親の認知症対策として不動産の生前贈与は効果的でしょうか
土地 5000万円(相続税評価額)
家屋 1000万円(固定資産税評価額)
預金 2000万円
父はとうに他界、母は上記の自宅に独居し、子A・Bもそれぞれ自宅があり別居しています。
母の自宅(土地・家屋)は子Aと50%共有しています。
もしも母が認知症になると、老人ホームの資金調達も困難が予想されます。
対策として、土地家屋の母の持分をA・Bに25%(1500万円)ずつ生前贈与すると仮定します。相続時精算課税制度を選択して贈与税は0円だと思いますが、母の他界時は、持ち戻されて相続税がかかると思います。
付帯費用は登録免許税(評価額の2%)、不動産取得税(同3%)、贈与契約印紙(1通200円)でしょうか。
以上の対策に盲点・誤解や注意事項がありましたらご教示いただけるでしょうか。
お願いいたします。
税理士の回答
老人ホームの資金は2,000万円では足りないのでしょうか。
不動産を生前贈与したからといって老人ホームの資金にはできないのではないでしょうか。
生前贈与の目的が不明です。
・お題目である「認知症対策として」どうか?ということですから、その状況になると、いざ売却をしようとしてもできなくなるので、子供2人に贈与し名義を移転させておくことだけ、「⓵権利面」でみると、貴殿の思いの効果はあります。但し、売却した場合の居住用の特例では不利なケースも考えられます。
・付帯費用の計算もおおむね良いでしょう(取得税の%は再確認してください)。
ここでの費用効果としては、相続まで待てた場合の費用の方が、%は低いまたは0という事になります。
・相続時精算課税制度の相続税での加算についても正しい見解です。
ここで、税金としての効果を見ると、贈与した場合は贈与税申告財産価額で加算額が固定されますが、相続まで待った場合で、土地が値上がりしていれば評価額も上昇するでしょうし、家屋は評価額が下がるケースの方が多いでしょう。土地が高騰中のケースでは、先に相続時精算課税制度を適用した方が有利なケースもあるという事です。
・このように上記⓵権利面に加え「②税金面」「⓷費用面」でのメリットとデメリットという観点まで目を向けて対比できると、貴殿が言う「盲点や注意事項」も見えてくると思います。
・先にご回答されている先生の「今後の母の生活設計面(⓸)」についてのご回答は同意見です。これを支払い可能として解決してしまうと、これまで解説した事柄自体が不要なケースとなる場合があるからです。
まずは、そもそも費用をかけてやる必要性を⓵②⓷⓸など、どれに焦点をあてて実行すべきか否かを考えることも重要だと個人的には思います。
・これ以上は、相続と相続税コンサルの領域ですので回答は、これらの概略までとします。
両先生とも、重要なご指摘ありがとうございます。
状況を補足させていただきます。
すでに高齢で物忘れが顕著、独居に不安があり数年以内に老人ホーム入居を考慮しています。高額が予想される入居費・生活費に充てるため、預金だけでなく、自宅担保借入または売却も考慮しました。しかし、その時点で認知症と判断されると母は売却契約も担保設定もできないと考えられます。その意味で、意識清明なうちに贈与を受けることを考えた次第です。ただ、贈与はそのときまでの様子見でも良さそうですね。
また、贈与を受けると子A・Bにとっては居住用財産ではないため、3000万円の特別控除もなく、高率の短期譲渡所得税も覚悟しなければならないのですね。
たいへん失礼ながら、対策を検討するためにお母様の年齢は重要な要素です。
当事務所の財産相続シュミレーション業務では、平均余命を基に対策をご提案しています。
お近くの相続税分野に強い税理士に相談することをお勧めします。
お役に立てて良かったです。
・ちなみに、贈与や相続により取得した物件を譲渡した場合は、「取得時期」と「取得価額」を引き継いでいますから、所得税の分離譲渡所得の計算は、先代が購入した金額で計算しますし、所有期間も先代の購入日からカウントしますので、「長期」に該当するケースが多くあります。
・お時間が許せば、「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」を昔の契約書を見ながら仮計算してみるのも良いでしょう。
ご教示ありがとうございました。
本投稿は、2025年04月14日 22時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。