役員報酬について
3月決算法人で5月31日の株主総会にて、6月支給分の役員報酬より改定を行うことになりました。
しかしながら、6月は変更前の報酬を支給をし、7月以降に改定した役員報酬を支給をしてしまいました。
その場合、本来支給すべき役員報酬を支給していない(6月度)為、会社側と役員側でどのような処理が必要でしょうか。
税理士の回答

石割由紀人
役員報酬の改定について、株主総会で決議した内容と実際の支給内容が異なる場合、税務的および会社法上の観点から適切な処理を行う必要があります。
1. 税務上の影響
役員報酬の改定時において、適切に支給が行われなかった場合、税務上の損金算入に影響を与える可能性があります。特に、以下のポイントに注意してください:
定期同額給与の要件:
改定後の役員報酬が株主総会で決議された時期から正しく支給されなければ、税務上「定期同額給与」とみなされず、損金算入が否認されるリスクがあります。
不適切な支給分:
6月に変更前の報酬が支給された場合、7月以降に遡って調整を行わない限り、6月分の報酬が損金不算入とされる可能性があります。
2. 修正・対応の方法
会社と役員の双方で適切な対応を取ることで、リスクを最小限に抑えることができます。
(1) 未支給分を支給する
6月分の報酬が変更前の金額で支給されたため、本来支給すべき差額分を「未払役員報酬」として計上し、7月以降に追加支給する方法があります。
未払処理の流れ:
6月度の不足分を「未払役員報酬」として計上。
実際の支給は7月以降に行い、当該支給時に差額を解消する。
注意点:
未払役員報酬を支給する際の議事録や明細の整合性を保つこと。
(2) 議事録を訂正する
株主総会議事録で定めた改定時期を、実際の支給時期に合わせて訂正する方法です。
訂正の流れ:
株主総会または臨時株主総会を開催し、6月の支給内容に合わせた決議を行う。
新たな議事録を作成し、税務調査等に備える。
注意点:
改定時期の変更が必要なため、正当な理由が求められること。
3. 役員報酬支給の今後の管理方法
今回のような事態を防ぐために、以下を実施することをおすすめします:
スケジュール管理の徹底:
株主総会の決議内容に基づき、支給タイミングを明確に確認する。
給与計算担当者への共有:
変更内容を速やかに社内で共有し、支給額を間違えないようにする。
税理士・専門家への相談:
税務上のリスクを回避するため、早めに専門家に相談しておく。
4. 税務署への対応
税務署から指摘を受けた場合には、訂正議事録や未払処理の根拠資料を提示して説明できるよう準備しておきましょう。
本投稿は、2024年12月04日 16時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。