不動産譲渡所得がマイナスになるときの確定申告の必要性について
現在年金生活のみの所得で生活しており、医療費控除と生命保険の控除を受けるために、毎年確定申告をしています。
昨年、不動産を売却しましたが、売却金額が、取得費より下回ったため、譲渡所得がマイナスになってしまいました。
今年も医療費控除と生命保険の控除を受けるために確定申告を行う予定ですが、譲渡所得がマイナスになった場合でも、分離課税である譲渡所得(マイナス分)を一緒に確定申告する必要はありますでしょうか? それとも、譲渡所得(マイナス分)は確定申告する必要は無く、例年と同じく、医療費控除と生命保険の控除を受けるために確定申告だけでよいでしょうか?
税理士の回答

矢尾正俊
ご回答させて頂きます。
不動産譲渡所得がマイナスになった場合、原則として確定申告は不要です。したがって、ご記載いただいた状況では、譲渡所得(マイナス分)を確定申告に含める必要はありません。
例年通り、医療費控除と生命保険料控除を受けるための確定申告のみを行えば十分かと思われます。これらの控除は、年金所得から差し引かれることになります。
ただし、以下の点に注意が必要です:
①特例の適用:特定の特例(例:居住用財産の3000万円特別控除)を利用する場合は、譲渡損失があっても確定申告が必要になることがあります。
②損益通算の可能性:不動産譲渡損失を他の所得と損益通算できる特例がありますが、これらは特定の条件を満たす場合に限られます。
③将来の譲渡益との相殺:今回の譲渡損失を将来の不動産譲渡益と相殺したい場合は、確定申告をして損失を繰り越す必要があります。
④税務署からの問い合わせ:大きな金額の不動産取引があった場合、税務署から確認の連絡が来る可能性があります。
結論として、譲渡所得がマイナスの場合、特別な事情がない限り、医療費控除と生命保険料控除のための通常の確定申告のみを行えば十分です。ただし、ご不明な点がある場合は、最寄りの税務署に相談することをお勧めします。
矢尾先生
誠に丁寧な回答をいただき深謝申し上げます。
昨年二関しては、医療費控除と生命保険料控除を受けるための確定申告のみを行えばよいことで理解いたしました。"④税務署からの問い合わせ"があった場合のために、取得時及び譲渡時の契約書や領収書はしっかり保持しておきます。
先生が記載してくださった"③将来の譲渡益との相殺"について、以下お教えいただけました幸甚です。
・今回の不動産は私のマイホームではなく賃貸物件になりますが、別の不動産(賃貸物件)を来年売却した場合、2つの不動産(賃貸物件)で、先生が記載いただいた"③将来の譲渡益との相殺"にあたるのでしょうか?
・上記"Yes"であるならば、何年間の繰り越し相殺が可能なのでしょうか?
何卒宜しくお願い申し上げます。

矢尾正俊
追加のご質問ありがとうございます。
マイホームの売却であれば3年間の損失の繰越控除がございますが、賃貸物件につきましては残念ながらございません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm
今回ご質問頂いたケースですと、残念ながら将来の譲渡益との相殺は難しいかと思われます。
矢尾先生
再度のご回答をいただきありがとうございます。賃貸物件の場合、同年であると相殺できるが、年が異なると相殺できないということですね。
もし同年で、2件の賃貸物件の譲渡を行い、相殺したのちの全譲渡所得が依然とマイナスである場合は、確定申告は必要でしょうか? それとも、2件の不動産であっても相殺後、全譲渡所得がマイナスならば、①での一つの不動産の場合と同じで、確定申告の必要はないでしょうか?
再三にわたりご質問させていただき誠に恐縮です。何卒宜しくお願い申し上げます。

矢尾正俊
追加でご質問を頂いたケースにおいては確定申告は必要ございません。
以下の令和6年の確定申告の案内にあるとおり、不動産の譲渡所得がマイナスの場合は確定申告は不要です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm
矢尾先生
何度も回答いただき深謝申し上げます。

矢尾正俊
ベストアンサーありがとうございます。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2025年01月12日 23時17分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。