法人保有暗号資産の期末時価評価課税の適用除外について
法人税法第61条に規定される「特定譲渡制限付暗号資産」について、一定の条件を満たせば、原価法を適用することで期末時価評価の対象外になると認識しております。
既存の法人保有暗号資産を期中に移転制限した場合、みなし譲渡損益やみなし取得価額はどのように計算され、その後の原価法による期末評価はどのように取り扱われるのでしょうか。
税務上の留意点も含め、ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答
◆期中に特定譲渡制限付暗号資産となった場合
既に法人で保有している暗号資産が、期中に特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった場合には、みなし譲渡・みなし取得の処理が必要になります。
その事業年度中に市場暗号資産に該当していた暗号資産については、特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった時に、時価で譲渡し、同額で取得したものとみなされます(法人税法61条6項、法人税法施行令118条の11第1項2号イ)。
例えば、
・従来の帳簿価額:100万円
・特定譲渡制限付暗号資産に該当した時の時価:160万円
であれば、60万円のみなし譲渡益が生じ、以後は160万円を取得価額として帳簿価額を計算します。
一方、その事業年度中に市場暗号資産に該当していなかった暗号資産については、原則として帳簿価額によるみなし譲渡・みなし取得となるため、その時点では損益は生じません。
◆「特定譲渡制限付暗号資産」となる時点
「特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった時」は、単に技術的な移転制限を設定した時とは限りません。
保有者のみでは解除できず、解除までに相当の期間(概ね1年以上)を要する移転制限等の「特定条件」が付されていることに加え、暗号資産交換業者を通じた通知・公表手続等の要件を満たす必要があります。
したがって、単に法人内部で「売却しない」と決めただけでは、この取扱いの対象にはなりません。
◆その後の期末評価
自己発行暗号資産以外の特定譲渡制限付暗号資産については、種類ごとに時価法または原価法を選定します。選定しなかった場合の法定評価方法は原価法です。
原価法を適用する場合、期末評価額は帳簿価額となります。
上記の例で、その後に追加取得や譲渡がなければ、
100万円
→ 特定譲渡制限付暗号資産に該当した時に160万円(60万円のみなし譲渡益)
→ 期末時価が200万円でも帳簿価額は160万円
となり、160万円から200万円までの40万円については、その期末では評価益を計上しません。
なお、同じ種類の暗号資産を追加取得・譲渡した場合には、特定譲渡制限付暗号資産とそれ以外を区分したうえで、移動平均法または総平均法により一単位当たりの帳簿価額を計算します。算出方法を選定しなかった場合は移動平均法です。
◆移転制限を解除した場合
その後、移転制限が解除されるなどして特定譲渡制限付暗号資産に該当しなくなった場合にも、みなし譲渡・みなし取得の処理が必要です。
その事業年度開始時から解除等の時までに時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当していたものについては時価、それ以外は原則として帳簿価額によるみなし譲渡となります。
解除後に通常の市場暗号資産となれば、再び期末時価評価の対象となります。
したがって、原価法を適用することで含み益が永久に課税されなくなるわけではなく、特定譲渡制限付暗号資産である期間について期末時価評価を行わない、という課税時期の繰延べと考えるのが適切です。
なお、本制度は令和6年4月1日以後に終了する事業年度から適用されています。
本投稿は、2026年09月24日 14時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







