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外構工事部分の相続税の財産評価の範囲について

実家の相続で、家の周辺の外構部分の評価をしようとしています。事前に見取り図を描いて何があるかを抽出しています。フェンス、石垣、土留めの擁壁、家へのアプローチ部分、ブロック造りの花壇、カーポートと駐車場、地下の水道給水装置などと区分しています。
 一方、換価価値のないものは評価しなくても良いと聞いたことがあります。上記で挙げた例示等で、こういったものは評価していなくても、税務調査で指摘されないよというものがあれば、ご教示ください。
 どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

相談者様、結論として外構部分は原則「家屋(建物)の附属設備」として家屋評価額に含まれており、個別に別評価しなくて問題ありません。
また、換価価値が乏しい・撤去前提・土地と一体不可分なものについては、実務上 評価していなくても税務調査で指摘されにくい のが実情です。

理由
相続税評価では、土地・家屋・構築物を個別に評価しますが、外構の多くは 家屋の附属設備 または 土地の効用に吸収される構造物 と整理されます。
国税実務では、固定資産税評価に含まれているものを重複評価しない という考え方が基本です。
「換価価値(売却して金銭化できるか)」が極めて乏しいものは、独立した財産評価の対象外とされやすいです。

ご質問の例示ごとの実務的な整理
【原則:個別評価不要(=評価しなくて問題になりにくい)】
フェンス(簡易・一般住宅用)
ブロック造りの花壇
家へのアプローチ(コンクリート・石張り通路)
土留め用の擁壁(宅地造成に不可欠なもの)
地下の水道給水装置・排水管
→ いずれも 家屋または土地に吸収。換価性なし。未評価でOK。

【通常は家屋評価に含まれる(別評価しない)】
カーポート(簡易なアルミ製・基礎固定)
駐車場(土間コンクリート)
→ 固定資産税評価上、家屋または宅地評価に内包されるのが通常。別立て評価は不要。

【注意が必要(条件次第で指摘されうる)】
大規模・装飾性の高い石垣(観賞用・豪華なもの)
独立性の高い構築物(高額な門扉、電動ゲート等)
→ 明らかに嗜好性・換価性が高い場合は、写真・規模次第で指摘リスクあり。

税務調査で見られるポイント
固定資産税評価明細に既に含まれているか
撤去しないと売れない=換価性があるか
土地・家屋と分離して第三者に売却できるか
→ この3点で「NO」なら、ほぼ指摘されません。

実務上のおすすめ対応
見取り図・写真を保存(評価しなかった合理性の裏付け)
「家屋附属設備として評価済」「換価価値なし」とメモ残し
評価額を立てない代わりに、説明資料を残す(これが重要)

お忙しいところ本当にご回答ありがとうございます。何度も何度も拝読させていただきました。本当にありがとうございます。「実務上のおすすめ対応」は特に助かります。

1点質問をさせてください。
「税務調査でみられるポイント」で掲げられている「固定資産税評価明細に既に含まれているか」の判断は、固定資産税における財産評価で考慮済みか否かということと理解しました。つまり固定資産評価明細に個別に計上されていなくても、計上されている家屋や土地の評価に当たり考慮されているか否かということでしょうか?また、そのような判断は、固定資産税を勉強すればできるようになりますか?

たびたびすみません。
私の質問のような評価対象の理解に資する専門書等、ご推薦いただけるような図書があれば教えて下さい。

ご理解は概ねそのとおりです。
「固定資産税評価明細に既に含まれているか」というのは、明細に“個別に記載があるかどうか”ではなく、家屋や土地の評価の中に構造的に織り込まれているかという意味で使われます。
ただし、固定資産税を勉強すれば個人で完全に判断できる、というものではありません。
実務では「固定資産税評価=相続税評価とは別物」という前提で、結果責任ベースで判断されます。

理由
① 固定資産税評価との関係
固定資産税では、
家屋:通常利用に必要な付帯設備・構造物
土地:通常の利用形態に必要な造成・整備
は、個別に明細表示されず、まとめて評価に含まれるのが一般的です。

したがって、明細に「フェンス」「擁壁」「アプローチ」と書いていなくてもその家屋・土地を通常利用するために不可欠なものであれば、「評価に織り込まれている」と整理されることがあります。

ただしこれは
固定資産税の理屈
相続税調査での実務的な見られ方
という位置づけです。

② 相続税では「別評価される可能性」が常に残る
相続税では、固定資産税評価を参考にはするが拘束されません。
そのため税務署は、換価性があるか、単体で価値を主張できるか、高額・特殊・後付けではないかという観点から、固定資産税で含まれていても、あえて別途評価を求めることがあります。

「固定資産税を勉強すれば判断できるか?」について
結論として勉強しても“判断材料”が増えるだけで、最終判断はできません。
理由は、固定資産税評価は自治体実務、相続税評価は国税実務の両者の評価思想が異なるためです。

実務では、
固定資産税評価の知識
相続税調査での否認パターンの蓄積
を踏まえて、「争点にしない線」を引いているのが実情です。

図書について
特定の専門書を挙げることは差し控えますが、方向性としては以下のレベル感が適切です。
固定資産税の評価体系を俯瞰できる一般解説書
相続税の財産評価の考え方(換価性・独立性)を説明した実務書
※ どちらか一方だけ深掘りしても、判断はできません。

私の今後の修行すべき道が見えてきたような気がしています。勉強と実務の境目は経験を積んでいかなければなりませんね。
この度は本当に聞きたかったことが聞けて、とても良かったです。
だいぶ本筋が見えて来た気がします。
本当に感謝いたします。ありがとうございました。

本投稿は、2025年12月28日 14時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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