養子がいる場合の相続税計算について
高齢の父には実子2人がいて、養子2人がいます。相続税法上は実子がいる場合の養子は1人までとネットで書いてありましたので、相続人は3人分で相続税額を計算し、その後、4人で遺産分割して、遺産を取得した額に応じて、相続税額を配分する・・そういう流れになるのでしょうか。こんなことお聞きしてすみません。父は健在ですが、もしものときを考えて、どれくらいの金額になるのか計算しようと思いまして。。。
税理士の回答
相続税の計算は、土地がなければ簡単だと思いますが、土地がある場合には、専門家にシュミレーション的に算出してもらうのがいいと思います。相続税対策もやればやっただけ安くなります。

小川真文
基本的なお考えは相談者様のご意見のとおりですが、相続財産の内容及び養子の態様等によっては微妙に異なりますので、以下を参考としてください。
相続人の中に養子がいるとき(国税庁ホームページより引用)
対象税目 相続税
概要
1 相続税の計算をする場合、次の4項目については、法定相続人の数を基に行います。
(1) 相続税の基礎控除額
(2) 生命保険金の非課税限度額
(3) 死亡退職金の非課税限度額
(4) 相続税の総額の計算
2 これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。 この法定相続人の数に含める養子の数の制限について説明します。
(1) 被相続人に実の子供がいる場合は1人までです。
(2) 被相続人に実の子供がいない場合は2人までです。
ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記(1)または(2)の養子の数に含めることはできません。
3 次のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われますので、すべて法定相続人の数に含まれます。
(1) 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
(2) 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
(3) 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
(4) 被相続人の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。
根拠法令等 相法12、15、16、63、相令3の2、相基通63-1、63-2
前出の先生のご意見のとおり「専門家にシュミレーション的に算出してもらうのがいいと思います」

高橋克徳
はじめまして。
おおまかに相続税の計算過程を追って説明いたしますと、
①取得した相続財産、みなし相続財産等から債務及び葬式費用の額を控除して、各人の課税価格を計算します。
②相続税の総額を計算します。
イ 各人の課税価格を合計し課税価格の合計額を計算します。
ロ 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算します。
ハ 課税遺産総額を法定相続分に従って取得したものとして各法定相続人の取得金額を計算します。
ニ 各法定相続人の取得金額に税率を乗じて算出税額を計算します。
ホ 算出税額を合計して相続税の総額を計算します。
③相続税の総額を各人が取得した財産の課税価格で按分し、各人ごと の相続税額を計算します。
④各人ごとの相続税額に各種加算、控除を適用し、各人の納付税額を計算します。
以下、お母様(被相続人の配偶者)は既に亡くなっており、養子の方がお二人とも普通養子という前提で説明します。
養子が複数いる場合、②のロの基礎控除額の計算と②のハの法定相続分に従って取得した場合の計算が通常と異なります。
まず基礎控除額の計算上、実子がいる場合養子は1人しか法定相続人に含まれませんので、ご質問の場合基礎控除は、(3,000万円+600万円×3)で4,800万円となります。
また、各法定相続人の取得金額を計算する場合も、法定相続人は3人となりますので、基礎控除額を差し引いた後の課税遺産総額が9,000万円であれば、これを3等分した3,000万円が各法定相続人の取得金額となり、これに税率を乗じた400万円が算出税額、この3人分の合計額1,200万円が相続税の総額ということになります。
ただし、養子といいましても特別養子縁組による養子となった場合や配偶者の実子で被相続人の養子となった場合など、相続税法上実子とみなされる場合があります。その場合は計算が異なりますのでご注意ください。
また、あくまで養子がいた場合にスポットを当てて説明しており、その他の点の細かい計算過程については説明が十分ではありませんのでご了承ください。
回答くださってありがとうございます。
本投稿は、2023年08月30日 14時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。