代償金は所得か?
代償分割方式での不動産相続の際の代償金(現金)は、所得として確定申告する必要はないと考えてよいでしょうか。
そして、それは、後日不動産相続人が不動産を売却し、売却益が出た場合(税抜後の売却益は当然不動産相続人だけのもの)でも一緒でしょうか。
税理士の回答

石割由紀人
ご質問ありがとうございます。代償分割における代償金と、その後の不動産売却益について、それぞれ詳しくご説明します。
1. 代償分割における代償金(現金)について
原則として所得にはならない:代償分割とは、相続財産を特定の相続人が現物で取得する代わりに、他の相続人に対して金銭などの財産を渡す遺産分割方法です。この際、現金で支払われる代償金は、受け取った側にとって原則として所得とはみなされません。これは、代償金が現金の場合、所得税法上の「資産」の譲渡には該当しないためです。
代償金が不動産などの場合:もし代償金が現金ではなく、不動産や株式などの資産で支払われた場合、その資産を渡した側には譲渡所得税が発生する可能性があります。これは、資産の時価と取得費の差額が譲渡所得とみなされるためです。
相続税の計算:代償分割の場合、相続税の総額は変わりませんが、代償金の金額によって各相続人の相続税の負担割合が変わります。代償金を支払う側は、相続した財産の価額から支払った代償金の額を差し引いた金額が課税対象となり、代償金を受け取る側は、相続した財産の価額と受け取った代償金の額の合計額が課税対象となります。
2. 不動産売却益について
売却益は不動産相続人の所得:相続によって不動産を取得した人が、その後その不動産を売却した場合、売却益は不動産を売却した人の所得となります。この売却益に対しては、譲渡所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得税の計算:譲渡所得税は、売却価格から取得費(不動産の購入価格や相続時の評価額など)、譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額に税率を掛けて計算します。
所有期間による税率の違い:不動産の所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率が高くなります。5年を超える場合は長期譲渡所得となり、税率が低くなります。
特別控除:一定の要件を満たす場合、譲渡所得から特別控除が適用されることがあります。例えば、居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除などがあります。
確定申告:不動産を売却して利益が出た場合は、原則として確定申告が必要です。
3. ご質問のケースについて
ご質問のケースでは、代償分割で現金を受け取った方は、その代償金について所得税を申告する必要はありません。その後、不動産を相続した方が不動産を売却した場合、その売却益は不動産を売却した方の所得となり、その方に譲渡所得税と住民税が課税されます。代償金を受け取った方は、不動産売却益に対して税金を支払う必要はありません。
まとめ
代償分割で現金を受け取った場合、その代償金は所得とはみなされず、所得税の確定申告は不要です。
不動産を相続した人が、その後不動産を売却した場合、売却益は売却した人の所得となり、譲渡所得税と住民税が課税されます。
代償分割で現金を受け取った人は、不動産売却益に対して税金を支払う必要はありません。
注意点
代償分割で代償金として現金以外の資産(不動産など)を渡した場合は、譲渡所得税が発生する可能性があります。
石割先生、大変丁寧なご回答ありがとうございました。
よくわかりました。
朝早くからすみませんでした。
本投稿は、2024年12月17日 06時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。