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「役員退職金」の損金算入の時期と適正金額について解説

企業経営者にとって役員退職金を支給することは、会社から個人へと資金が移転する、ひとつの転換点となります。大きなお金が動くタイミングのため、事業承継を踏まえた株価の評価額や、事業そのものの継続性、勇退する役員本人の貢献度など、さまざまな内容を考慮して金額を決定する必要があります。

一方で、会社側の事情のほかに、損金算入のためには税務上の規定も考慮に入れる必要があります。そこで役員退職金について、損金算入のポイントとなる支給時期や支給額について解説します。

目次

役員退職金の損金算入時期

役員退職金は、定款の規定または株主総会の決議により、支給額が決定されます。

役員退職金は損金算入ができますが、損金算入の時期は、原則として株主総会の決議等により具体的な金額が確定した日が属する事業年度になります。

ただし、株主総会の決議で確定した日が属する事業年度と、法人が退職金を実際に支払った日が属する事業年度が異なり、支払った事業年度に損金経理をした場合は、支払った事業年度で損金算入することが認められています

損金算入できる役員退職金の適正金額

役員退職金は、支給額のうち不相当に高額な部分については、損金に算入することができません。では、損金算入が認められる適正額とは具体的にどの程度なのでしょうか。

役員退職金の金額が適正額かどうかについては、「その役員の業務に従事した期間」「退職の事情」「同種事業・類似規模の法人の役員に対する退職金の支給状況」などに照らし、その退職した役員に対する退職金として相当であると認められる金額を判定すると、定められています(法人税法施行令70条)。

役員退職金とは本来、その役員の功績や勤続年数、退職時の役位等を総合的に考慮して決定するものです。しかし実際のところは、企業や個人によりさまざまなので、画一的な方法で決めるのは難しくなります。そのため、法令の規定としては前述のとおり、具体的な適正額について言及されていないのです。

「功績倍率法」で計算する

その一方で、税務署から不相当に高額であると判断された事例には、「功績倍率法」という方法を用いて、役員退職金の適正額を求めているものが見受けられます。

功績倍率法を用いて役員退職金を決定する方法は、実務上も広く使用されています。その計算方法は次のとおりです。

役員の最終月額報酬×役員在任年数×功績倍率=役員退職金

この方式は、「最終月額報酬」で役員の実績を反映し、「役員在任年数」で会社への貢献度を反映することから、役員退職金の算定をするのに適しているとされています。

功績倍率」を何倍にするかという点については、役職に応じて1~3倍程度の倍率を採用している場合が多いようです。ただし、功績倍率が何倍であれば過大な役員退職金とならないのかについては、特に明確な基準はありません。

過去の裁判例では、同種の事業を営む、事業規模が類似する法人を複数社選定し、これらの平均値を用いる「平均功績倍率法」が採用されたケースもあります。ただし実際のところは、納税者側がそのようなデータを用意して金額を計算するのは少々困難です。

そのため、実務上は役員退職金規定を制定し、役職に応じた1~3倍程度の倍率を継続的に適用していく例が多くなっています。

「1年当たり平均額法」もある

役員退職金の算出には、「平均功績倍率法」以外の計算方法として、「1年当たり平均額法」も比較的よく使用されています。

この方法は、数社の同業類似法人の1年当たりの退職金の平均額に、対象役員の在任年数を乗じて算出するというものです。

同業類似法人の1年当たりの役員退職金の平均額×役員在任年数=役員退職金

ただし、こちらの方法も平均功績倍率法と同様に、同業類似法人のデータを用意する必要があります。

そのため、前述したように、役職ごとの功績倍率を定めた役員退職金規定を作成し、功績倍率法を用いるケースが多くなります。損金不算入になるリスクを避けるためにも、税理士に相談しながら決めるといいでしょう。

給与(役員報酬)よりも税制優遇されている

役員退職金については、総合課税の対象となる役員給与等の所得とは分離したうえで、次の計算式のように課税されます。

(退職金-退職所得控除額) × 1/2 =課税退職所得の金額
 課税退職所得の金額 × 所得税率 - 控除額 = 所得税額

所得税のベースとなる退職所得の金額は、退職所得控除額を控除し、さらに2分の1を掛けて計算するため、通常の給与所得よりも税制面では優遇されているといえます。

ただし、役員としての勤続年数が5年以下の場合は、この2分の1を掛けて計算するという措置はありません。

なお、会社から多額の役員退職金を支払った場合、非上場会社であれば、評価方式にもよりますが、自社の株式評価額が下がる可能性があります。この株式評価額が下がったタイミングで、事業承継に向けて、後継者に株式の譲渡や贈与などを進める方法もあります。

このように法人から個人にお金を移転させる際には、役員退職金として支給することで、さまざまなメリットがあることを覚えておきましょう。

おわりに

役員退職金については、本記事で紹介した以外にも事業承継における株式評価額との関係や、分掌変更に伴う役員退職金の支給など、さまざまなポイントがあります。

役員退職金の積み立てとして、生命保険を利用している場合もあるでしょうし、役員退職金は金額が大きいだけに、資金繰りやその事業年度の損益など、考慮すべき点も非常に多くあります。

これらを踏まえて、総合的な節税に向けて役員退職金を戦略的に活用するためには、早めに税理士へ相談することが重要です。

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