2018年1月以降に求人募集するときの注意点!職業安定法の改正による制度変更のまとめ

2018年1月から職業安定法や省令・指針の改正に伴い、労働者の募集や求人申込みの制度が変わりました。この改正では、人材募集をする企業のすべてが対象となっています。
そこで、今回は労働者の募集や求人申込みの制度の変更点について、ピックアップして解説します。
目次
労働条件を明示するタイミング
会社が、ハローワーク等へ求人申込みをするときや、自社の会社ホームページでの募集、求人広告の掲載などで労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間に、求人票や募集要項等において一定の労働条件(業務内容や契約期間、労働時間、賃金等)を明示しなければいけません。
原則として、会社は、初回の面接など求職者と最初に接触する時点までに、労働条件を明示するべきとされています。
今回の改正で、最初に明示した労働条件に変更があった場合、変更後に「可能な限り速やかに変更内容について明示」しなければいけなくなります。
面接などの選考過程で労働条件に変更があった場合は、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。
また、当初明示した労働条件の変更を行った場合には、継続して募集中の求人票や募集要項などについても修正が必要となる場合がありますので、必要に応じ修正等を行うことが必要です。
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最低限明示しなければならない労働条件などの追加
労働者の募集や求人申込みの際に、書面の交付(求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です)によって明示しなければならない労働条件が定められています。
今回の改正で、従来の求人票情報に以下の項目の明示が追加事項とされます。
- 「試用期間」
- 「裁量労働制(採用されている場合)」
- 「固定残業代(採用されている場合)」
- 「募集者の氏名または名称」
- 「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合)」
労働条件の変更明示について
以下のような場合には、労働条件の変更の明示が必要となりました。
- 「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 → 基本給28万円/月 - 「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 → 基本給28万円/月 - 「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 → 基本給25万円/月 - 「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月
なお、労働条件の変更内容の明示については、求職者が労働条件の変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。
例えば、「変更前と変更後の内容が対照できる書面を交付する」や「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする」などがあげられます。
変更明示が適切に行われていない場合や、当初の明示が不適切だった場合(虚偽の内容や、明示が不十分な場合)は、行政による指導監督(行政指導や改善命令、勧告、企業名公表)や罰則等の対象となる場合がありますので注意が必要です。
職業紹介事業者を利用する場合のポイント
求人申込みを行う職種や地域等を踏まえ、適切な職業紹介事業者を選びが必要です。
厚生労働省の運営する「人材サービス総合サイト」で、 職業紹介事業者の検索や以下の事項を確認することができます。
- 職業紹介事業者の紹介により就職した者の数(2016年度に就職した者の数から掲載)
- 上記のうち、6か月以内に離職した者の数(2018年度に就職した者の数から掲載)
- 手数料に関する事項
- 返戻金制度(短期間で離職した場合に手数料を返金する制度)の有無や内容
- その他、得意とする分野等(職業紹介事業者が任意で掲載)
おわりに
今回の改正は、企業が求人募集をする上で対応が求められる事項が多く含まれています。また、違反があった企業に対しての罰則も公開されています。採用時経営や採用担当者の方は、改正ポイントをしっかりと把握して、採用活動をすすめていきましょう。
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