なぜ軽減税率に新聞が入り、必需品の「オムツ」が入らないのか? 財務省に聞いてみた - 税金やお金などの身近な話題をわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

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なぜ軽減税率に新聞が入り、必需品の「オムツ」が入らないのか? 財務省に聞いてみた

なぜ軽減税率に新聞が入り、必需品の「オムツ」が入らないのか? 財務省に聞いてみた
左はとんとん / PIXTA 右はUshico / PIXTA

10月から始まる消費増税を控え、軽減税率が話題に上ることが増えてきました。7月21日に投開票される参議院議員選挙でも消費増税は、論点の一つになっています。本来10%になる負担が軽減され、8%のまま維持される対象品目は、外食と酒類を除く飲食料品と、新聞ですが、最近ツイッターで、生活必需品のオムツや生理用品が、軽減税率に含まれないことを疑問視する投稿が、大きな反響を呼びました。軽減税率の対象品目は、どのような議論を経て決まったのか、オムツはなぜ対象外になったのか調べました。(ライター・国分瑠衣子)

●食料品の線引きで自民党と公明党が激突

軽減税率の対象品目を「外食と酒類を除く飲食料品」と、「定期購読契約が締結された週2回以上発行の新聞」とすることで、自民、公明の与党が正式に合意したのは、2015年12月です。2016年度の税制改正大綱に盛り込まれましたが、合意までの道のりは平たんではありませんでした。与党税制協議会の議論が始まった時点では、自民党は、食料品の中でもコメや野菜、肉、魚、卵といった生鮮食品だけを対象にする考え方でした。

一方で、軽減税率の導入に積極的だった公明党は、パンや麺、菓子などの加工食品も対象に入れるように主張し、両党の議論は平行線をたどりました。税収を増やすために消費増税を行うのに、軽減税率の対象品目を増やせば、税収減になってしまうというジレンマがありました。最終的には、首相官邸が間に入って、自民党に公明党の案を受け入れるように促し、ようやく決着したという経緯があります。

●財務省「オムツを全く無視していたわけではない」

では、当時からオムツやトイレットペーパーといった生活必需品は、議論の遡上にも上らなかったのでしょうか。財務省主税局は、「今、インターネット上で話題になっている生理用品やオムツを当初から全く無視していたわけではありません」と説明します。2014年6月に与党税制協議会が出した「消費税の軽減税率の検討について」という資料には、「全ての飲食料品を(軽減税率の)対象にした場合には、生活必需品への配慮、痛税感の緩和といった観点から、次のようなモノやサービスも軽減税率の対象とすべき議論がありうる」という項目に、医薬品や電気、ガス、水道、衣料品、トイレットペーパー、歯ブラシなどのサービスや日用品も記載されています。多くの生活必需品が「議論される可能性がある」とされていたのです。

しかし、その後、電気やガス、トイレットペーパーなどについて議論されることはありませんでした。これらのサービスや製品について議論が進まなかった理由として、財務省主税局は

(1)合理的な線引きができるか
(2)低所得者の負担が重くなる「逆進性」の緩和につながるか
(3)日々の生活の中で、どのぐらい利活用されているか

この3つの点で、「判断が難しかったため」としています。オムツは「子ども用、大人用、紙おむつや布おむつまで複数の種類があり、どこまでを対象範囲にするか線引きが難しい」と説明します。軽減税率の対象が際限なく広がってしまうと、穴埋めする財源の確保をどうするかといった問題も出てきます。

●なぜ新聞が対象に? 「すぐに回答することは難しい」

それではなぜ新聞は、軽減税率の対象になったのでしょうか。財務省の担当者は、「与党の税制協議会で話が出たのだと思いますが、いつ新聞を軽減税率の対象に入れるよう議論が始まったのかは、すぐに回答することが難しい」とします。

なぜ書籍や雑誌は含まれないのかという疑問もわきます。財務省は「新聞は、全国に均質な情報を提供し、所得の多寡による購読部数の差が少なく、逆進性が緩和されます」と説明します。一世帯で購読する部数にそれほど違いがない新聞は、低所得者ほど相対的な負担が重く、逆進性が緩和されるという考えです。ただ、今はネット上でも多くのニュースサイトがあります。新聞だけが軽減税率の対象になることを疑問視する声も上がっています。

●オーストラリアではタンポンが非課税に

海外に目を向けると、オーストラリア政府は2018年10月、タンポンなどの生理用品を消費税にあたる、GST(Goods and Services Tax)の課税対象から外すことを発表しました。GSTの税率は10%で、食料品や日焼け止めクリームなどは非課税ですが、生理用品は課税対象で、長年の論争の末に決着しました。

アメリカでもタンポンを非課税にする州は一部にとどまるため、課税廃止を求めて、運動が起こっています。欧州連合では税率は軽減されましたが、完全撤廃を求める声が上がっています。

日本では、軽減税率によって約1兆1千億円弱の減収が生じます。この穴埋めとして、所得税の増収分で約900億円、たばこ税の増収分で2400億円弱、医療や介護の自己負担額に上限を設ける、総合合算制度の見送りで4000億円、この他の社会保障費の見直しで1070億円、企業が税額を詳しく記載するインボイス制(適格請求書等保存方式)の導入で約2500億円弱をまかなう考えです。また、一度、軽減税率を取り入れると、標準課税に戻すことが難しいのではないかという疑問がわきますが、財務省は「軽減税率は、恒久的な措置なので、変わることはありません」と回答しています。

1989年の消費税の導入以来、初めて設けられる軽減税率ですが、10月に消費増税がスタートすれば、その対象範囲をめぐり、あらためて疑問の声が上がりそうです。

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