、最終報酬月額が低いことに合理的な理由があれば、最も反映していると認められる報酬を採用した判例(高松地裁平成5年6月29日)もあることから、この考え方を当てはめる余地もあると考えます。
しかし、先述のとおり、否認される税務上のリスクは残ります。
宜しくお願い致します。
山本快夫
追記させていただきます。
もうひとつの現実的な選択肢として、過去の報酬の平均額で算定する方法が考えられます。個人的には、いかに「合理的」であるかを疎明・説明できるように工夫するしかないものと考えます。
しかし、これまでの判例や裁決事例において「過去の役員報酬の平均額で計算してOK」という判断は無いと個人的には整理していますので、税務上の否認リスクがありますので、十分ご理解のうえ採用されることをおすすめ致します。
なお、国税OBの衛藤政憲氏によると、課税当局は積極的に報酬額を引き上げることはしない(国税速報 第6375号 平成27年8月24日)...とのことです。
こういった税務における状況を踏まえたうえで、納税者および税理士の方針により、積極的な対応か、保守的な対応か、それぞれ判断して金額を算出することになります。
宜しくお願い致します。
本投稿は、2026年10月21日 14時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







