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減価償却が終わったアパートの譲渡所得税計算方法

もう既に減価償却が終わって、今は0円で計算しているアパートを売却するのですが。
やはり取得費不明の5%で計算しないといけないのでしょうか?
購入時の価格が分かっているならそのデータを元に申告した方が得だと聞いたのでそちらを使って申告したいのですが。

税理士の回答

 取得価額不明の場合に適用する5%の意味ではなく、事業用資産は最大取得価額の95%まで減価償却できますが、その残額の5%という意味です。譲渡価額が取得価額より高額の場合、譲渡価額の5%を適用したほうが納税者有利となります。反対に取得価額が譲渡価額より高額の場合は減価償却を95%控除した取得価額×5%を計上したほうが有利となります。

回答ありがとうございます。
減価償却が終わった物件を売却し譲渡価額が取得価額より高額の場合、譲渡所得税の計算は取得価額不明と同じ5%を用いるという理解でよろしいでしょうか?

 平成19年以前に取得した減価償却資産は、法定耐用年数を経過したものは取得価額の5%を残存価額として残すこととなっていました。したがって、例えば3,500万円で取得した建物は法定耐用年数を経過すれば、残存価額は3,500万円×5%=175万円が譲渡所得の計算上、建物の取得価額となります。
 この建物が先祖伝来の宅地上にある場合、仮に土地・建物のそれぞれの譲渡価額を区分しないで  4,000万円で譲渡した場合、償却残額175万円なので、同額の175万円を建物の譲渡価額として、建物の譲渡所得金額を0円とします。これにより、土地の譲渡価額は、4,000万円-建物の譲渡価額175万円=3,825万円となります。よって、宅地の取得価額は3,825万円×5%=1,912,500円となります。あくまで、この計算は建物の取得価額が判明している場合なので、土地も建物も取得価額が不明の場合は土地・建物両方の譲渡価額の5%を計上することになります。
 なお、土地・建物の合計取得価額が判明している場合は国税庁ホームペ-ジの「譲渡所得の申告のしかた」の冊子の(参考2)で建物の建築年及び構造ごとの1平方メートルあたりの標準価額が掲載されていますので、これにより宅地・建物の取得価額の区分をして下さい。

>宅地の取得価額は3,825万円×5%=1,912,500円となります。
ということは、取得価額不明の5%で計算した方が節税になるということでしょうか?
4000万円の5%だと取得価額は200万になるので。

4,000万円の譲渡価額は土地と建物を併せた譲渡価額なので、建物の譲渡価額を建物の取得価額3,500万円の5%である175万円で譲渡したとして、建物の譲渡所得金額を0円とするのですから、土地の譲渡価額は4,000万円-175万円=3,825万円となります。よって、土地の取得価額は3,825万円×5%=1,912,500円となり、建物と併せた取得費は175万円+1,912,500円=3,672,500円となります。

何度も申し訳ありません。

この場合、未償却残高の175万円というのは、築後何年経っても永遠に残り続けるということでしょうか?極端な話、このアパートが築50年でも未償却残高を175万円として、売却の譲渡所得税を計算していいのですか?

当方、築後26年目のアパートですが、毎年の確定申告では未償却残高の欄は空欄で済ませています。管理会社から「もうその欄は書く必要がない」と言われました。

平成19年以前に取得したものは、資産が存在する限り、取得価額の5%部分は残ります。したがって、取得価額の5%は譲渡建物の取得費として計上して下さい。平成19年以降に取得した資産は、資産が存在する限り、備忘価額1円を最終的に残すようになります。
「未償却残高」を空欄として良いというのは、経過年数が法定耐用年数を経過しているため、必要経費となる減価償却費がこれ以上、計上できないためと思われます。

上記のことを踏まえ、e-taxを入力してみましたが、やっぱり「償却費相当額」でつまづきます。「償却費相当額」ってどうやって出すのでしょうか?175万円ではないですよね?
e-taxの入力例では「業務用建物の場合は、事業所得や不動産所得の計算上必要経費に算入される償却費の累積額になります」とありますが、そもそも確定申告時この累積額は空欄のまま提出しているので計算すべき数字がないのです。

 これまでの例で、3,500万円で取得した建物の償却残額175万円を残すには、減価償却費相当額3,325万円を入力することになります。
 国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で入力してみましたが、正常に入力できました。

試してみたら、ちゃんと入力できました。ありがとうございます。すみません、最後にもう一つだけ質問していいですか?
不動産会社から示された売却価格は土地・建物それぞれの金額の内訳がなく、合計金額だけでした。「確定申告時に困るので内訳を教えて欲しい」と頼んだら「それは税理士が決めることで買主や売主が勝手に決められない。固定資産税の評価額を参考に申告すればいい」的な回答でした。それで大丈夫でしょうか?

大丈夫です。もし、買主が消費税の課税事業者で物件を事業用で使用するのであれば、消費税の計算の関係で、土地・建物の売買価額を区分する必要がありますが、消費税の課税事業者でなければ、消費税は関係ありません。
譲渡所得の申告もこれまでお教えした方法での土地・建物の区分方法で問題ありません。

分かりました、ありがとうございます。
それと重ね重ね本当に申し訳ございません、確認させて頂きたいのですが、
「平成19年以前に取得したものは、資産が存在する限り、取得価額の5%部分は残ります。したがって、取得価額の5%は譲渡建物の取得費として計上して下さい。」
の根拠が分かるサイトはありますか?探しているのですが見つかりません。
例えば、取得価額3500万円のアパートを30年後に売却する時でも、50年後に売却する時でも減価償却費相当額を3,325万円と入力していいということですよね?建物は古くなればなるほど価値が下がるのが基本だと思うので、少し不思議な気がします。減価償却費相当額=建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 の計算式は使わないのでしょうか?何度もお聞きして申し訳ございません。

 この計算式が使えるのは、経過年数が法定耐用年数に達するまでです。

回答ありがとうございます。「未償却残高が償却限度額(5%)になった翌年から、1円になるまで5年間にわたって均等に償却する...」という説明が他のサイトではちらほら見受けられます。また「それは平成19年以前の建物でも可能」と出ています。ということは、結局、最後には未償却残高はゼロになるということですよね。そう考えると、26年目のアパートに未償却残高はないように思われるのですが、おっしゃる通りにあると申告して大丈夫なのでしょうか。

0円になることはありません。前回にも回答したように、資産として存在する限りは、備忘価額として1円は必ず残す必要があります。
 しかし、譲渡するのであれば、この場合、建物の取得費も償却残の1円としなければならないため、5%を適用するほうが有利と思いますが・・・

結局、築26年後のアパートの建物としての価値(未償却残高)は1円なので、取得費不明の5%を適用する方が有利、という結論でよろしいでしょうか?

今までの当方の説明をご理解されていないようです。
何度も申し上げていますが、同じ5%でも、譲渡価額×5%で計算することと、建物の償却残としての5%を計上することとは異なります。(実際の取得価額の5%を計上するか、譲渡価額の5%を計上するか)
今まで用いた例で申しますと、通常の概算取得費を適用した場合、土地と建物を併せた取得費は4,000万円×5%=200万円ですが、建物の取得価額が3,500万円と判明している場合、残存価額は5%残るので、3,500万円×5%=175万円、これと同額で譲渡したものとして、建物の譲渡利益は0円。土地の譲渡価額は4,000万円-175万円=3,825万円 土地については概算取得費5%を適用し、1,912,500円となります。よって合計の取得費は3,662,500円となり、土地・建物ともに概算取得費を適用した場合より、1,662,500円取得費が多くなり、譲渡所得は1,662,500円少なくなります。先ほどのあなたのご質問とは逆で、建物の取得費は実額の5%と土地は(全体の譲渡価額-建物の取得価額×5%)×5%としたほうが全体の5%を適用するより有利です。

池田様、何度も話が元に戻ってしまってすみませんでした。
結局、「建物の取得価額が3,500万円と判明している場合は、残存価額5%は残る」のですね!
分かりました。
ネットで検索をすると、築古の建物を売却する人は概算取得費を適用して申告している人
ばかりだったので、それが常識なのかと思っていました。
池田様のアドバイス通り建物の取得価額の5%を用いた方法で確定申告に臨みたいと思います。

譲渡所得の計算に関しては、物件の売却が決まってから半年以上、
一人で悩み続けてきたので、今回池田様に話を聞いていただき大変助かりました。
無知な私に根気強く教えて頂きありがとうございました。

本投稿は、2024年06月11日 08時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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