【保存版】会社設立後に必要な手続き・届出書類の一覧

会社の設立登記が終わった後にも、税務署などに提出が必要な書類はたくさん残っています。定められた期限内に行わなければ損をしたり、罰則があるものもあるのでご注意ください。そこで、このページでは、会社設立の手続きが終わった後に必要な手続きをまとめてご紹介いたします。
目次
会社設立後の届出書類・期限・提出先の一覧表
大きく分けると、税金についての手続きを税務署と都道府県・市町村に、社会保険についての手続きを年金事務所に、労働保険関連の手続きを労働基準監督署とハローワークに届け出る必要があります。
提出先ごとにまとめると以下のようになります。提出先または届出書類の部分をクリックすると、その詳細の説明に飛びます。
提出先 | 届出書類 | 提出期限 | 提出要否 |
---|---|---|---|
税務署 | 法人設立届出書 | 会社設立から 2か月以内 | 必須 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 会社設立から 1か月以内 | ||
青色申告の承認申請書 | 「会社設立から3ヶ月以内」 または 「最初の事業年度終了日」のうち、いずれか早い日の前日まで | 必要に応じて | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 適用を受けようとする前月末日まで | ||
減価償却資産の償却方法の届出書 | 設立1期目の確定申告の提出期限まで | ||
棚卸資産の評価方法の届出書 | |||
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 | 有価証券を取得した期の確定申告の提出期限まで | ||
消費税関係の届出書 | (手続きに応じて) | ||
都道府県・市町村 | 法人設立届出書 | 東京23区は 会社設立から15日以内 それ以外は原則として 会社設立から1か月以内 | 必須 |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 会社設立から 5日以内 | 必須 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 加入要件を満たした日 から5日以内 | 必要に応じて | |
健康保険 被扶養者(異動)届 | 事実発生日から 5日以内 | ||
労働基準監督署 | 労働保険 保険関係成立届 | 労働者の雇用日から 10日以内 | 必要に応じて |
労働保険 概算保険料申告書 | 労働者の雇用日から 50日以内 | ||
ハローワーク | 雇用保険 適用事業所設置届 | 加入要件を満たした日 の翌日から10日以内 | 必要に応じて |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 加入要件を満たした日 の翌月10日まで |
税務署に提出する届出書類
会社所在地を管轄する税務署に対して、以下の届出を行います。届出書類は税務署または国税庁のHPから手に入れることができます。提出方法は、税務署の窓口に直接持っていくか、郵送で提出します。
法人設立届出書
会社(法人)が設立されたことを税務署に届け出るための書類です。会社設立から2か月以内に必ず提出しなければなりません。提出するときには以下の添付書類が必要です。
- 定款のコピー
- 登記事項証明書(2017年4月1日より税務署への提出は不要になりました。)
- 株主名簿
- 設立時の貸借対照表
このときに提出する株主名簿や貸借対照表の書式に決まりはありません。
給与支払事務所等の開設届出書
役員や従業員に給与を支払うために必要な届出となります。役員には、社長も含むため、従業員がいなくても必須といえる届出でしょう。会社設立から1か月以内に届け出ます。
青色申告の承認申請書
法人税の申告で青色申告を選択するために必要な書類です。提出しない場合は白色申告となりますが、その手間以上に節税メリットがあるといえるため、提出することを検討すると良いでしょう。提出期限は、会社設立から3か月以内、または、最初の事業年度末日のうち、いずれか早い方となります。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
本来は毎月10日までに納付するべき源泉徴収税を、従業員が10人未満の会社であれば、半年に1回の納付にまとめることができる特例を適用するために行う手続きです。適用を受けたいときには、その受けたい前月の末日までに届け出ます。
減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法について、定額法を選択したいときに提出する届出です。提出しないと自動的に定率法となります。提出する場合の提出期限は、設立1期目の確定申告の提出期限までです。
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棚卸資産の評価方法の届出書
期末に売れ残った棚卸資産の評価方法について、任意で選択したいときに提出する届出です。提出しないと自動的に最終仕入原価法が適用されます。提出する場合の提出期限は、設立1期目の確定申告の提出期限までです。
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書
有価証券を取得し、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法を選択したいときに提出する届出です。提出しないと自動的に移動平均法による原価法が適用されます。提出する場合の提出期限は、有価証券を取得した日が属する事業年度の確定申告の提出期限までです。
消費税関係の届出書
原則として提出は必要ありません。ただし、会社設立時の資本金が1000万円を超えている場合や、課税事業者を選択したい場合などには手続きが必要となります。
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都道府県・市町村に提出する届出書類
住民税や事業税などの地方税に関する届出を行います。会社の所在地が東京23区であれば都道府県税事務所に、所在地が東京23区以外であれば、都道府県税事務所と市町村の法人住民税課の両方に届け出る必要があります。
法人設立届出書
届け出る内容については、税務署に提出するものとほぼ変わりませんが、都道府県・市区町村によって、形式が異なります。提出期限は、主に、東京23区の場合は会社設立から15日以内、それ以外の都道府県・市町村は会社設立から1か月以内ですが、これも提出先ごとに若干異なります。それぞれの窓口またはHPなどでご確認ください。
年金事務所に提出する届出書類
会社を設立すると、その規模に関わらず、社会保険の加入が義務付けられます。その手続きを行うために、会社所在地を管轄する年金事務所に対して、以下の届出を行います。届出書類は、日本年金機構のHPからダウンロードできます。提出方法は、年金事務所の窓口に直接持っていくか、郵送で提出します。または条件を満たせばインターネット上で手続きを行うこともできます。
健康保険・厚生年金保険 新規適用届
会社設立をして、初めて社会保険に加入するために必要な届出です。会社設立から5日以内に届け出ます。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
1週間の所定労働時間が30時間以上など、社会保険の加入要件を満たす従業員を雇用するときに提出する届出です。加入要件を満たす従業員の入社日や勤務体系の変更日から5日以内に届け出ます。
健康保険 被扶養者(異動)届
被保険者である従業員に、被扶養者がいる場合や被扶養者の追加、削除、氏名変更などがあった場合に提出する届出です。婚姻や出生などの事実が発生した日から5日以内に届け出ます。
労働基準監督署に提出する届出書類
従業員を雇用すると、労働保険への加入が必要となります。労働保険は、具体的には労災保険と雇用保険のことを指します。このうち、労災保険についての手続きを行うために、会社所在地を管轄する労働基準監督署に対して、以下の届出を行います。届出書類は、電子政府の総合窓口e-Govからダウンロードできます。提出方法は、労働基準監督署の窓口に直接持っていくか、郵送、または電子政府の総合窓口e-GovのHPからインターネット上で手続きを行います。
労働保険 保険関係成立届
アルバイトや正社員などの雇用形態に限らず、従業員を初めて雇用したときに、労災保険に加入するための届出です。労働者を雇用した日、つまり入社日から10日以内に届け出ます。
労働保険 概算保険料申告書
労働保険料を申告・納付するための届出です。労働保険 保険関係成立届と同様に、アルバイトや正社員などの雇用形態に限らず、従業員を初めて雇用した場合に提出する届出です。労働者を雇用した日から50日以内に届け出ます。
ハローワークに提出する届出書類
従業員を雇用して必要となる労働保険について、雇用保険の手続きを行うために、会社所在地を管轄する労働基準監督署に対して、以下の届出を行います。届出書類は、ハローワークのHPからダウンロードできます。提出方法は、ハローワークの窓口に直接持っていくか、または電子政府の総合窓口e-GovのHPからインターネット上で手続きを行います。
雇用保険 適用事業所設置届
雇用保険の加入対象となる従業員を初めて雇用したときに、雇用保険に加入するための届出です。雇用保険の加入対象は、正社員やパートなどの雇用形態に関わらず、31日以上の雇用見込があること、かつ、1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であることです。このような従業員を雇用した日の翌日から10日以内に届け出ます。
雇用保険 被保険者資格取得届
雇用保険の加入対象となる従業員を雇用するごとに、雇用保険に加入するための届出です。入社日などの加入要件を満たした日の翌月10日までに届け出ます。
おわりに
以上が、会社設立後に行う必要のある手続きの一覧です。このように会社設立が終わった後にも、多くの手続きが必要となります。ご自身で対応するのが難しい場合には、税理士や社労士に相談してみるとよいでしょう。このページが、会社設立後に行う手続きの参考になれば幸いです。
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