転貸借 原賃貸借契約でのフリーレント期間の設定について
親の物件を子の法人で借り上げて転貸します。最初に法人の費用でリフォームを行うため、工事と募集期間を含めて『当初4ヶ月間を賃料免責』とする特約を原賃貸借契約書に入れたいと考えています。法人が実際にリフォーム費用を支払い、その請求書や写真を残しておけば、この4ヶ月の免責期間は同族間取引の税務上、妥当な範囲として認められるでしょうか?
税理士の回答
山本快夫
お世話になります。
ご質問に対する回答)
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物件の規模により、フリーレントの平均的な期間があるようですが、4ヶ月間の設定について、合理的に説明がつくのであれば税務上問題になりづらいと考えます。
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補足)
なお、ご質問の前提からは不明ですが、借り上げる法人側に不動産管理を委託する場合の管理料にもご注意ください。従来から管理を委託してきた会社もあるでしょうし、管理料の割合が30%以上のものを抽出して税務調査の対象にしていた時期があるとの情報もありますので、慎重にご検討されることをおすすめ致します。
また、以下の考え方も、同族関係者間での不動産管理料の「税務上の適正」の考え方の参考になると考えます。
福岡高裁平成5年2月10日判決要旨
「所有不動産の管理を同族会社である不動産管理会社に委託している者が支払った管理料について、それが所得税法第157条に基づく行為計算の否認の対象となるか否かを判断し、かつ、否認すべきものとした場合における適正な管理料を計算するためには、同族関係にない不動産管理会社に控訴人と同規模同程度の建物又は駐車場の管理を委託している同業者が、当該不動産会社に支払った管理料の金額の賃借料収入の金額に対する割合と比準する方法によって、通常であれば支払われるであろう標準的な管理料の金額を算出し、これと現実の支払い管理料とを比較検討することが、事案に応じた合理的な方法である。」
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あと、同族会社の行為計算否認について、むやみに恐れ過ぎる必要はありませんが、他方で裁決事例や裁判例が多くある現実も無視できません。
不動産賃貸借取引ということで、安定して継続していくものですので、せめて法人転貸借の開始の事業年度について、税理士に代理委任してもらうと安心できると個人的には考えます。
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他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
山本快夫
ご質問のフリーレントからは余談となりますが、
法人の費用でリフォームを行う...
とのことでしたので、以下について、追記させていただきます。
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賃貸借契約において「賃借人(法人)が一切の大小修繕の費用等を負担する」旨の特約が付されており、この特約に基づき賃借人(法人)が修繕費等を負担した場合は、負担した法人のほうで修繕費または資本的支出として計上できます。
しかし、賃貸借契約において、屋根の修繕などの大修繕につき賃貸人(親御さま個人)負担と明記してあり、さらに造作買取請求権が放棄されている場合は、賃借人(法人)から賃貸人(親御さま個人)に対する贈与・賞与等に該当する税務上のリスクは残ります。
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賃貸借契約において、建物の維持管理に関する費用(修繕費を含む)の負担割合を定めることができます。
しかし、下記の通達を参考にすると、災害によらない経年劣化・自然損耗による場合で、修繕等の補修義務がないにも関わらず補修を行った場合は、「税務上は認められない」リスクが生じると個人的には整理しています。
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法人税法基本通達7-8-10
法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいう。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、当該賃借資産が災害により被害を受けたため、当該法人が、当該賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、これを認める。・・・
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なお、一切の大小修繕についての賃借人負担特約が無効か否か、といった問題は、弁護士マターとなりますので、念のためご確認されることをおすすめ致します。
(参考:東京地裁平成25年12月19日)
宜しくお願い致します。
請求書・写真は工事の実施証拠ですが、それだけで4か月の賃料免除が妥当と決まるものではありません。同族間では、第三者間でも同じ条件を選ぶ合理性を説明できることが重要と考えられます。工事期間、募集見込み、近隣の賃貸条件、法人の工事負担・空室リスクと免除後の賃料を含め、契約全体で検討してください。造作の費用は内容により資産計上・償却も必要になります。所有者への利益移転や契約終了時の精算も含め、締結前に税理士へ契約案と収支計画を確認してもらうとよいと思います。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
藤倉真人
お世話になります。
結論として、法人がリフォーム費用を支払い、請求書や写真を残していても、それだけで4ヶ月の賃料免責(フリーレント)が当然に妥当と認められるわけではありません。判断の基準は「親族関係のない第三者同士でも同じ条件で合意するか」です。その説明ができれば、合理的な取引条件として扱われる余地は十分にあります。
親(個人)が同族会社(家族が経営を支配する会社)に有利な条件で貸す場合、所得税法157条(同族会社等の行為又は計算の否認)により、親の所得税負担を不当に減らしていると認められると、通常の賃料を前提に課税し直される可能性があります。ただし、工事期間や入居者募集期間に賃料を免除するフリーレントは第三者間でも行われる慣行です。相場の範囲内であれば、不当とはいえません。
そのため、費用の証拠に加えて、次の資料を残しておくとよいと考えます。
・周辺の同種物件やサブリース業者の例で、工事・募集期間を含め4ヶ月程度の免責が一般的であることを示す資料
・工事に実際に要した期間
・中途解約時に免責分を精算する条項など、契約全体の条件
リフォームの扱いにも注意が必要です。工事部分が建物と一体となって親の所有物になり、契約終了時に無償で親のものになる(原状回復不要)のであれば、法人が親の資産価値を高めたことになります。この場合、その分を親が受けた経済的利益(実質的な賃料)とみる余地があります(所得税法36条)。一方、法人がその工事部分を自社の資産として計上し、減価償却(費用を年数に分けて計上すること)するのであれば、法人自身の事業のための投資として整理しやすくなります。耐用年数は、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3(他人の建物に対する造作)の考え方によります。
なお、子が法人の株主である場合、著しく有利な条件によって株式の価値が増えると、相続税法9条によるみなし贈与(実質的に贈与があったとみなされること)が問題になることもあります。4ヶ月という期間そのものより、条件全体の合理性を書面で説明できるようにしておくことが大切です。
山本快夫先生、坂根崇真先生、藤倉真人先生
早速、詳しい説明ありがとうございます。
助かりました。
リフォーム会社と請負契約してから1か月後くらいに工事が始まるので、「工事が終わるまでトータルで4ヶ月くらいみたらいいかな。」という安易な発想で大丈夫かなと思い、お聞きしました。
リフォームの内容が決まった段階で付き合いのある不動産屋さんに募集をかけてもらうように依頼する予定となっており、もし、リフォームが三か月で終わって、すぐに転貸人が入居するようになった場合はその時点から賃料を払い始める特約を付ける予定です。
参考までに、
リフォームしないと使えない古い物件を親から借り、リフォームして転貸することを考えています。
リフォーム代がかなり高額なため、相場より安い賃料で15年ほどの賃貸借契約を結ぶ形にしようと思っています。水回りなどの内部の設備は会社の所有物として15年ほどかけて原価償却し、15年後に賃貸借契約を終了するか、更新するか、決める形にしようと思っています。
その際、造作買い取り請求権は放棄し、再契約の場合は相場の賃料に組みなおす前提です。
追伸))皆さんの回答、甲乙つけがたいのですが、一番聞きたいことに近い回答をしていただいた先生につけたいと存じます。
本投稿は、2026年10月31日 15時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







