個人事業主で税務調査の対象になる人とは?5つの特徴や実例を紹介

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個人事業主で税務調査の対象になる人とは?5つの特徴や実例を紹介【税務調査ガイド】

監修: 門田 睦美 税理士

個人事業主に税務調査が入る確率は?

個人事業主への税務調査における調査税目は主に「所得税」です。

国税庁発表の資料によると、所得税の実地調査(※)件数の割合は1.1%となっています。

つまり、おおよそこの程度の確率で個人事業主への税務調査が行われていると考えられます。

しかしながら税務当局は申告自体を行っていない個人への調査を強化していることから、調査割合は今後さらに高まるかもしれません。

※実地調査とは、税務署が実際に納税者の事務所などの現地に出向いて行う調査を指します

コロナ禍による税務調査への影響

令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、令和2年(2020年)はコロナ禍の影響もあり、所得税・消費税(個人事業者)の実地調査件数は大幅に減少しています。

ところが文書等による接触方法を積極的に取り入れたことで、調査の合計件数は前年よりも増加しています。

そのため、所得税・消費税ともに1件あたりの追徴税額は過去最高となりました。

申告漏れ所得金額No.1は「プログラマー」の4,927万円!

先述の「令和2事務年度 所得税及び消費税調査等」では、個人事業主で1件当たりの申告漏れの所得金額が高額な業種が公表されています。

申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

例年であれば、風俗業やキャバクラなど「現金取引が多い」業種が上位3位以内に入っていましたが、今回はプログラマーが1位となりました。

このように「モノではない商品を扱っている」業種も申告漏れの金額が多くなることから、税務当局も注目していることが予想されます。

また、ネット通販やネットオークション、カーシェアリング、クラウドソーシングなど、シェアリングエコノミー」にかかわる取引を行う個人に対して、積極的に調査を実施していることも公表されています。

そのため、今後は一層インターネット関連業種への調査が多くなると考えられるでしょう。

こんな人は要注意?!税務署が目をつけやすい5つの特徴

前述した実地調査割合だけ見ると「税務調査などめったに来るものではない」と考えがちですが、一概にそうとも限りません。

なぜなら、営んでいる業種や、売上・経費などの会計内容により、調査を受ける可能性が高まるケースがあるからです。

そこで税務署が目をつけやすい5つのポイントを確認しましょう。

売上が大きい

売上が大きい、または短期間で売上が伸びている場合は、売上の増加に伴い修正箇所も増える可能性があります。つまり、1つ指摘した場合でも修正金額が大きくなる可能性があるため、税務調査が入りやすくなるといわれています。

売上高に比べて所得金額が極端に少ない

たとえば同業他者と比較して経費割合が極端に多い場合などは、所得を減らすために意図的に経費を調整しているのではないかと疑われる可能性があります

また、年によって所得金額の変動が大きい場合も、経費の調整を疑われる可能性があります。

特に個人事業主の経費は、プライベート用と事業用の支出が混在しがちです。どんぶり勘定で適当に処理をするのではなく、きちんと実態に即した比率で按分し、計上するよう心がけましょう。

現金取引が多い

たとえば水商売や、飲食店、美容室やエステサロンなどといった個人向けの事業を営む業種は、売上が預金口座に直接振り込まれないため、一般的に売上操作がしやすくなると考えられます。このことには税務当局も注目していることから、税務調査が入りやすくなることがあります。

売上が1,000万円弱の状況が続いている

売上が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の納税義務が発生します。そのため、売上1,000万円弱の状態を維持し、消費税の納付を回避している個人事業主も存在します。

つまり税務署から見れば、消費税納税の義務から逃れるために、売上がギリギリ1,000万円にならないように売上を過少申告しているのでは、という疑いを持たれるケースがあるということです。

実際、税務相談Q&Aサービス「みんなの税務相談」に以下のような相談が寄せられていることからも、このことが伺えます。

Q.過去の売上が1,000万円前後だと税務調査の対象になる?

「過去3年間で売上が毎年1000万前後なので、課税事業者を免れるために売上を過少申告していないか調査したい」ということで、税務調査が入ります。令和1年の売上は990万円で、平成30年は1,065万円、平成29年は1,007万円でした。消費税の申告はしていません。

<税理士の回答>

平成29年と平成30年の売上が1,000万円を超えています。課税事業者にも関わらず消費税の申告がなかったため調査が入ったのでしょう。なお令和1年は課税事業者として消費税を納めないといけない年でしたが、売上の990万円が意味ありげな数字に見えます。数年遡って調査されるかもしれません。

>>全文はこちら

このケースでは、売上1,000万円を超えた翌々年は消費税納税が義務付けられていたにもかかわらず、消費税の申告がなかったため、税務調査の対象となりました。もちろん実際に売上が1,000万円弱を継続している場合は、税務調査が入ってもそれを説明できれば問題ありません。

申告を行っていない

「そもそも申告していなければ、税務調査は入らないのでは?」と思われるかもしれません。

しかしそれでは適切に申告している納税者に不公平感をもたらしてしまうため、税務当局では無申告者への調査にも力を入れています

たとえば取引先に税務調査が入り、その会社からの支払いがあるにもかかわらず申告をしていなければ、当然申告漏れを疑われるでしょう。

また、税務署には課税漏れ・徴収漏れに関する情報を受け付けている窓口があり、密告により無申告が発覚することもありえます。

「申告しなくてもわからない」と思うことなく、正しく申告・納税を行いましょう。

税務調査の流れを知って備えよう

税務調査がどのように行われるかを知っておくことで、調査が入った際もあわてずに対応することができます。

  1. 事前通知を受ける
    原則として、税務調査の対象となった場合には「事前通知」がなされます。
  2. 必要書類を準備する
    事前通知で知らされた調査税目や対象期間に沿って、必要書類を準備しましょう。所得税が対象であれば、「確定申告書の控え」や「帳簿書類」「請求書」などが必要です。
  3. 申告ミスを見つけたら修正申告等をする
    必要書類を準備する段階で、過去分の申告漏れを見つけてしまうこともあるかもしれません。そのようなときはすぐに修正申告等を行いましょう。
    実際に税務調査が行われる前であれば、自ら修正申告等をすることで、加算税などを軽減することができます。
  4. 調査当日
    調査は1、2日間で行われます。書類のチェックのほか、調査官からの口頭質問もあるので、虚偽や曖昧な回答はせず、適切に対応しましょう。

税務調査で申告漏れ等が発覚したときのペナルティ

税務調査で申告漏れ等が見つかったら、本来納めるべき税額に加えて延滞税や各種加算税が課せられます(追徴課税

書類の改ざんなど、悪質な不正行為があった場合に課せられる「重加算税」は最大税率40%にもなるのです。

さらに以下のような状況では、青色申告の承認が取り消されてしまうこともありえます。

  • 正当な理由なく帳簿書類の提出を拒んだ
  • 帳簿書類の記載方法が正しくない
  • 所得の隠蔽などを行っていた
  • 二期連続で期限内に申告がなかった

万が一申告漏れを指摘された場合でも調査官の求めには素直に応じ、必要以上にペナルティを受けるような行為は避けましょう。

個人事業主の税務調査にまつわる相談事例

前述した、税務相談Q&Aサービス「みんなの税務相談」には、個人事業主の方から税務調査に関する投稿が寄せられています。相談事例の一部をご紹介します(※実際の投稿を編集しています)。

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税理士に立会いを依頼した方がいい?

税務調査において調査官とのやりとりに不安を感じるようなら、税理士に税務調査の立会いなどを依頼するといいでしょう

税理士に依頼すれば、必要書類の準備・確認についても協力してくれます。調査当日は調査官との質疑応答や、指摘内容の妥当性の判断などについてもサポートしてくれます。

さらに、調査後に税務署から指摘事項があり、修正申告が必要になった際にも申告の手続きをまかせることができます。

依頼するタイミングとしては、税務調査が行われることがわかった時点ですぐに相談するといいでしょう。

税理士費用の相場は?実例も紹介

税務調査に関する税理士報酬は、「調査前の対応」「調査当日の立会い」「修正申告の手続き」に分けることができ、金額はおおよそ以下のとおりとなっています。

  • 調査前の対応:3万円~5万円/1日あたり
  • 調査当日の立会い:3万円~5万円/1日あたり
  • 修正申告の代理手続き:10万円~20万円/1回あたり

税務調査は通常1~2日程度で終了しますが、場合によってはそれ以上の調査日数を要することもあります。そのため事前に報酬について確認しておくといいでしょう。

ここでは税理士ドットコムに寄せられた約10万件の相談実績の中から、税務調査に関する業務を税理士に依頼された個人事業主の方の費用実例を紹介します。

実例1)税務調査立会い:93,500円(税込)

  • 年間売上1000万円前後/下宿業(宮城県)
    【税理士探しのきっかけ】
    税務調査が来ることになったが、自身で行っていた白色申告の内容に不安を感じたそうです。

実例2)税務調査立会い、修正申告:210,000円(税別)

  • 年間売上2000万円/建設業(埼玉県)
    【税理士探しのきっかけ】
    過年度分の修正が必要であるのに加え、ちょうど顧問税理士をつけようとしていた矢先に税務調査の通知が来た、とのことでした。

実例3)税務調査立会い、修正申告:190,000円(税別)

  • 年間売上900万円/飲食業(栃木県)
    【税理士探しのきっかけ】
    突然自宅に税務調査が。どうしていいかわからず、すぐにでも税理士に相談したいとお問い合わせいただきました。

おわりに

税務調査がいつ入るかは誰にもわかりません。起業後3年程度で税務調査が入ることもありますし、10年以上経過していても調査の対象とならないこともあるのです。

どんな個人事業主でも、税務調査の対象となる可能性は十分ありえます。そのため、万が一の際にも対応できるように、日頃から売上管理や帳簿管理などをきちんと行っておくことが重要です。

そして、税務調査の対象となった場合には、なるべく早めに税理士に立会いの依頼をしましょう。国税庁出身であるなど、税務調査の実績が豊富な税理士に依頼すればさらに安心です。

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