特殊支配同族会社について
初めまして。
法人を3社ありまして
A社(母体)・B社・C社どれも代表が100%株主です。
B社とC社で事前確定給与を支給しようと考えていたのですが、税理士先生に相談しますと同族だから支給すると損金にならない。といわれました
調べると「特殊支配同族会社」というものが出てきたのですが、読んでいてもよくわかりません。
本当に経費にならないのか疑問です。
もしわかる方がいらっしゃれば教えて頂けますと助かります。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
良波嘉男
結論
「同族だから事前確定届出給与が損金にならない」という説明は不正確です。
ただし、B社・C社が(いわゆる)特殊支配同族会社に該当し、かつ支給対象がその範囲の役員である場合、事前確定届出給与でも損金不算入になる(=経費にできない)ケースが現実にあります。
つまり、同族かどうかではなく「特殊支配同族会社に該当するか」「対象役員が誰か」「給与の種類」で結論が変わります。
理由
役員給与の損金算入は原則として
定期同額給与
事前確定届出給与
利益連動給与(上場等の限定)
の枠で決まります。
一方で、特殊支配同族会社に該当する会社には、役員給与のうち一定のものを損金に入れられない(上限規制)とする別ルールがあり、これに引っかかると「届出してもダメ」が起こります。
相談者様の状況で“まず疑うべきポイント”
A社・B社・C社すべて、代表者が100%株主
つまり、B社・C社は100%同族会社で、グループ全体でも支配が強い
この構造だと、B社・C社が特殊支配同族会社に該当する可能性は高いです。
該当した場合に問題になるのは、特に
役員の給与(とくに高額給与)
事前確定届出給与(賞与)
です。
「経費にならない」になりやすい典型パターン
次のどれかに当てはまると、税理士先生が言っている趣旨(損金にならない)は正しいかと思います。
1) B社・C社が特殊支配同族会社に該当している
→ 役員給与の損金算入に別制限がかかる
2) 支給しようとしているのが、代表者(1人株主)への賞与である
→ “届出”しても、そもそも制限対象に当たりやすい
3) 事前確定届出給与の要件自体が満たせていない
(届出期限、支給日・金額の固定、株主総会決議、議事録、実際の支給一致など)
→ これは同族関係なく全額アウトになります
逆に「経費にできる」可能性があるパターン
代表者ではなく、別の役員で
職務内容
報酬水準
会社業績とのバランス
が合理的で、特殊支配同族会社の制限に引っかからない形
もしくは「賞与」ではなく、定期同額給与(毎月固定)で設計し直す
(この方が実務上かなり安定します)
実務での安全な進め方
B社とC社が特殊支配同族会社に該当するか判定(ここを曖昧にすると事故ります)
該当するなら、
事前確定届出給与ではなく
定期同額給与中心に組み直す
どうしても賞与にしたいなら、
会社の利益見込み
役員の職務
グループ内取引
金額妥当性
を証拠で固めた上で、リスクを見積もるのがよろしいでしょう
本投稿は、2025年12月17日 17時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







