イギリス在住中に日本の飲食店へ提供するサービスの税金(非居住者・源泉徴収・消費税)
日本国籍の個人です。2025年2月から、Youth Mobility Scheme(ワーキングホリデーに近い制度)の在留資格でイギリスに住んでいます。出国時は、在留資格の期限までの約2年住む予定で、2027年2月上旬に日本へ帰国・転入する予定です。
日本の住民票は、海外転出届を出しています。日本に自分の住居はなく、生計を一にする家族もいません。日本での仕事や収入もなく、帰国までに一時帰国する予定もありません。イギリスでも、現在は仕事をしていません。
2026年11月から、イギリスにいながらリモートで、日本の飲食店向けに次のサービスを月額制で提供する予定です。作業はすべてイギリスで行い、日本に事務所はありません。
・Googleマップの店舗情報の多言語化と運用代行(投稿、外国語の口コミへの返信)
・QRコードで開く4か国語のWebメニューの作成と提供
・月次レポート
質問1:帰国までの期間、私は所得税法上の非居住者に当たりますか。イギリスで仕事をしていない場合の判断のポイントも教えてください。
質問2:国税庁の質疑応答事例「非居住者に支払う翻訳料」では、海外在住者に翻訳を買取契約で依頼した対価を、所得税法161条1項11号ロの使用料として、源泉徴収が必要としています。私の月額料金にも、メニューの訳文や口コミの返信文の作成が含まれます。お店側に20.42%の源泉徴収が必要になる可能性はありますか。必要にならないようにするには、契約書で著作権をどう定めればよいでしょうか。
質問3:イギリスにいる間(非居住者・免税事業者)に、日本の飲食店(事業者)へ上記のサービスをネット経由で提供する場合、消費税法上の「電気通信利用役務の提供」に当たりますか。当たる場合と当たらない場合で、料金の表示(「税別」と書いてよいか)と請求書の書き方はどう変わりますか。
税理士の回答
質問1:所得税法上の「非居住者」該当性について
日本出国から2027年2月の帰国までの期間、あなたは所得税法上の「非居住者」に該当します。国内に「住所」があるか、または現在まで引き続いて「1年以上居所」を有する個人を「居住者」と呼び、それ以外の個人を「非居住者」と定めています。イギリスで現在仕事をしていない(無職である)状態であっても、以下の客観的事実から「日本国内に住所も居所もない」と判断されるため、非居住者となります。
1. 滞在期間と目的(YMSビザ): 出国当初からYouth Mobility Scheme(YMS)の在留資格に基づき、約2年間という1年以上の長期間にわたって英国に滞在する客観的な予定(事実)があること。
2. 生活の本拠が海外にある: 海外転出届を提出しており、日本国内に自身の住居や生計を一にする家族、日本での仕事・収入が一切なく、生活の本拠が完全にイギリスに移っていること。
職業の有無にかかわらず、生活の本拠(居住の実態)が日本国外に1年以上あることが客観的に明らかなため、非居住者の判定に影響はありません。
質問2:源泉徴収(20.42%)の要否と著作権の契約書での定め方
ご提示いただいたサービス内容は、契約書の設計次第で源泉徴収を「不要」にすることが可能です。
単なる人的役務の提供を日本ではなく、作業のすべてをイギリスで行うため、源泉徴収の対象にはなりません(国内源泉所得ではない)。
質問3:消費税法上の「電気通信利用役務の提供」該当性と請求書の書き方
インターネットを介して提供する「Webメニューの作成・提供」や「Googleマップの運用代行」は、消費税法上の「電気通信利用役務の提供」に該当します。
非居住者(国外事業者)が日本の飲食店(国内事業者)に対してこれを行う場合、役務の性質から「事業者向け電気通信利用役務の提供」に分類されます。
この場合、あなたが免税事業者であっても、消費税の納税方式は「リバースチャージ方式」となります。これは、サービスを提供するあなたではなく、サービスを受けた日本の飲食店側が日本で消費税を計算して申告・納税する仕組みです。あなたが特に心配する必要は無いのでは無いかと思いますよ。
従って、料金に日本の消費税を上乗せして請求することはできません。明確に消費税がかからない(相手側が国に納める)取引であることを示すため、「税別」という表記ではなく、「消費税対象外」や「リバースチャージ対象」と表示するのが適切です。
また、あなたが免税事業者であるためインボイス(適格請求書)の発行は不要です。
山本健治
著作権のある翻訳でしたら、2字著作物にあたるので、使用料として20.42%の源泉の対象となりますが、租税条約の届出を提出して免税となります。
ご回答いただいたお二人の先生、ありがとうございました。とても参考になりました。
追加で3点、教えてください。
1. 翻訳の著作権について
メニューの翻訳は二次的著作物にあたり、使用料として源泉徴収の対象になりうると理解しました。一方で、契約書の定め方しだいで、人的役務の提供の対価として源泉徴収を不要にできるとのご回答もいただきました。
たとえば契約書で「翻訳文の著作権は私に残し、お店には契約期間中の利用を無償で認める。料金は作業(翻訳、店舗ページの整備、口コミへの返信)の対価とする」と定めた場合、料金は使用料にあたらないと考えてよいでしょうか。
2. 使用料にあたる場合の手続きについて
租税条約の届出書(使用料)は、お店ごとに作成し、最初の支払日の前日までにお店から税務署へ提出してもらう、という理解で合っていますか。英国との条約では、特典条項に関する付表と居住者証明書も必要でしょうか。
3. 帰国をまたぐ契約について
来年2月に帰国して居住者になったあとも続く契約(帰国前に始まる最低3か月の契約など)は、帰国の前と後で、源泉徴収や消費税の扱い、請求書の書き方を変える必要がありますか。
本投稿は、2026年10月09日 05時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







