ファクタリングの仕訳をわかりやすく解説!勘定科目など会計処理はどうなる?

近年利用者が増えている「ファクタリング」。一般的な融資を受けたときとは異なる会計処理が必要なため、いざ仕訳をする際に悩むこともあるでしょう。
そこでこの記事では、ファクタリングの仕訳について、取引のプロセスごとに具体的な方法をわかりやすく解説します。
目次
ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは資金調達方法のひとつです。
自社の売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらうことで、決済日より前に現金化することができます。ここでいう「売掛債権」とは、企業間の取引によって発生した「未回収金(売掛金)」や「手形債権(受取手形)」のことです。
いわゆる「融資」ではないため金利はかかりませんが、代わりに利用手数料が発生します。
ファクタリングが2社間で行われる場合には、売掛債権額の10~30%程度、3社間で行われる場合には、売掛債権額の1~5%ほどが手数料の相場となっています。
ファクタリングは2社間or3社間で行われる
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類あり、それぞれで利用の流れが異なります。

2社間ファクタリングの場合は、利用者とファクタリング事業者の直接取引になります。債権回収後は、利用者がファクタリング事業者に返済を行います。
一方、3社間ファクタリングの場合は、利用者とファクタリング事業者に加え、取引先会社もファクタリング取引に関与することになります。売掛債権をファクタリング業者に譲渡するため、返済が不要になります。
どんなメリット・デメリットがある?
ファクタリングの最大のメリットは、すぐに現金が手に入ることです。
金融機関からの融資だと、最短でも1か月程度かかるところ、ファクタリングであれば最短即日で調達できます。
また、負債が増えるわけではないので、貸借対照表(B/S)をきれいな状態にできるのもメリットです。そのため、あとから別の融資を受ける際にも有利に働く可能性があります。
一方でデメリットは、手数料が高いことが挙げられます。つまり、ファクタリングの利用は一時的な資金繰りの改善には効果的ですが、長期的に見ると不利になる可能性が高くなります。
また、3社間ファクタリングの場合、取引先会社に対し売掛債権が譲渡された旨が通達されるため、取引先からの心証が悪くなる懸念も拭えません。
2社間ファクタリングであっても債権譲渡登記の記録は第三者が閲覧できるため、取引先に債権譲渡を知られる可能性はゼロではないということを覚えておきましょう。
ファクタリングの基礎知識は以下の記事で詳しく解説しています
ファクタリングの会計処理

ファクタリングを利用した際の会計処理は、金融機関などから融資を受けたときとは異なる処置をします。
分かりやすいように、取引のプロセスごとに仕訳の具体例を紹介します。
売掛債権発生時の仕訳
ここでは特別な処理はしません。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 100万円 | 売上 | 100万円 |
売掛債権譲渡時(ファクタリング契約時)の仕訳
売掛債権の買取が決まったら、売掛金を未収金に振り替えます。未収金とは、資産を売却し、売却代金が入金されるまでに時間がかかる際に使う勘定科目です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未収金 | 100万円 | 売掛金 | 100万円 |
債権譲渡登記を行ったとき
3者間取引で、債権譲渡登記を行った際には、ファクタリング利用者がその登記手数料を支払います。その際、司法書士の報酬には「支払手数料」を使い、印紙代には「租税公課」を使用します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 2万円 | 普通預金 | 7万円 |
支払手数料 | 5万円 |
なお、司法書士の報酬に対して源泉徴収を行っている場合は「預り金」勘定で仕訳します。
ファクタリング会社からの入金時の仕訳
ファクタリングの手数料は「売上債権売却損」勘定を使用して計上します。なお、原則として売上債権売却損は損金算入が可能となっています。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 90万円 | 未収金 | 100万円 |
売上債権売却損 | 10万円 |
消費税はどうなる?
原則として、ファクタリング取引は「金銭債権の譲渡」となるため、非課税となります。そのため、ファクタリングの手数料に消費税はかかりません。ただし、債権譲渡登記を行う場合の司法書士への報酬は課税仕入となります。
取引先から売掛金が入金されたときの仕訳
2者間取引の場合は、ファクタリングした分をファクタリング会社に返済しなければなりません。そのため売掛金が入金されたら、ファクタリング会社に返済する分を預り金として処理をします。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 100万円 | 預り金 | 100万円 |
ファクタリング会社に返済するときの仕訳
返済したタイミングで預り金を消し込む処理をします。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預り金 | 100万円 | 普通預金 | 100万円 |
おわりに
ここまででファクタリングにおける仕訳、会計処理について解説しました。
しかしデメリットの部分でも触れたように、やはりファクタリングは資金繰りの長期的な改善策としてはおすすめできません。
ファクタリングの利用を検討する前に、資金繰りの悩みは税理士などの専門家にまず相談しましょう。
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