従業員に対する株式の譲渡について
私は、非上場の中小企業を経営する者です。
この度、従業員に株式を譲渡する形での事業承継を考えています。
この時に、株式譲渡価格にのれん代を含めて売りたいため、資本の合計よりも高額で売却することを目指しています。
インターネットで調べると、親族間で売買する場合に時価よりも低く売ってしまうと情報がありました。
今回のように、親族間ではなく、従業員に対する譲渡で、かつ、高めに売る場合には問題はないのでしょうか?
税理士の回答

相談者様(経営者)が従業員さんに事業承継を目的として株式を譲渡されるということは、現在お持ちの株式(過半数?)をすべて譲渡されるということでしょうか。
通常、従業員さんなどの少数株主に株を譲渡する場合には、「配当還元価額」といった非常に低い価額での譲渡となりますが、本件は逆に高額での譲渡のようですので稀なケースかと思われます。
所得税法での自社株の時価は、所得税法基本通達59-6の規定を参酌して通常算定します。のれん代を含めた価格でとのことですが、のれん代を適正な価額で資産計上して上記通達の計算方法で算定した価額と、実際に売買する価額とが、かけ離れたものでなければ、税務上は問題とならないのではないかと考えます。
宜しくお願いします。
配当還元方式というものがあるのですね。
先生のご回答を踏まえ、検索し、解説している情報を見ました。
同族株主であるかどうかは、取得者側で判定するのでしょうか?
譲渡者は私であり、100パーセント株主ですが、取得者は従業員で今のところ株は全く持っておりません。
また、一般的に配当還元方式という低額評価の方法で譲渡をで行うのは何故でしょうか?メリットがあるのでしょうか?

ご連絡ありがとうございます。
同族株主の判定につきまして、本件に関しては取得者側での判定になるものと考えます。
所得税法の規定では譲渡直前の議決権数での判定となってはいますが、本件のように100%移転する場合には移転と同時に支配権が取得者に移りますので、取得者側で判定する必要があると考えます。
配当還元価額で売買するケースは、同族株主以外の人などの「議決権割合の低い人(会社経営に影響力のない人)」になります。つまり、このような人にとっての株式の価値は「配当を受け取る権利」くらいしかないため、過去の配当率から計算する配当還元価額がその株式の時価と定められています。
配当還元価額は一般的には非常に低額になりますので、高く売りたい人にとってはメリットが感じられないかもしれませんが、自社株の評価額が高額なために相続税に悩んでいるオーナー経営者にとっては、信頼できる第三者(同族株主以外の人)に配当還元価額で所有株式の一部を譲渡することで、相続財産を大幅に圧縮できるというメリットが考えられます。
以上、ご参考になれば幸いです。
考え方含め、大変参考になりました。
ありがとございました。
本投稿は、2016年06月10日 21時21分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。