海外から帰国した年の退職所得とふるさと納税の控除上限額について
2026年に海外赴任から帰国し、現職を退職し、退職一時金を受け取る予定です。
2026年1月1日に日本に住所がなかったため、退職所得が2027年の住民税で課税される場合、その所得割額はふるさと納税の特例控除限度額(所得割額の20%)の算定基礎に含まれますか?
税理士の回答
後藤隆一
【結論】 帰国後(居住者として)退職一時金を受け取り、2026年1月1日に国内に住所がないため退職所得の分離課税(現年課税)の対象とならない場合、その退職所得は2027年度住民税の所得割の課税標準に含まれます。したがって、退職所得に係る所得割も、ふるさと納税の特例控除額の上限(所得割の額の20%)の算定基礎に含まれます。
【理由】 ①退職所得の分離課税(地方税法50条の2・328条)は、1月1日現在に住所を有する人が、所得税法199条の源泉徴収の対象となる退職手当等を受ける場合の特例です。対象外であれば原則に戻ります。 ②原則として、所得割の課税標準は「前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額」(同法313条1項)で、税率は課税総所得金額・課税退職所得金額・課税山林所得金額の合計額に掛けます(同法314条の3)。 ③特例控除額の上限は「所得割の額の百分の二十」(同法314条の7第11項、道府県民税は37条の2第11項)で、この所得割には課税退職所得金額に係る部分も含まれます。
【注意点:特例控除の割合】 上限は大きくなりますが、特例控除額を計算する際の割合(所得税の限界税率に応じた割合)の判定は別です。 ・課税総所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額が0以上の場合:その金額で割合を判定し、退職所得は判定に使いません(同項1号)。 ・上記が0未満、または課税総所得金額がない場合で課税退職所得金額があるとき:課税退職所得金額で割合を判定します(同項3号ロ)。 帰国前の給与が国内で課税されず、2026年分の課税総所得金額が小さい方は後者に当たる可能性があり、退職所得が大きいと割合が低くなり、上限が増えても寄附額ほど控除が伸びないことがあります。限度額のシミュレーションサイトは通常この点を想定していないため、手計算での確認をお勧めします。
【実務上の注意】 ・所得税は、退職所得の受給に関する申告書を提出して源泉徴収されていれば、退職所得について確定申告は不要です(所得税法121条2項)。 ・ただし住民税では、分離課税されない退職所得は申告により把握されるものです(地方税法317条の2第1項1号は申告事項に退職所得金額を挙げています)。確定申告または住民税申告で退職所得を記載し、ふるさと納税も同じ申告書で寄附金控除として申告されるのが確実です(ワンストップ特例の申請だけに頼らないことをお勧めします)。 ・退職金の支払時に非居住者だった場合は、所得税・住民税とも取扱いが変わりますので、支払日と帰国日の前後をご確認ください。
具体的な限度額は収入・控除の内容で大きく変わりますので、必要に応じてお近くの税理士にご相談ください。
本投稿は、2026年11月06日 22時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







